今日は「禁酒セラピー」という本についてご紹介しようと思います。この本は賛否両論ありますが、僕は嫌いではありません。
コンテンツ
著者紹介
著者はアレン・カーという1934年生まれのイギリス人です。1983年に「禁煙セラピー」という本を書きヒットし、それを応用して「禁酒セラピー」と書いたということです。2006年に肺がんで死去します。
自己啓発+印象操作
本の内容としては、自己啓発+印象操作という感じの構成です。お酒は悪いものというところから始まり(不良、美味しくない、キング・オブ・ドラッグ)、僕らの人生はお酒さえやめればもっとハッピーなのだと言います。
批判的な意見としては、お酒が悪いと言い切って良いのか、お酒をやめればすべてが解決するわけではなく、そもそもアルコール依存症になった背景の問題が語られていないといったことがあります。
それから、お酒を急にやめるとイライラしたり手が震えるといった離脱症状が出るのですが、それは我慢しろと言うところも否定的に捉えられています。(薬で抑えられます)
ただ、読んでいると気持ちよく読めるので(お酒をやめたら自分の人生は最高だ!といった万能感)、このような本があっても良いと思います。もちろんこの本だけでアルコール依存症の治療ができるわけではありませんが。
お酒に洗脳されている
「お酒に洗脳されている」というのが著者の意見です。
・おいしくない
もし味がおいしならば子どももこっそり飲むだろうと言います。ただ、アルコール依存の方に聞くと、子どものときに大人から少しだけもらったお酒の味が忘れらない、最初から好きだったという方もいます。
・少量でも健康に悪い
これに関しては研究データでも出ています。少量でも神経器官系、がん、認知症などに悪いと言われています。
・時間のムダ
お酒を飲んで映画を見ても内容を覚えていないなど、時間が無駄になるということです。
意志の力でやめられない
・酒に近づかない、置かない
意志の力でやめられないので、できるだけお酒に近づかない、置かないようにすることを進めています。
・やめる決断をしたらそれを疑わない
初診だと「お酒が飲めない人生は楽しいのですか」「お酒には良いところもあると思う」といった議論になりやすいのですが、そこは話していてもあまり良くはなく、やめると決断したら疑わない迷わないことが大事です。アルコール依存の場合は認知よりも行動の方が大事です。
年末年始の休みでまたお酒を飲んでしまったらどうしようと不安になっている患者さんがいらっしゃいましたので、このタイミングで「お酒を飲まない」ということを共有できたらと思いました。時間があると誘惑も多いと思いますが、それに惑わされず頑張ってやめましょう。
アルコール依存症
2020.12.29