本日は「やる気が出ないとき、どうすべきか」というテーマでお話ししようと思います。
「やる気が出ない時どうすればいいですか」とかよく聞かれるんですよね。
だいたい「やる気が出ないときはちょっと散歩したらいいんだよ」「ここのツボを押せばいいんだよ」「やる気が出ない時はたぶん鶏の胸肉とか食べた方がいいんだよ」とか、そういうアドバイスを恐らく求めているんだろうなと思うんですよ。
そういう感じでアドバイスくれたらなと皆思っているかもしれませんけど、僕はそこはちょっと空気読めないので、ガッツリ答えたりしています。
ということで今回はガッツリ、じゃあ、やる気が出ない時はどうしたらいいのかを精神科医目線で答えてみようかなと思います。
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セルフモニタリング
結果的に「歩いた方がいい」ということになるかもしれないんですけど、「この栄養素が足りてない」とかなるかもしれないんですけども、まずですね、もうちょっと深く考える必要があるんですね。
やる気が出ない時っていうのはそもそもどういう時かというと、疲れている時が多いんですね。
疲れていて、頭の中が混乱している時が多いんです。
なので今の自分の体調はどうなのかをセルフモニタリングしてあげる必要があります。
今、体の調子はどうなのかをまず確認して、その疲れ具合に合わせて対応策を考えた方がいいと思います。
例えば「疲労はどうですか」ということですよね。
今、疲労はどれぐらい溜まってるのか、「最近徹夜が多くて」とか「でもやる気出したいんです」と言うと、それは無理ですよね。そんなの無理じゃないですか。疲れてるんだから。
「それだったらしっかり寝なきゃダメですよね」とか言います。
そういう話をすると「いやいや、私最近寝てるんですよ。昨日も10時間寝たし」
じゃあ1週間前は?聞くと、「いやあんまり寝れなくて、忙しくて」とか。ここ半年くらいどうなのと聞くと、「ずっと忙しくて。ここ1週間は休めているんですけど」みたいなこと言うんですよね。
「それ疲労が溜まってるよ」みたいなことを言うわけです。
脳みそは、筋肉よりも、ざっくり言うとですよ、しかも最近わかってきていることなんですけど、脳は疲労を溜めるのが得意なんですよね。
筋肉だと翌日に筋肉痛になったりするんだけど、脳はもうちょっと後から出てくることが多いです。
だから脳に疲労がたまってきて、うつ病になるまでに結構時間がかかるんですよね。
そういう意味では、肝臓やすい臓とちょっと似ているんですけど、イメージ的に脳もそんな感じで疲労がなかなか表面化していかないし、すぐ気付けなかったりします。
だから知らないうちに半年とか溜まっていって潰れちゃう。
そして回復するまでには1日、2日で筋肉みたいにすぐ回復するのではなく、結構時間がかかる。
沈黙の臓器みたいなイメージがあるんですけど、だから疲労具合もそこから振り返って考えていかなきゃいけない。
疲労を感じにくくさせる物質が溢れているんですよ、現代って。
例えばカフェインとかタバコ、場合によってはアルコールもそうかもしれない。
カフェインを摂ると疲れを感じにくくさせるんですね。
ちょっとアドレナリンが出て疲れを感じにくさせるんです。だけど、実際は疲れが溜まっている。
後は、インターネットやSNSとかちょっと面白いもので気を紛らわしてしまうと、疲れを忘れちゃうんですね。
その結果、脳みそを使うとどんどん脳に疲労が蓄積していくわけですよね。
そういう情報を抜いて、そういう影響を除外して、今の疲労具合を確認しなきゃいけない。
場合によってはちゃんと休めなきゃいけないんです。
あとは習慣ですよね。
生活習慣はそれで大丈夫なのとか、ちゃんと休める習慣があるのか。
今の生活習慣を維持していて、あなたの体は壊れないのかということも確認してあげる必要があります。
多くの人は規則正しい生活をしていなければ、十分な睡眠時間も確保していないし、ちょっとした仕事の合間にもスマホをいじったりして、常に頭を働かせて休めることをしてない人が多いです。
これは良くないんですよ。
「やる気が出なくて疲れているんです」と言ってもスマホをいじっていたりすると、wですから。
だから生活習慣を見直し、少しでも多くの休憩時間を取る点が第一ですね。
こういう話をするとよく「いやいや寝れないんですよ」とか、「私は寝れないタイプなんですけど、どうしたらいいんですか」とか言われるんですね。
そういう体質の人もいますよ、もちろんね。
そういう体質の人だったら、ゴールから考えるのではなく今できるところからスタートすべきですね。
今3時間しか寝れない、5時間しか寝れないのであれば、それを5時間10分にするとか5時間15分にするとか、5時間しか寝れないけれども、横になってスマホをいじらずに目を閉じている。瞑想する時間を増やすとか、そういうことが大事ですね。
あとは昼休みとかちょっとした合間合間にゆっくり休む、呼吸を整えることも大事です。
発達障害の人とか朝起きたらずっと動きっぱなしで、電池が切れるまで動くみたいな人もいますけど、それだと持たないんですよ。
だからちょこちょこ積極的に休んであげる。
休憩時間には休むとか、仕事の合間にもちょっと目を閉じてゆっくりする時間を作ってあげると、それだけでも結構回復しますから。5分とかでもね。そういうものを入れてあげることが大事です。
女性だと男性みたいに机に突っ伏して寝るとか難しかったりするので、ちょっと工夫が必要なんですけれども、それは個人個人生活スタイルが違うので、うまくやってもらうといいかなと思います。
あと飲酒ですね。飲酒というのは気分をリフレッシュするし、飲むと楽になるとかいう人はいますけど、やっぱり飲酒って回復しにくいんですよ。
お酒を飲んで5、6時間経っていると、まあ運動しているわけじゃないし、栄養は摂っているので働くよりは回復するかもしれないけれども、やっぱり脳にダメージも出てしまいますから、飲酒はできるだけ減らした方がいいし、減らさないと回復していかないので、これも見直すのが大事ですね。
だから休み方というのは結構大事かなと思います。
瞑想、祈り
あとは瞑想するとか、祈りというのが結構大事なのではないかなと思いますね。
今でこそ現代人というのは神様も信じられなくなって、宗教というものを手放してしまったんですけれども、手放してない人もいますけど、手放す人が多いと思いますけど、ちょっと前まではあったわけですね。
スマホをいじるのではなくて、瞑想したりとかお祈りをする時間があって、この瞑想や祈り、いわゆるマインドフルネスというのは、心身を整える作用があることは知られています。だからこの要素を日常の中にどう取り込むかは、現代人が考えるべきことなのかなと思います。
温故知新というやつですね。とても重要です。
問題と課題の整理
人間は、昔はライオンとかそういう敵対動物に怯えて暮らしていたんですけれども、現代はそういう外敵の恐怖はなくなり、今はどちらかというと仕事のことや家族のことだったり、今後のテストのことだったり、頭の中にあるもの、頭の中にある敵に怯えたり、ストレスを感じたりしているんですよね。
なのでそれらが頭の中にあると休まらないんですよ。
いくら瞑想しろとか祈りをしようとか、しっかり休みなさいと言っても、目の前にライオンがいたら休まらないのと一緒です。頭の中にそういうものがあると休まらないですね。
だからかといって問題を全て手放すはことはできません。
問題がない人生というのはあり得ないですから。
常に課題とか問題というのは、僕らの生活の中にあるんですね。
じゃあそれらを気にしないためにお酒を飲んだりとか、ストレス解消のために旅行に行くんだと言うと、やっぱりそれだけだと休み方としては不十分なんですよ。
なのできちんとその問題・課題を整理しておくことはとても重要で、整理しておけば1時間悩んでいたところを15分減らせる。
なんか嫌だなと思ってもすぐ気持ちを切り替えやすくなるんですね。
0になることはないですよ。
だけど、今まで30分とか1時間のところが10分とか5分とか少ない時間で収まるんです。
だから、上司の問題や家族の問題があった場合、「ああ」と思って1日悩んでいたのが、問題や課題を整理することによって5分、10分で切り替えられるようになるんですね。
だからこういうことをやっておくことはとても重要です。認知行動療法や紙に書いてみるとか、カウンセリングだったりとかなんでもいいんですけど、そういうことがとても重要ですね。
目標・目的が大事
問題や課題を整理していく上で、やはり目標や目的ということも大事なんですよ。
なぜその問題を解決するのか、その問題の優先順位はどうなのかというと、今後の人生の目標や目的によって優先順位が変わるので、ここもきちんと整理しておくことが重要です。
目標や目的があれば、今この問題はそんなに重視する必要ないなとか、上司に嫌われたって私転職する予定だから別にほっとけばいいやと切り替えれる。
逆に上司の問題も、自分の人生の目的がそこの会社で出世することだったら、この人とうまく付き合う方法も考えなきゃいけないかもしれないですね。だから、目標や目的とか、今自分が何をしたいのかを考える必要があります。
昔はそこまで考える必要はなかったんですよ。
だけど、現代は多様性の時代であって、一人一人のゴールが違うし、求めている価値観も手に入れたいものも違うと思うので、そしてうまくやればそれが手に入る時代になってきていますから、よりここら辺を整理してあげるのがいいんじゃないかなと思います。
こういうことを言うと「うるさいな」とか、「そんなことまで考えなきゃいけないの?」とか、何て言うのかな、面倒くさいなとか思うと思うんですけど、でもねそうなんだよね。面倒くさいんですよ。心の問題というのは複雑な手続きを取らないと解決できないこともたくさんあるんですよね。
一見やる気が出ないという単純なものであって、「いや、俺はそんなこと聞きたかったわけじゃないんだよ。なんかこれ食べたら元気になるとか、このサプリ飲んだら元気になるとか、そういうのを教えてくれない?」と思っている人は多いと思うんですよね。
だけど違うんですよね。一見そういう問題なんだけど、その背景には複雑な問題が隠れていることがあります。
ここにアプローチをどこかでしないと、どんどん負債は溜まっていくような感じなんですよね。その場しのぎじゃなくて、余裕がある時にきちんと考える、複雑な問題にアプローチする。
複雑な問題にアプローチしつつ、ある程度片付いたら日々マインドフルネスや瞑想、座禅、祈りをしながら、その問題をもう一回振り返って日々確認する。
だからちょこちょこ毎日掃除するように、ちょこちょこ自分の中の問題や課題を整理していく、目標を整理していくことも大事なんですよね。
「いやできないよ、こんなこと」と言うのであれば、さまざまなプロを活用するのがいいと思います。
精神科医、弁護士、上司、家族、いろんな人がいますけど、その問題に合わせた人にきちんと相談する。
それも一人じゃなくて、複数の人に相談してみるのをお勧めします。
結婚の問題だったら、結婚相談所に行くのもいいし、そういうのがありますよね。
転職だったら転職エージェントを使ってもいいし、経営者であったらコンサルを使ってもいい。
色々な人のアドバイスを聞きながら、自分なりに考えていくということは大事ですね。
プロを使った方が頭の整理が早いですからね。コストの問題もありますけど、色々相談するのがいいと思います。
精神科だったら涙が出たら受診はOKだし、出なくても受診OKですから。
自分の今の脳の感じとか、今の悩んでいることとか、生い立ちの悩みとか一回整理したいなということであれば、精神科に来てもらって一回整理してもらうというのがいいですね。
カウンセラーの人にやってもらうのもいいです。
こういうことを言うと、「益田はそういう風に言ってくれるけど、私の地元ではそんな先生いないよ」とか、場合によっては「お前がそんなこと言うから、俺の仕事増えるじゃないか」という精神科医もいるかもしれないですけど、見ている人の中で。でもまあ確かにそうで、一人の精神科医というよりは、複数の精神科にかかった方が良いかもしれない。
コメント欄を見ていても、「うちの主治医と同じこと言ってくれてます」という患者さんもいれば、「うちの主治医はそんなこと言ってくれなかった」「やっぱりちょっとおかしいなと思ったので、そろそろ転院考えます」みたいなこと言っている人もいますね。
時々いますから、ダメな精神科医も。
こういう情報発信を通じて、できるだけ精神科医の人にも啓蒙活動をしていきたいと思っている部分もあります。
やる気が出ない時どうすべきか、というとこういうことですよね。
こういう風に整理をしていく。瞑想しながらとか、座禅しながら、マインドフルネスをちょこちょこ生活の中に取り入れて、その中でこういうことを確認する。自分のことをしっかり振り返ってみることがとても重要だと思いますね。
ということで、今回はやる気が出ない時どうすべきかというテーマでお話ししました。
前向きになる考え方
2023.9.7