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母に振り回される娘、娘に振り回される母。発達障害の母娘関係について解説します。

00:00 今日のテーマ
02:42 母:積極奇異型 娘:受動型
04:18 娘:積極奇異型 母:受動型
05:35 治療について

今日は「発達障害の母娘関係」について解説してみようと思います。

発達障害はASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠陥・多動性障害)/LD(学習障害)の3つに分けられると言われますが、ASDとADHDは合併することが多いです。どちらの要素が大きいというのはありますが、両方の要素を持つことがよくあります。

ADHDが強めで相手のことを考えずにベラベラ喋って振り回してしまうタイプを「積極奇異型」、主体性がなくて発達障害とバレにくく、でも人間関係などがよくわかっていなくて混乱しやすいタイプを「受動型」と言ったりします。

母娘関係では、娘が積極奇異型で母親が受動型、あるいはその逆などカップリングすることが多いです。イメージとしては、自由気ままなお姫様と困った召使いといった感じです。

通常の友人関係はこのようなことは成立しません。嫌になって破綻する、行きすぎていじめの構造にり召使い側が不登校になるといったことが起こります。ですが、母娘関係の時は構造が崩れずに妙に関係が継続されてしまうことがあります。これが母と息子、父と息子、父と娘だと違います。母と娘だと母子密着が生まれやすいです。

母:積極奇異型 娘:受動型

母が積極奇異型で娘が受動型のパターンの場合、よくあるのは娘が母親に振り回されるということです。
母が気ままに「あんたダメね」「私はもっと成績良かったのに」など暴言を吐くので、娘の自尊心が低かったり、母の気ままなアイデアに振り回されて困っているというのはよくあります。

また、母親が父親の悪口を一方的に言います。気ままに、簡単に「離婚したい」とか言います。娘の方は困りながらも一方的に聞く、変に「お父さんだって可哀想」「お仕事頑張ってるんだからいいじゃない」と庇うと倍返しされたりするので黙って聞きます。

その結果、娘はどうしたら良いか分からないので自分で自分を傷つける、自傷、過食嘔吐をしてしまうパターンが多いです。

母:受動型 娘:積極奇異型

娘が積極奇異型で母親が受動型の場合は、娘に振り回されるお母さん、になります。
娘は母親を散々振り回している割には「愛情が足りないんだ」と言って自尊心が低いことが多いです。

母親も母親で娘の気持ちに無理解で、娘が何を考えているのか、なぜ怒っているのか、なぜ泣いているのか、なぜ言葉にできないのかがよくわからない上に無反応だったりします。

娘としては母親にもっと構ってほしいし、自分が言葉にできないことを母親に言葉にしてほしいという思いがあるのですが、母親は反応が薄いです。その結果、自傷や過食嘔吐で母親の関心を引こうとアピールしたりするのですがあまりうまくいきません。性的なことでアピールすることもありますが、無理解、無反応なことが多いです。

治療

・「共依存」となっていて、第三者の介入を拒む
治療的にどうすれば良いかというと、共依存関係になっていることを伝え、構造理解に努めます。「共依存」というのは互いの病理を深め合ってしまいます。

娘の理解者は私しかいないと母親が思うからこそ、娘も母親を守らなければいけないと思う、そうすると母子密着が深まっていきます。深まった結果、今度はそれを解いてはいけないような感じになってしまいます。

この構造になっているために母親の社会進出や友人関係を娘が奪ったり、母親も娘の成長や学校での人間関係を奪ったりします。友達関係が母娘の二人で成立してしまうのは共依存になっているということです。

そして第三者の介入を拒むので治療としてなかなかうまくいかないことがあります。カウンセリングを受けましょう、二人の距離をちゃんと取りましょうと話しますがなかなかうまくいきません。

・恋人との関係でも反復することも
この関係を恋人との関係でも反復することもあります。
振り回すパートナーといつも奉仕する本人、振り回す本人と振り回されるパートナーといった具合です。男の子が女の子をすごく大事にして、女の子が傷ついたりすると過保護にフォローすることがあります。

これも結局、性的なもので繋がっているので第三者からの介入を拒みます。
女の子の方が困って診察に来ると男の子の方も一緒に来て二人で診察やカウセリングを受けられますかと言ったり、男の子がいないと女の子が「怖くて診察に来れない」と言ったりするのですが、いざ治療が始まってみると医師からの助言は拒みます。言うことを聞く医師にならなければいけないということです。

逆に悪い主治医、振り回す主治医でないと物足りない、振り回されない主治医に対しては腹が立つといったことが起きたりします。
なかなか治療が進まないのはこのような病理パターンがあるためです。

どうするのが良いかというと、タイミングをみて少しずつ病理構造の理解を進めていく必要があります。

今回は発達障害の母娘関係について解説しました。


2021.4.29

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