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知らないうちに心は影響を受けている。構造主義について精神科医目線でざっくり解説します

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00:00 構造主義とは
01:22 構造主義の具体例
06:36 どうしてこの動画を撮ったのか
07:55 臨床的な話
11:50 構造主義の臨床的な応用

今日は「構造主義」という考え方について皆さんと共有したいと思います。構造主義とは、簡単に言うと「社会や文化の枠組みの中で心は活動する」という考え方です。人間は自由に、自発的に物を考えているように見えて、周りの影響を受けながらなんとなく考えているのだということです。

これは臨床的に大事で、なんとなく言われれば「ああ、そういうことね」と思われると思いますが、ポスト構造主義の時代になりこのような考え方が常識になったから言えることで、かつては画期的なアイデアでした。もう一度言語化すると見方も変わると思いますので一度お話できたらと思います。

構造主義の具体例

例えば、「日本人らしいモノの見方」というものがあります。
具体的に言うと「肩こり」という言葉は日本語にしかないもので、海外の人は「背中が痛い」と言ったりします。日本語や英語に比べてロジカルな構造ではないので、日本人はロジカルな考え方よりも感情や曖昧な考え方を好むことがあるようです。

日本語を使い続けているとやはり日本の視点に立ちやすいです。英語を使っている人に比べて国際的な水準でモノを考えるのは苦手かなと思います。日本人の文化の中では、日本的なものに自然と愛着を持って考えると思います。

・テレビやSNSの影響
テレビやSNSの影響もあります。コロナの報道が続けばそちらに意識が行ってしまいますし、自分の好きなSNSだけを見ているとフェイクニュースを信じてしまうこともあります。

ゲームの影響もあります。「暴力的なゲームをしていると影響を受けますか?」と聞かれますが、それは当たり前です。人間は外側から影響を受けますから、暴力的なゲームをやっていれば暴力的な子どもになりやすいといったことはあります。

テレビではポジショントークもあります。コロナが流行している中、飲食店と医療従事者では発言は異なってきます。自分のポジションに影響を受けていると気づかずに発言することもあります。

・女性vs男性社会
女性というのは作られるものと言ったりします。子どもの時から「女性らしく振る舞いなさい」と言われることで、知らず知らずのうちに女性らしく振る舞うようにしてしまうといったことがあります。もちろん脳のレベルで男女に違いはありますが、文化によって作らされていることもあると思いますし、今は男性に優位な社会構造になっていますので是正が必要だと思います。

・西洋vs東洋
構造主義は西洋vs東洋の発想から来ていたりするので、価値観によって見え方も変わってきます。
マインドフルネスは逆輸入的な発想です。

★精神病は誰が決めた?
精神病は誰が決めたのか?というのが一つあります。
働けないからといって病気扱いするのはなぜかということです。
今は社会的な要請があるからそうなっていますが、仕事で疲れて落ち込んでいるのは病気なのですか?「適応障害」とつけていますがそれは精神科の領域なのですか?と思いますよね。普通に考えると。でも今の社会はそういう風になっています。
知的障害など組織や学校に適応できないのを「ナントカ障害」とつけて治療の対象にしていますが、それは本当に良いことなのですか?というのもあります。

こういったことが、「社会がそういう風に作られているから、我々もそういう見方になっている」ということです。

前回は「投影と転移」という動画を上げました。投影というのは自分の内側の影響で外側の見え方が変わるという話をしました。今回は逆に外側の影響で内側の変わるという話をしています。
精神医学的にはラカンが有名です。前のバイト先の上司がラカンの研究でフランスに留学をされていた方で、雑談がてらいろいろと話を聞きました。

トンカチを持つと全てクギに見える

「トンカチを持つと全てクギに見える」という言葉をご存知でしょうか? 言葉によって影響されて全部そのように見えてしまうことがあります。
精神科の場合は、ある病気が流行るとその病気の概念が拡大解釈される歴史を繰り返しています。

例えば、「うつ病」だったら「新型うつ」「非定型うつ」などうつ病の概念が広がったり、「躁うつ病」なら「躁うつII型」といった形で概念が広がったり、「境界性人格障害」ならば「ボーダー」という形で神経症や人格障害を何でも境界性人格障害の派生型だと捉えたり、トラウマやPTSDの定義も広がって「複雑性PTSD」になったりと変わってきています。

最近でいうと、発達障害は「グレーゾーン」という形で概念を広げていますし、病名ではありませんが「HSP」は「繊細さん」などと言って最近流行りです。10人に一人は当てはまるということで、病気ではないけれど「私もそうかしら?」と広がっています。この辺りは注意が必要だと思います。

とはいえ病気の概念が広がっていくのはややこしく、コアな疾患イメージだけを守っていれば良いのかというとそうも言い切れません。診断の歴史はそうはさせまいという逆差別の歴史でもあります。

僕は学者ではなく臨床家なので、病名にこだわらず、困っている人を助けるというのが重要かと思います。相手が理解しやすい文脈で説明しないといけないので、拡大概念もある程度許容し、うまく患者さんの心にそっていきながら病名ではない問題に少しずつ治療を進めています。
最初は拡大解釈された病名を手掛かりに患者さんの心の旅は始まるのですが、だんだん病名にこだわらず個人の問題に行き着きます。

構造主義の臨床的な応用

悩んでいることが「あなたの家族だけの文化」「その組織だけの文化」といったことがあります。
その家族だけの問題なのに、他の家族もそうなのではないかと視野が狭くなってしまっていたり、会社でパワハラを受けたときに他の会社でもそうなるのではないかと思ってしまっているときに、「そんなことないよ」と言ってあげるのも僕らの治療です。
実際、精神科医のような第三者と世の中の人は話をしたことはないと思いますので、僕らのカルチャーで僕らの言葉を使うとそのような気づきがあったりします。

視野が狭くならないためには、複数の文化に属することが大事です。「家族」「会社」「友人」などいろいろなコミュニティに入って、いろいろな文化に自分を慣らしていくことが大事です。そうすると自由に、メタ的に考えやすくなります。

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2020.12.17

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