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パワハラ上司? 自己愛性パーソナリティ障害について解説しました

00:00 今日のテーマ
00:53 診断基準
04:27 人格障害の基準等
08:05 パワハラ上司

今日は「自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)」について解説してみようと思います。

診断基準

DSM-5から診断基準を取ってきました。下記の9つのうち、5つ以上当てはまると自己愛性パーソナリティ障害と診断されます。

1.誇大的感覚
自分は素晴らしい、すごい人間なのだという感覚です。

2.空想にとらわれている
理想的な空想にとらわれていて、ナルシスティックな世界にいます。ブランド物に「こんなに素晴らしいものはない!」などと言いますが、所詮ただの服、時計でしかありません。高級車もただの車だと思いますが、「これは限りない人類の叡智なのだ」と言ったりします。

3.自分が特別で、凡人には理解不能
「特別な人にしか自分のことは理解できない」と言ったりします。

4.過剰な賛美を期待
もっと褒めてくれと過剰な賛美を期待します。「○○さん、すごいな」というと「そうでしょ、他には?」と続きます。

5.特権意識を期待
自分は特別なのだから特別扱いしてくれということです。

6.相手を不当に利用
タダ働きさせる、部下の手柄を独り占めするなど相手を不当に利用します。

7.共感の欠如
相手の痛みがわかりません。

8.嫉妬
妬んだり、あるいは妬まれているという妄想に駆られています。「○○は僕のことを妬んでいるんだ」と言いますが、妬んでいるのではなくただ普通に怒っているだけだったりします。

9.尊大な行動・態度
踏ん反り返るなど偉そうな行動、態度を取ったりします。

自己愛性パーソナリティ障害の人は、喋っていて何か嘘くさい、薄っぺらい感じがあります。

人格障害の基準等

・人格障害の基準
医者同士で喋っていても、これは神経症だよね、ここまで行くと人格障害だよねなどと、目に見えない何かがあります。人格障害特有の固さ、話の通りにくさみたいなものがあり、年を取ったから丸くなったということは起きません。

・本人が通院する?
人格障害の人はなかなか通院しません。通院する人はそもそも診断基準に当てはまらないというか、人格障害なのか?という気はします。医者が患者さんを持ち上げるようないびつな治療構造になっているか、精神科医の腕が非常に良くうまく扱っているかだと思います。

・パワハラ上司として登場
本人は通院しなくても、臨床的には実は珍しくありません。どのような場面でそのような人に接するかというと、パワハラ上司としてよく登場します。自己愛性パーソナリティ障害の被害者として患者さんが来るので、間接的に「ああ、あのパターンか」となりますし、時々上司や父親、母親として現れます。

また、自己愛性パーソナリティ障害の人もうつ病や統合失調症を発症することもありますし、アルコール依存症を合併することもあります。ですので直接自己愛性パーソナリティ障害を診療の対象にすることはなくても、自己愛性パーソナリティ障害を体感することはあります。

・犯罪心理、司法精神医学
自己愛性パーソナリティ障害は犯罪心理や司法精神医学でメインに扱われているのかなと思います。

自己愛性パーソナリティ障害を持っているパワハラ上司の特徴

・ほめない
まずほめませんが、ほめるとしてもすごく意図的というか見え見えの作戦通りのほめ方をします。

・人の痛みがわからない
これは本当にわからないのです。

・自分の出世のみ関心
他人の成功を喜びません。

・周りも止めない、利用する
周りもこういう人を止める力がなかったり、利用する人もいます。組織の中で使いやすかったりするのです。

最近では、某国のトップが自己愛性パーソナリティ障害ではないかと言われたりもしました。自分の名誉を守るために犯罪を侵したりすることが本当にあります。これが100年後医学的にどのように評価されるか、診断基準が見直されるか、理解されるかはわかりませんが、よくわからない、でも臨床的には存在しているものとして自己愛性パーソナリティ障害というものはあります。


2021.2.2

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