本日は「やる気が出なくなる人へのアドバイス」というテーマでお話しします。
臨床していると、最近やる気が出ないんです、自分は頑張れないんですという意見、辛さ、心配事をよく聞きます。
どういう風に答えたらいいんだろう、と常に考えたりしていますが、今日は最近よく言っているアドバイスをざっくり語ってみます。
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働きアリの法則
一つは働きアリの法則です。
そもそも働く人がいたら、働かない人が出てくるんです。
働く集団がいたら、絶対何割かは働かないんです、働けない人が出てくる。
この働かない集団も別のところへ行くと働くんです、その一部は。
だけどその集団の一部は働かない。
働かない人を分離させたらその集団は働くかというと、また働かない人が出てくる。
これは正確な因果の話とはまたちょっと違うのですが、一つの社会の真実を捉えているなと思います。
これはどういう仕組みかというと、皿洗いと似ているんです。
家で洗い物がたまってくると、洗わなきゃいけないなと思うじゃないですか。
汚れてくると片付けなきゃいけないな、と思うじゃないですか。
飲み会で上司のビールが空になってると、注がなきゃいけないな、とか思うじゃないですか。
そこのスイッチのタイミングが人によって違うんです。
きれい好きな人だと、早くスイッチが入って片付けようと思うし、上司に気をつかっている人だとビールが空になった瞬間、すぐ注がなきゃと思うんです。
「益田先生はよく働くじゃないですか」って言ってくれるんですけど、この話を聞いたらわかる通り僕は「働かないアリ」なんです。
働かないアリなので一人だと働くんです。
こうやってYouTubeや追い込まれるとやるんですけど、集団だと全然やらない。
自衛隊のときはあまり働かなかったです。多分、働いてなかったと思います。
本当に上司のビールが空になっても気付かないタイプでした。
もちろん体育会系の部活だったので、そこそこは気付きますよ。
だけど遅いです、気付くのが。よく怒られてましたね。
「私も頑張ろうと思ってるんですけど、なんか上手くやれないんです」「うろうろしてるだけで何か疲れて終わっちゃって、でも実際ほとんど働いてないんです」と言うんですが、それはあなたの仕事を誰かが代わりにやってるんだろうな、そういうこともあるよな、という風に僕は話を聞いて思います。
そんなひどい思い方じゃないですが、でもそういう面もあるだろうなと思ったり、患者さんと喋ったりします。
そういう人も時期が変わるとめちゃくちゃ働くんです。
風向きが変わると、メンバーでも働いていた人が休む側に回って、今度はこっち側が働くということもあるので、あまり卑屈になる必要はないんだろうなとよく思います、人には出番がありますから。
患者さんによってずっと働きっぱなしの人もいます。
すぐ気付いてすぐ働いちゃう人もいるので、そういう場合はあんまり奉仕しすぎないというか、自分を大事にしてくださいよ、という形になります。
すぐビールを注いじゃう、すぐ片付けちゃう、という人もいますが、それはスイッチが入りやすいから仕方なかったりするし、それはそれですぐ疲れちゃうんだけれども、休めばいいんですがなかなか自分を許せないということがあるみたいです。
別に他の人がやってくれるから大丈夫なんです。
不都合な真実というか、生物学的に人間を捉えるというか俯瞰的に見るというのは皆さん苦手だし、実際僕らも苦手です。
自分は精神医学とかそういうものを仕事にしているし関心があるから思うんですが、でも世間の人はそんなに関心はないんです。
だから啓発しなきゃと思うんですが、でも一方ですべての人がメンタルのこと、心のことに興味があっても変です。僕だって興味がないことは一杯ありますから。
そう思いながらやっていたりする部分はもちろんあります。
あとは患者さんからの怒りです。
口コミの半分は☆1つをつけられていると僕は言いますが、動画でこれだけ言っても誰も書くの止めないですから。
むしろ書いてやれ、みたいな人も出てきてアレですけど、でも、これもまたひとつの真実なんだろうなと思います。
最初というかよく分からないときは傷ついたり、愛情の裏返しなのかなとか思ったり、色々思ったこともありますが、本当に恨んでいるんです。
本当に怒っている人たちも一部というか、結構いて、精神科医という仕事もまあ不思議というか、恐い仕事というか、なんて仕事なんだろうなと思います。
頑張ってやっても半分ぐらいの人は評価してくれないというか、これだけやってYouTubeまでやっても、お前の態度が気に食わん、お前の顔が気に食わん、と言われちゃうわけですから、まあそういうもんなんだろうなと思います。
それは益田裕介だけじゃなく、他のところもそうだったりするので、まあそうだなと思ったりします。
不思議な科であるし、不思議な商売だなと思います。
人間というのは何かそういう風にできているんでしょうね。
しっかりしなさいと育てられた人
あとはよくあるのは、しっかりしなさい、と育てられたパターンです。
一人になったら結構ゆるくなっちゃう、というのもあるなと思いますね。
昔はこんなに頑張ってたのにと言いますけど、でもまあそんなもんです。
大学生になってから全然頑張らなくなった、勉強も頑張らなくなっちゃいました、高校生のときはすごい頑張ってたんですけど、社会人になってからもう全然やってないんです、仕事でもそんなに頑張ろうという気はしません、とよく聞きますが、でもまあそれが普通です。
医学部や東京の大学もそうですけど、ガッツリ勉強していた人が入る学部や学校だったりします。
じゃあ大学生になってから同じように勉強しているかというと、それはそうでもないし、それもまた働きアリの法則みたいな形です。
勉強する人はするけど、しない人が出てきたりはします。
東京は地方から「働くぞ」と思って来た人も多いと思うんですが、地方にいるときは結構頑張って働いたり、ウォーッと言ってる人も、東京に来るともっとウォーッと言っている人が多いので、自然と働かない側、ゆっくりした側に回ることも珍しくはないなと思います。
うつ状態、完璧主義
精神科なのでうつ状態、完璧主義、人に気をつかいすぎている人でやる気が出ないというパターンもあると思います。
そういう場合は、疲れているということなんだろうなと思って、療養や休養、治療を勧めたりします。
疲れているとやる気が出ないのは当たり前なので、疲れているので休む、休んで無意識に脳の整理をしてもらう、無意識という働きに治療を委ねることも大事です。
そもそもなんで頑張らなきゃいけないのかも考えなきゃいけないのかなと思います。
そもそもやる気が出ないということはそれなりの信号なんです。
疲れたと言っているのか、余力を溜めておけということなのか、何かしらの信号なので、それに逆らって何かをするということは不自然なわけです。
なぜ不自然なことを僕らはしようとしているのか、ということだと思います。
だってやらないと生きていけないじゃないか、お金がないと死んじゃうじゃないか、餓死するんじゃないか、色々な意見があると思うんです。
嫌われちゃうんじゃないか、好かれないんじゃないか、色々あるんだけれども、本当にそうなの?というのは一回問い直すことはとても重要だと思います。
やる気が出ないなら出ないなりに、出るときは出るなりにやる、というのが長生きのコツというか、ストレスを溜めないコツだと思います。
疲れているときは治療したり、色々な視点、色々なことから今の気持ちや心、自分の状態を見極めてくれたらなと思います。
前向きになる考え方
2022.12.10