今日は防衛機制の第2弾、「神経症的防衛機制」について解説しようと思います。
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防衛機制とは
復習になりますが、防衛機制とはこのようなものです。
・ストレスがあった時の反応
・無意識的なもの
・原始的(病的)なものから成熟したもの(理想的)まである
・精神分析の概念から広く一般化
成熟した防衛機制→神経症的防衛機制→未熟な防衛機制→精神病的防衛機制とある中で、今回は「神経症的防衛機制」を取り上げます。
神経症的防衛機制
前回同様、カプランから項目を持ってきました。僕が臨床的にあまり使わない概念はカンニングさせてください。
■世界を良くしようという行動の失敗
積極的にやろうとして失敗するパターンです。
理屈っぽく理路整然としているようで、本質を欠いているような感じです。
・知性化
感情や衝動を経験する代わりに、考えることによって統制すること。過度に整然と考えることによって感情を喪失させ、受け入れ難い衝動から生じる不安から自身を防衛する。
・統制
不安を最小限にし内的葛藤を解消するために、周囲の環境における出来事や対象を過度に管理したり、統制しようとすること。
・合理化
イソップ物語の「すっぱい葡萄」です。手の届かなかったものを「あれはすっぱい葡萄」だったんだと言うことで欲望を抑えます。
「自殺をしてはいけないというのは誰が決めたのですか」
「死ぬという気持ちは生きるという気持ちと等価ではないのですか」
など、机上の空論のようなものでやってきて「ここは精神科で、僕は哲学者ではないんだけど…。でもあなた困っているんでしょ? 本当は死にたくないんでしょ?」となりますが、議論に巻き込まれてしまいます。
これらが成熟してくると「理解、納得」に繋がります。
■世界からの逃避的失敗
逃げようとして失敗するパターンです。
・解離
ヒステリー転換反応
・外在化
自分の問題を外の問題にする。押し付ける。
・制止
止まってしまう。
・隔離
自分の感情を外にやる。
今は発達障害的なの人も多く「お母さんに愛されたいと思ったことはないですよ」という言葉に「いやいや、そんなことないでしょう、人間みんな親に愛されたいと思うじゃない」と返しても平行線をたどる自閉性の問題もあったりもします。そのようなことがあったから精神分析的な世界観は時代遅れになったということもあります。
■その他
・置き換え
衝動あるいは感情の注ぎ込みを、葛藤を解決するために、1つの対象から別の対象へ移行すること。
例)好きな人が手に入らないから別の人を好きになる(その人の良さを見つけたからではなく)
成熟した防衛機制→ユーモア
・反動形成
受け入れがたい衝動を、正反対の形で表すことによって管理すること。
例)好きだから憎む
・抑圧
無理に押し込める。
成熟した防衛機制→抑制
・性的特徴化
フェチズム。
例)ストレスがあったときに女性の靴を集めてしまう
成熟した防衛機制→カップル
フェチズムはASDのこだわりをこじらせたという感じで、あまり神経症的な葛藤という感じはしないといえばしないです。なんだか最近何でもかんでも発達障害という言葉になってしまいますが、まさしくそうなんですよね。
防衛機制に関する言葉は動画の中でも結構使っているので、何だろう?と思ったら防衛機制かと思ってもらえると良いかなと思います。
精神分析
2021.3.29