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精神科医が患者さんの話を聴くときの頭の中を解説します

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00:00 今日のテーマ
08:34 診察で何が行われているのか
11:07 1.心理的安全な場所
18:49 2.吐き出すことができる
22:02 3.リモデリング
23:00 4.アドバイスに従ってもらう
24:58 受けいれてもらうために聞く
26:14 まとめ

※分かりにくいので注意してください※
煽るようなタイトルにしてしまい、申し訳ありません。
患者さんの話を聞きながら、患者さんそのものを理解していく作業から、患者さんに必要な情報を伝えるために、受け入れやすいアドバイスをするために、相手の話を聞き、理解しようとするという話をしていました。
ややこしい話なので、誤解を生むだけだったと思います。

ただ、こういう話もYouTubeなら良いかな、と思ってアップしてみました
漠然と聴くというよりも、治療のために聴くということはどういうことか?
一方で、あまりにも誘導的だと問題がありますし
そこらへんのバランスは重要だなと思います…

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今日は「精神科医が何のために話を聞くのか」について考えてみたいと思います。
精神科の治療は会話が大事、聞くことが大事といわれますが、本当に大事なのでしょうか? 昨日来院した2人の初診患者さんを見て今日のテーマを思いつきました。

精神科医が話を聞く理由

一般的な「話を聞くこと」のイメージと精神科医が「話を聞くこと」は違います。
実は、精神科医は診断や治療方針の決定、患者さんを理解するために話を聞いているのではありません。患者さんの問題点は最初の5分くらいで道筋がつくことが多く、また治療や薬のバリエーションも決して多くはないものです。薬も大きく分けて抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬、ベンゾ系抗不安薬・睡眠薬、その他の5種類しかありません。

ではなぜ話を聞いているのかというと、患者さんのリズムを感じ取ったり、この人にはどのようにアドバイスをしたら見立てを受け入れてくれるか理解するためです。言ってみれば、話を聞きながら相手のことを考えている、話に集中しているけれど話そのものには集中していないような感じです。

つまり、患者さんに対して自分で考える、決める、自立が大事でそのために一緒に考えていきましょうと僕は言いますが、それを受けていれてもらうための言葉を見つけるために聞いているということです。自立の問題がある人ならばそれを受けいれてもらう、そのためにどういう言葉を使うかを考えます。そういうと、精神科の治療に対してあるであろう「共同作業」や「親身になる」というイメージとは違うかなと思います。

診察で何が行われているのか

診察の流れの中で次の1〜4のどれが一番大事だと思いますか?

1.心理的な安全な場所を提供する
2.他では言えないことを吐き出すことができる
3.話を整理、リデザイン(リモデリング)する
4.アドバイスに従ってもらう

一番大事なのは「4.アドバイスに従ってもらう」です。
アドバイスに従ってもらうために1〜3があります。2や3がメインだと思っている人が多く、4が精神科の核だと思っている人は意外といないのではないかと思います。2がメインだと思っていると、吐き出すことがあまりできず不満を持つ人もいるかもしれません。

これはラーメンにおける麺が主役なのかスープが主役なのかという議論に似ているかもしれません。本当のところは全部大事なのですが、今回は4が大事ということで進めていきます。ちなみに、1〜4のように定義することにより、PDCAサイクルを回しやすくなり診療も上手くなるので定義付けは大事かと思います。

心理的安全な場所

心理的安全な場所というのはGoogleの「心理的安全性」からもらってきました。診察室が安全な場所だと思ってもらうということです。Googleは、心理的安全な場所がないと自由なディスカッションはできないし、クリエイティブな発想は出ないと言っています。

心理的安全を阻害する要素は、「無能だと思われること」「無知だと思われること」「邪魔していると思われること」「発言がネガティブだと思われること」の4つです。診察ではこれらが全部大丈夫だよという場所を作る必要があります。
例えば、医師は信頼できる人間であること、嘘をつかない、秘密をもらさない、診察室は音がもれないといったことが大事です。僕がSNSやYouTubeをやるのは、心理的安全性が高まるとわかっていたのでやっている面もあります。

それでは、心理的安全を阻害する4つの要素を詳しく見ていきます。

「無能だと思われること」
無能と思われるのではないかという不安がありながら、一方で自分が病気である、障害があることを認めてほしいという思いもあります。このバランスが患者さんの中にあるため、医師が「あなたは障害なのだから」というと「私は無能だと思われた」と傷つくし、「あなたは無能ではないよ」という方に振り切ってしまうと「先生は全然障害だと思ってくれない」と思われてしまいます。バランスの取り方でしくじることもあります。

「無知だと思われること」
若い人には無知だと思われたくない人が多いのですが、実際に経験が少ないのですから嫉妬とは何か、社会のルール、暗黙知など知らないことは多いわけです。パワハラをしてくる上司にどう対応するのか、パワハラしそうな人がいた時にどう立ち回れば良いのかなど少しずつ学習していけば良いのですが、相手のプライドを傷つけないように言わなければならないので難しいところです。

「邪魔していると思われること」
私がこんなに喋ったら邪魔なのではないか、診察が始まったらすぐに帰らなければならないのではと思ってしまうと、安全な場所だと思えなくなってしまいます。かと言って30分も延々と話されると診察に遅れが出て、他の患者さんから受付にクレームが行くなど困ったことになってしまいます。僕がよく「診察は5分」と言っていますが、それによって少なくとも5分は確保できるということなのでフェアなのではないかと思います。

「発言がネガティブだと思われること」
ネガティブだと思われたくなくてポジティブな発言をするのですが、あまりにポジティブだとマニック・ディフェンスや躁的万能感というか、ポジティブに見せかけて本音を言わない人なのかなと思ったりします。特に夜の仕事をされている方はポジティブな発言が多く、「全然傷ついていないです」「寝れないだけです」「仕事は全然辛くないです」と言ったりします。ですが、実際は辛いから診察に来ているわけです。こういった発言はマニック・ディフェンスなのでネガティブに寄せてあげたりするのですが、寄せすぎると今度はその人のマニック・ディフェンスを崩してしまい「先生なんかに私の気持ちはわからない」と言われることになってしまいます。

吐き出すことができる

僕が「吐き出すことができる」という言い方をしたのは精神分析が好きだからです。
フロイトは、1893年にブロイアーと共著で「ヒステリー研究」という本を出しました。その中に出てくるアンナ・Oという女性の治療において「話すことでよくなる」ことが書かれています。それまでは催眠術が精神科の治療でした。喋って吐き出すことをアンナ・Oは「煙突掃除」と表現しています。

確かに、歌うと気持ちが良いのと同じように喋ると気持ちが良いものです。聞いてもらえると一体感を得られますし、共感してもらうと気持ちがよく、これを「除反応」と言ったりします。「気持ち良い」と言うとバカにしていると思われるかもしれませんがそんなことはなく、体を使って心を理解していく、癒していくことは大事な作業です。ただ、これが過ぎるとマニックな感じになってしまいますし、吐き出すだけだと内省が深まっていかないこともあります。

かといって、患者さんの話を聞いているだけで5分が過ぎれば「先生は何も言ってくれない」となってしまうでしょう。自分が喋ったのと同じくらいの分量を医師にも喋ってほしいと思うわけですが、時間に限りがあるためそうは行きません。逆に、患者さんがあまり喋らないのでこちらが誘い水のように話すと「先生ばかり喋って」となってしまいます。この辺りのバランスを取ることも大事です。

リモデリング

患者さんの悩みをロジカルに整理してポジティブなものに言い換える作業も必要です。患者さんが知らないことはこちらが心理学、精神医学などで補強します。これを解釈と言って、患者さんにこちらの理解を伝えます。相手を見つつ、相手が理解できるものを伝えるということです。

アドバイスに従ってもらう

精神科医は本当にアドバイスできるの?正解を知っているの?と思われるかもしれません。人生に正解はないでしょ?と言うかもしれませんが、だいたいあるのです。もちろん、本当の意味では知りませんが、どうすれば精神科に来るほどの不幸から抜け出せるかということについては大体わかります。

病気だったら薬を飲む、規則正しく生活する、白黒思考をやめる、欲望や感情に支配されすぎない、社会の暗黙知を知る、ネガティブすぎずポジティブになるなどです。患者さんはこれらの極端なところへ振れているので、真ん中の方へ引っ張ってくれば良いだけなのです。ですので正解がわからないということはなく、5分くらい話を聞けばこの人の特徴から見てこういう部分でトラブルを起こしているのだろうなとわかります。読みが外れることはあまりありません。

ただ、相手に理解してもらうために聞くというのは結構難しいです。テクニックというかセンスがあります。はじめに言ったように最初の2、3分は相手を理解するために聞くのですが、そのあとは脳の80%くらいはどうやったら相手に僕らの言葉を理解してもらえるだろうと考えるために使っています。相手そのものを理解するために使うのではなく、同時に相手が受け入れられる方向を理解する言葉を見つけるために聞きます。逆に、だから短いこともあり得ます。本当に混んでいる時などは、治療方針はわかっているので「それではこうしてね」で終わってしまうこともあるかなと思います。他の病院でそういう先生がいました、あの先生が言っていることは正しいのですかと聞かれたりしますが、正しいことも多いのです。

以上、今回は「アドバイスに従ってもらう」を主役に見立てて診察を整理して語ってみました。

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2020.11.24

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