本日は「親子関係」です。
親子関係で悩んでいる人において、反復強迫を使って、どうやって自己理解、他者理解、自己受容、他者受容をするのかというテーマでお話します。
うん難しい!難しいね。
親子問題の解決法の一つという風に考えてもらっても構いません。
親子のトラウマの解決方法の一つと考えてください。
反復強迫
治療ゴールは、例えば「和解」だとします。
親の特性だったり、弱さ、暴力性、攻撃性を受け入れて、距離を取りつつ、ストレスなく付き合うということを和解の定義として、そこを目指すとしたときに、相手のことをどうやって理解するか、ということがとても重要です。
自分および相手のことをどうやって理解するのかということが重要です。
例えば、父、母、私、そして旦那、義父、義母、自分の娘という構造だとします。
こういうときに、攻撃的な父親、躾けの厳しい父親と、頼りにならない母親との関係や夫婦仲の悪さ、こういう家族の原型というのがあったりします。
「反復強迫」というのですが、同じようなことが他の人間関係でも起きたりします。
例えば、父親が厳しくて父親に対してビビっている場合、義理のお父さんに対してもビビッたり、自分の夫にビビったりするときもあります。
母親が「私の話を聞いてよ」と、自分が母親の話を聞く係で、母親にべったり引っ付いていた、母親の言うことを従順に聞いていた場合、義理のお母さんに従順だったり、自分の娘に従順すぎる、娘の言うことを全部聞いてしまうダメな母親になってしまうかもしれない。
もしくは自分が母親の代わりになって、娘に対して「あんた、娘なら話を聞いてよ! 何で聞いてくれないの!」と怒る母親になるかもしれないし、父親の真似をして厳しすぎる母親になるかもしれない。
自分の元々あった人間関係、家族原型をトレースして、他のところでも同じようなことを引き起こすことがあります。
これを反復強迫といいます。
自分の家族の原型だけだと指摘されてもよくわからなかったりするんですが、「いやいや、あなたは他の場面で同じことをしていますよね」と指摘されることで、「自分ってこういうところがあるんだな」「自分の家族ってこうだったんだな」ということを理解して、自己理解が深まり、次に進めるということはよくあります。
転移・逆転移
これは別に家族や親族間だけで起きるのではなく職場でも起きます。
職場でも自分が自分、自分が母親、自分が父親みたいな感じになり、部下に対して厳しすぎる父親を演じたり、部下に対して「話を聞いてほしい」と母親を演じたり、もしくは上司に対して従順な自分を演じたり、そういうことが起きたりします。
病理が深いと、相手にもその役を強いることがあります。
人間というのは共感性があり、相手に合わせる力があるので、無意識的にその人に合わせ、自分が父親役を演じたり、母親役を演じたり、子ども役を演じたりしてしまいます。
これは職場でも起きるし、診察室の中でも起きます。
こういうことを「逆転移」と言ったりします。
父親に向ける感情を、この人は義父にも向けてしまう、夫にも向けることを「転移」と言います。
転移を受けた相手が、知らないうちに父親役を演じてしまう、父親が感じたような気持ちをその人に向けてしまう、こういうものを「逆転移」と言います。
逆転移を感じにくい人もいて、それは何かというと発達障害の人です。
発達障害の人も操作されやすい、主体性がなくて反復強迫の役割を演じさせられることもあるのですが、なかなか影響を受けにくかったりもしますし、逆転移に気づけなかったりもします、自分の感情に。
でもこういうことが起きたりしますよ、ということです。
治療者側が、知らないうちにイライラするなという時には注意が必要です。
「あれ? 何で僕こんなに患者さんに怒っちゃうんだろう?」「何でフラットな気持ちでいられないんだろう?」という時には、やはり転移を受けていて父親役を演じさせられていたり、そういうときには逆転移が起きているのかなとか思ったりします。
今回はちょっと難しい話ですけど、親子関係の理解の方法ということで、反復強迫を利用した理解の方法、というテーマでお話しました。
難しいね。
ほかの動画もまた見てください。
親子問題
2022.9.29