今日は、カウンセリングや座談会、ひいてはコミュニケーションが無駄だと思っている人へ、カウンセリングや座談会の有効性を解説してみようと思います。
この動画を見るとわかること:
・良くなる時のメカニズム
・良くならない理由、原因
・では、どうするのが良いのか
α,β要素、ビオン、ワークスルー、AHA体験の話も織り交ぜながら解説してみます。
【結論】偶然の出会いがきっかけで、治療は大きく前進する。
だからこそ、偶然の出会いを増やすようにすることが大事です。
「喋っても無駄でしょ」「薬だけもらっておけば良い」という患者さんは結構います。ですがそれだけだとダメなのです。
コンテンツ
良くなるときはAHA体験が起きている
「AHA体験」って流行りましたよね。良くなるときはこの「AHA体験」が起きています。精神分析でいうところの「ワークスルー」です。
何が起こっているのか・・・
・部分的な理解や経験
・知的な水準にとどまっている(頭ではわかっているけれど情緒的な理解や経験が進んでいない)
・部分的、断片的(わかっているようないないような、もやもや)
このような状態の時に、「あるひとこと」や「知的体系」つまり、文章、動画、誰かの言葉をきっかけに「AHA!」と今まで断片的だったものが1つの体系としてまとまって「こういうことだったのか」と理解や納得が進むということです。
そうすることによってトラウマがなくなっていったり、プライドにこだわっていた場合はそこにこだわる必要はないんだなとわかったり、こんな悩みにとらわれている必要はないんだなとわかってきたりします。
こういう体験を繰り返していくといろいろな問題が解決していきます。大きな問題というよりは1つ1つの AHA体験をいかに増やしていくかが大事です。
外来診察で可能?
AHA体験が外来の短い診察時間だけで起こるかどうかは、診察前の事前準備の段階でかなり決まります。できるだけAHA体験に結びつくように僕もいろいろな言葉を投げかけるのですが、それをどう受け取るかというのは事前の準備次第なのです。
この準備があと一歩のところまで来ていたら僕が何を言ってもAHA体験は起こりますし、準備の段階がぼんやりしていると、いろいろなことを言ってもなかなか次に進めません。
・α要素、β要素
ウィルフレッド・ビオンという人が、AHA体験に移れるものをα要素、移れないものβ要素と分類しました。つまり、部分的ながらも良くなっていく要素を秘めている、前意識に留まっていても何か意味のある言語に変わっていくものをα要素とし、意味をなしていかない、例えば怒りが悲しみになり悲しみが虚無感になるなど低い水準でグルグル回るだけで上の水準での理解に及ばないものをβ要素としました。
β要素はどうしたら良いか
発達障害:
知覚推理の力が弱いために立体的、俯瞰的に物事が考えられない場合はβに留まってしまうことが多いです。その場合は時間をかけて具体的に扱っていって、丁寧に1つ1つ積み木を積んでいく必要があります。これはかなり丁寧にやっていかないといけないので時間がかかります。
トラウマ:
傷ついているために恐れてしまっていて、積み上げようとしても自分で壊してしまう、先に進めなくなってしまうことがあります。その場合は安全な場所でゆっくり時間をかけて形を作っていく必要があります。
すごく抽象的ですが、簡単に言えば診察時間は短いのでゆっくり丁寧にやれば良いということです。
ゆっくりやるためにはどうしたら良いかというと、それがカウンセリング、座談会、デイケア、就労移行支援だったりします。
偶然の出会い
・頭の中だけではダメ
「時間を掛ける必要があるのはわかりました。それならいろんな本を読みながら一人でやるので大丈夫ですよ、益田先生」と言う人もいるのですが、頭の中だけではダメなのです。頭の中だけで考えることは自分の想像の域を超えません。想像の域を超えないとやはりAHA体験は起こりません。
とにかくいろいろな人と偶然の出会いを起こしていってAHA体験が起きることを増やしていきます。一度これが起こるとそこから先は自分一人でいけることも結構あります。
断片的なものがAHA体験で1つにまとまる、そのイメージを持ちながらカウンセリングや診察に臨むと向かう方向がよりイメージしやすくなるのではないかと思います。
◆◆◆座談会のお知らせ(対面+オンライン)◆◆◆
2021年4月24日(土)に就労移行支援サービス「リヴァトレ」の中川さんが座談会を開いてくださいます。対面+Zoomで行いますのでどちらにお住まいの方でも参加可能です。
興味のある方は下記のリンクからお申し込みください。
カウンセリング
2021.4.3