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非専門の医師、産業医にも見てほしい。心の治療がうまくいっているのかわからない人へ、知ってほしいこと

00:00 今日のテーマ
04:14 問題が発生したとき
08:37 患者さんの中でも起きること

今日は「心の問題を取り扱う上での戸惑い」をテーマに解説してみようと思います。
普段の生活ではあまり意識していなくて、ストレスがあっても「そういうものかな」くらいにしか思わないですし、「病気ってあるの?」と思うことも多いと思います。でも実際に本当に酷く悩んだり眠れなくなったりする人を間近に見ると、精神科医に相談したほうが良いのではと悩む人も多いと思います。

この話をどうしてしようと思ったかというと、精神科医ではない先生が産業医をされているときにやはり色々困ることがあるようです。ただ聞いてみるとトラブルは起きていないことが多く、その場その場で常識的な対応をされています。でもなんとなく「これで本当に良かったのか」という疑問が残り、どうしたら良いのかと言っておられました。

産業医の先生からは「どういうことを勉強するべきなのか、知るべきなのか」という質問を受けたのですが、僕の想像ではありますが、知識の問題ではないのではないかと話を聞いていて思いました。医師ですのでガイドラインは調べられるし、どうしたら良いかも産業医をされているのでわかっているはずです。だけど何か手応えがない。問題は具体的なことではなく「手応えのなさ」ではないのかと想像しました。

実際、精神科以外の先生に精神科のことを説明するときに、僕が「それでいいんじゃない?」と言っても相手の気持ちが晴れないことが結構あります。これはおそらく患者さん本人や家族、心理士、作家さんなど心の問題を扱う皆さんが感じることではないかと思います。がん治療の説明受けるのとはちょっと種類が違うのだと思います。なので今回このような話をしてみようと思いました。

結論からいうと、「手応えのなさが起きる」ということです。心の問題を扱っているときは手応えがなかなかないのです。あるのですが感じにくいのです。それが結論です。

問題が発生したとき

問題が発生したときにどうしたら良いかを1個1個説明するのは難しいです。海外の人に日本での生活を説明しようとしても、何が当たり前で何が当たり前でないのかわからないので説明が難しいのと同じようなものです。

教科書的には「実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル(森本英樹、向井蘭 著 中央経済社)」という本を読んでいます。

ちなみに僕は産業医の資格は取っていませんが、自衛隊にいたときは職場の環境調整など産業医的なこともしていました。
今は資格を取りに行く時間がないというのもありますが、外来主治医という立場があるので、会社の立場でもある産業医になるとポジショニング的にどうなのかなと思いました。それに外来の仕事も多いのでわざわざ産業医の仕事もしなくても、と今は思っています。先はわかりません。

産業医はさまざまな観点から日々対応していく必要があるので、「これでOK」という答えはありません。メンタルヘルスの観点から、雇用主側の立場から、雇用される側の立場からなど色々な視点から物事を考えてその人にとってのベストを考えます。これでOKという答えはないので悩み続けないといけません。相対的に良いものを選ぶので、「これで本当に良いのか?」という手応えのなさを感じるのではないかと思います。

手応えのなさを感じるのは、人の心の変化はすごく緩やかだからです。
他の科の先生が何かアクションを起こしたとき、それが返ってくるスピードがもっと早いのだと思います。ですが、精神科のアクションは1週間後、1ヶ月後など時間が経ってから返ってきますし、その変化も数字や画像で確認できるものではありません。主観的な中でやっていくので迷いがあります、それは僕らもそうです。ただ、経験を積んでくるとどこかのタイミングで「まあ、こういうものかもしれない」と納得し、理解のフェーズに入っていくのです。

僕が特別臨床がうまい、すごいというわけではありませんが、現実的にガイドラインに沿った普通のことをやっているなと思います。それ以上でもそれ以下でもなく、まずまずやっているので良いのではないかと自分の中では納得しています。このようなワークスルーが起きると良いのではないかと思います。

このようなことは産業医のフェーズだけではありません。患者さんの中で起きることも同じだと思います。日々選択や決断をしたり、人間関係で悩んだりしながら何かをやってみて、でもこれで良かったのかなと悩みながら繰り返していく中で、どこかのタイミングでワークスルーが起こり「これで良かったのかもしれない」というフェーズに移れば良いのかなと思います。

認知行動療法などでも心理プログラムを全10回、全6回など作ったものの、結局は行きつ戻りつつになってプログラム通りにできず、患者さん治療者ともに「良くなかったのかな」と思ってしまううことがありますが、それが普通なのです。ですがその繰り返しの中で気づきがあり良くなっていくのです。そういうバランスが精神科臨床なのですが、やり慣れないと言語化しにくいものなのかなと思います。


2021.3.1

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