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境界知能の治療法について解説します

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00:00 OP
00:56 なんとか頑張るけれど
04:03 優生思想
06:00 知性のあり方
07:31 卑屈にならずに胸を張って生きていく

本日は「境界知能の治療」というテーマでお話しします。

境界知能とは、精神発達遅滞いわゆる知的障害には該当しないけれど、平均より知的にちょっと能力が低い人たちのことを指します。
だいたいIQでいうと85~70までの範囲を「境界知能」と呼ぶことが多いです。

だいたい人口の14%がここに当てはまります。
7人に1人は境界知能もしくは知的障害ということになります。

なんとか頑張るけれど

知的障害、いわゆるIQ70以下であれば、早い段階で見つかって福祉の対象になったりします。
普通級ではなく特別支援学級に行ったりすることが多いんですが、ちょうどIQ85~70のラインだと、なかなか福祉の手が届かなくて、なんとか普通級で一緒に過ごさなければいけない、勉強に何とか着いて行かなきゃいけない、ということになったりします。

最近多いのは、親が結構頑張って、それでも塾に入れて、なんとか大学まで行かせるというパターンです。
親が必死に勉強させるんです。こうあるべきだと言って。
勉強を頑張らせようと思って、子どもによっては1日10時間ぐらい勉強させるみたいな形で、何とか大学まで行かせるみたいなことがあるんです。

その結果、大学でついていけない、大学は卒業させてもらったけれども、その後、職場でついて行けない、そういうことが結構あるかなと思います。

もちろん学校では上手くクラスに溶け込めないという問題があったりするでしょうし、最近だと「ケーキが切れない子どもたち」という形で話題になったり、犯罪を犯してしまう人たちにはこういう人たちが多いと言います。

うちのクリニックは東京の都心にあるんですが、実は発達障害でしょうか、うつ病でしょうか、と言って来られるんですけれども、心理検査をすると境界知能だったというケースは珍しくないという感じです。

ただ実際は東京にいると少ないです。
前は埼玉で治療していたのですが、埼玉で治療していたときは「そうかな?」と思って心理検査をしてみると「やっぱりそうだったな」というケースが多かったのですが、東京だとそういう人は少ないです。

疑ってもIQが85ある人たち、85はなくても80台だったりすることが多くて、東京というのは優秀な人たちが多いんだなといつも思います。
ましてや早稲田ですから、都心ですからそうなんだなと思います。

逆にだからこそ、境界知能というのは人口の14%ぐらいいて、そんなに珍しいものではないんです。
多くいるんだけれども、都心だと悪目立ちしてしまうということが起きて、より苦しい思いをしているのかなと思います。

ちょっと知的に能力は劣るので、仕事が遅かったり覚えられない、その結果イライラしたり、感情コントロールが苦手だったり、言語脳の問題があったりするのでコミュニケーションが苦手だったり、興味が違うということで「つまらない人」と言われてしまったりします。
その結果人付き合いが上手くいかない、などがあったりします。
結構かわいそうだなと思います。

優生思想

境界知能と発達障害、発達障害グレーゾーンの人たちはダブることも多いんですけれども、結構いるんです。
境界知能だと14%、発達障害圏だとグレーも含めると7%強あります。

そういう人たちが、自分たちはダメなんじゃないか、と思って落ち込んだり、死にたい、生きている意味がない、役に立ってないと思って自分を責めているケースは珍しくないです。

どうしてこういうことが起きるかというと、親の教えのせいでもあったりするし、親ではなく社会的な圧力の問題でもあったりします。

日本や日本以外もそうですが、やはり「優生思想」みたいなものがあります。
優れている人の方がいいんだ、能力は高い方がいいんだ、お金を稼げる人が正しいんだ、偉いんだ、そういうことが多かった。
本音では語られていて建前としては語られていなくても、心の中は資本主義にどっぷり僕らは浸かってますから、ついついそういう思想になりがちです。

そういう事件がありましたよね、前にね。
生きてる価値はない、だから子どもを作っちゃいけない、という形で社会的な事件になったことがありますけど、それは全然違います。

あとは、色々な価値観を持てなくて、ましてや知的な問題があったりすると、価値観の幅が狭くなりがちです。
自分を愛することができなかったりする、ということがあります。
引きこもりになったり、みんなが引きこもっているので周りに人がいなくて困ってる、ということも結構多いなと思います。

知性のあり方

でも僕は思うのですが、知性のあり方は別に学力だけじゃないし、仕事で測られるものだけではないんです。
ユーモアのセンスだったり、優しさだったり、努力できる感じだったり、運動神経だったり、音楽ができる、何かができる、色々なものを含めて人間の知性があるし、人間の価値や意味、素晴らしさがあります。
学力や仕事ができる・できないだけの問題ではもちろんないんです。
だけど資本主義社会、この社会に生きているとそう思いがちです。

親もやはり同じような遺伝を持っているので、頭が固くて視野が狭くなりがちなので、子どもをすごく責めてしまうということもあります。
責めなくてもどうフォローしたらいいのか、どういう風に今度は子どもたちの価値を認めていけばいいのかわからなかったりする。
わからないから上手く言葉がけができない、などあったりします。
悩ましいなと思います。

優生思想が違う、ということを一個一個ディスカッションで、それがすごく意味がない、能力主義というのは意味がない思想だ、ということを証明していくことは簡単なんですけれども、いまいちそれだけでは本人たちの心に響かないことが多いです。

卑屈にならずに胸を張って生きていく

でも僕はよく思いますけど、色々な人たちがいて、多様性があって、それがやはり社会を豊かにさせるんです。
色々な視点、色々な考え方がある。
インクルージョンしているというのはとても重要なんです。
インクルージョンしているということが、色々な価値を生むのです。

逆に、同じような人たちだけを集めていくと心理的安全性が保てなくて、どんどん息苦しくなるし、残っている人たちの中でもより排除されていく風潮になってくるんです。
インクルージョンじゃなくて、内側に向いていく。
ちょっとでも変わっている人を外そうとなると、どんどん「こうあるべき」の幅が狭くなって、そうするとイノベーションが起きにくくなるし、価値観の多様化が起きなくなって上手くいかないんです。豊かになれないわけで。

だからどこで線引くかという話でもなく、単純に色々な人たちを巻き込んで上手くやっていくという社会システム、社会思想が必要なんです。
本当に苦しいなと思うんですけれども、卑屈にならずに胸を張って生きていくということは重要です。

あとは自分が輝ける場所を探すというのはとても大事です。
お金を稼げるから偉い、ということでは絶対ないです。
あそこで働かないと意味がない、あそこで働いてたら恥だ、そういうことではないので、そこら辺もしっかり頭を柔らかくして、自分らしく生きていけたらいいんじゃないかなと思います。

ということで、今回は境界機能の治療について解説してみました。

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2022.11.14

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