パニック障害で来院される方はよくいますし、芸能人でもよくあります。今日はメカニズムから治療法まで全般的に説明したいと思います。
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パニック障害の症状
・パニック発作(突然の頭痛、耳鳴り、吐き気、動悸、胃痛、手足のしびれ、今から死んでしまうのではないかという恐怖感)
・予期不安(また発作が起こるのではないかという不安に襲われる)
・広場恐怖(発作が起きたらどうしようと思って電車やエレベーターを避ける)
この3つが揃うとパニック障害と診断されます。
救急車を呼ぶのもパニック発作の場合に多いのですが、救急車が到着すると落ち着いたりします。
メカニズムと治療イメージ
ストレスや疲れがある一定ラインを超えるとパニック発作が起こるのですが、一度発作が起きるとそのラインが下がっていき、癖になってしまうというのがこの病気のメカニズムです。治療では、発作が起きないように薬でコントロールをし、ラインを上げていくようにします。
具体的な治療法
薬物療法は、まずベンゾ系の抗不安薬を発作が起きそうになったときに飲んでみるようにします(頓服)。この段階でよくなる人も多いです。発作が癖になってしまった場合はベンゾ系+抗うつ薬(SSRI)を使います。その後、治療が順調に進めば抗うつ薬をメインにしてベンゾ系を頓服にします。最後は抗うつ薬をやめて、ベンゾ系の頓服をお守りがわりに持つというような流れになります。
動画では期間も話していますが、あくまで目安なのでもしご自分が違ったとしても気にしないでください。
併行して「暴露療法」も行います。例えば電車に乗れない場合は、まずは駅まで行ってみる、それに慣れたら各駅停車に乗ってみる、慣れたら急行に乗ってみるといったように徐々に慣らしていく治療です。
抗うつ薬のメカニズム
メインとなる抗うつ薬SSRIのメカニズムを説明します。SSRIは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」というもので、不安を抑えるホルモン「セロトニン」を増やす働きをします。セロトニンが増えると脳がそれを感知し、眠っていた遺伝子が動き出し、不安を抑えやすい脳に変化していきます。ここまで1ヶ月以上かかります。詳しくは「抗うつ薬のメカニズム」という動画をご覧ください。注意点としては、薬を飲み始めたときに吐き気が起きやすいということです。
ベンゾ系抗不安薬
ベンゾ系抗不安薬はリラックスさせる作用があります。依存や乱用に注意します。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れると過呼吸やパニックになるのですが、抗不安薬でそれを適切なレベルに整えます。ですので、一時期は毎日飲んだとしても、その後は毎日飲む必要はなく時々頓服で使います。副作用としては、効きすぎて副交感神経が強くなりすぎると眠くなってしまうことがあります。これも他の動画で詳しく話しています。
パニック障害
2020.11.11