今日は「精神科の治療プログラム」というテーマです。多職種連携をした入院中の理想的な精神科治療プログラムを外来に活かすにはどうしたら良いか、理想論として語ってみます。
どうして理想論と強調するかというとなかなかここまではできないからです。医師一人でやるには限界があるので、看護師、心理士、作業療法士などと連携して治療プログラムを組めると良いと思います。
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主な治療プログラム
主な治療プログラムとして6つ挙げました。
・疾病教育:どのような病気か(医師、看護師、心理士)
・服薬指導:薬の副作用、困りごとは何か、飲み忘れチェック(薬剤師)
・生活指導:規則正しい生活、適度な運動(看護師、心理士、作業療法士)
・作業療法:ゲーム、スポーツ、畑(作業療法士)
・(集団)CBT:心の理解(心理士)
・グループトーク:共感、理解、グルーミング(心理士、医師)
入院中はこのようなプログラムがありますが、外来ではこれらのエッセンスを少しずつ取り入れています。ですから時間が足りないといえば足りないのです。
ただ、入院中であってもこれらのことが難しいことはあります。例えば、調子が悪い時には教育指導は困難ですし、良くなったら他のプログラムを行う前に退院してしまいます。再発予防期や回復期にそもそも必要か?ということもあります。
また、同じ病気でも程度や経過が違ったり、患者さんがもともと持っている知的な能力やコミュニケーション能力、人間理解力にも差がありますし、家族関係などの社会的資源も全然違ったりするので、一概にこういうプログラムでやりましょうと言いにくいことがあります。
就労移行支援やデイケア
・無職、休職中の就労移行
無職の人や休職中の人であれば、地域にもよりますが就労移行支援を使うこともできますし、無職の人であればA型、B型事業所を利用することもできます。そのようなところに通うことで治療を補うことができます。ただ、そこに行けないレベルの人だと訪問診療・訪問看護や入院という形になります。
・就労中、学生
働いている人や学生であれば、土日や夕方以降にやっているデイケアがあればそのようなところを利用できます。あとは自費のカウンセリングで個別の指導プログラムを組んでもらうことになるかと思います。
実際、精神科の治療がうまくいかない方がたくさんおられ、外来だけでは不十分な場合に上記のように治療を補うものは用意されているのですがなかなか難しいものです。そもそも対人関係の困難さがあって通いにくいということがあります。我慢ができない、傷付きやすい、不安を感じる、恥を感じるといったこともあります。
オンラインでできること
疾病教育、服薬指導、生活指導、CBT、グループトークはオンラインでやれる可能性があります。僕がやっているYouTubeは疾病教育、服薬指導、CBTになるのかなと思います。
デイケアや就労移行を知らない人も意外と多いと思いますので、主治医の先生に相談したり近くにないか検索してみると良いのではないかと思います。
うつ病
2021.3.20