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カウンセリングが目指すもの

00:00 今日のテーマ
02:19 地獄めぐり
04:03 癒しと理解
06:07 分類
10:11 精神療法

今日は「カウンセリングが目指すもの」というタイトルで、改めてカウンセリングとは何か、対話の中で何を話すべきかを語ってみようと思います。

このテーマでは何度も動画を撮っています。例えば今年の3月11日は「これからカウンセリングを受けようと考えいてる方必見 診療とカウンセリングの根本的な違いについて」という動画を上げています。

ちなみに、今回はマインドマップを使って動画を撮影していますが、いつものホワイトボードが良ければまた戻します。 

これまで撮った動画もマインドマップにまとめていますので、よかったらご参考ください。

地獄めぐり

カウンセリングは「地獄めぐり」に似ていると言います。地獄めぐりとは、いろいろな話題をして良いということです。過去 の動画でも説明しています。(「会話のやり取りでどうしてよくなるのか、疑問に思っている方へ。治療展開の4パターンを解説します」2021.1.11)

画面右上の図を見ていただきたいのですが、地獄めぐりというのはいろいろな話をして良いのです。
親子問題の話をしたと思ったら、次の回では平 凡恐怖(自分には才能がないのでは)の話、そして次の回では躁的防衛(自分はすごいんだ)の話、次の回では恋愛や性欲の話、そしてまた親子問題に戻っても良いのです。

癒しと理解

カウンセリングは癒しと理解のバランスが大事です。教え過ぎれば主体性が損なわれ、理解が遠のく。教わらなければ迷います。

癒しというのは会話の中におけるグルーミングや発散だったりします。喋ることは結構気持ちが良いのでそれが癒しの効果や解放感になります。聞いてもらえたり共感してもらえるのは癒しやグルーミングにつながります。グルーミングというのは動物でいう毛づくろいのことです。会話の中で、ボディタッチではありませんがマッサージのような作用があります。

ですが、うんうんと聞いてもらえて気持ちよかった、というだけではダメです。やはり自己理解、社会の理解、対人関係の理解など学びの作用も必要です。ですが、学びはキツいしつまらないし、怒られているような感じもして嫌なものです。ですからそのバランスがとても大事です。

癒しだけだと成長はないし、学びだけだと苦しすぎる。教わりすぎても主体性が損なわれて理解が遠のくし、聞いてもらっているだけだと自分一人で迷ってしまいます。かといって治療者側が喋りすぎたりメッセージが多すぎると、自分で考えるという作業が減ってしまいます。 
 

分類

・グルーミング
共感されたり、喋ったり、発散するというのがカウンセリングの中での効果です。

・理解
自己理解、対人の理解、社会理解が必要です。
自己理解とは1つは脳科学的な理解(疾患メカニズムや薬理学)です。依存症だと報酬系の理解、うつ病だとモノアミン仮説、発達障害だと前頭葉と報酬系の問題。人間の心は脳が生み出す現象なので、脳の理解が結構大事だったりします。

例えば脳の報酬系とは脳の中で「やりたい!」という部分ですが、依存症の場合はそこがちょっとバカになってしまっているのです。そのため飲んではいけない場面で飲んでしまったり、過食嘔吐や自傷にしてもやってはいけないのにやりたくなってしまいます。うつ病の場合は心の甘えではなく脳のモノアミンが足りないから起きていることであるし、発達障害も甘えや性格ではなく脳の機能障害です。

認知科学については、認知行動療法ではスキーマと呼ばれますが、脳の特性があります。白黒に考えすぎてしまう、偏った見方をしてしまうといったことを学びます。

対人の理解というのは、相手はどんな人間なのか、母親はどんな人だったのか、母親の役割とは何なのか、母親は実際はどんな生い立ちでどんなことを考えていて同級生の間ではどんなキャラだったのか、といったことを理解していくことです。
あとはコミュニケーションの方法を覚えたり、間の取り方や会話のリズム感、コールドリーディングなどの技術論も大事です。

社会理解も大事です。会社とはどういうものなのか、雇用制度とは、生活保護はどうやったら取れるかといったことです。

精神療法

・家族療法
家族病理を明かしながら、社会対人自己理解を目指す。

・精神分析
転移や投影など精神分析的世界を解釈や治療者との関係の中で学ぶ。
精神分析的なものを学ぶことで世界の見方が広がって、自己理解、対人理解、社会理解が深まる。それを教科書的な教え方ではなく、解釈を通じて理解するというものです。

・認知行動療法
認知の歪みを理解しながら、スキーマを習得する。心理教育とホームワークを中心とした治療。

・SST(Social Skill Training) 
具体的な場面を想定して、模擬訓練をしていく。

どの精神療法も自己理解、対人理解、社会理解のためにやります。
具体的にどれがどこを重視しているのかを解説します。独断と偏見です。

家族療法:自己理解より家族理解
共感◉
発散◉
自己理解(脳科学)△
自己理解○
対人理解◉
社会理解△

精神分析:あまり共感はない、自分は喋るが発散という感じではない。自己理解や対人理解を重視した治療法
共感△
発散○
自己理解(脳科学)△
自己理解◉
対人理解○
社会理解△

認知行動療法:自己理解を重視する手法。自己理解について脳科学的な理解は他の精神療法に比べて重視している。
共感○
発散○
自己理解(脳科学)○
自己理解◉
対人理解○
社会理解△

SST:対人関係など具体的なもの、対人理解や社会理解を重視している
共感△
発散△
自己理解(脳科学)△
自己理解○
対人理解◉
社会理解◉

診療:脳科学的な説明を重視しています。自己理解、対人理解、社会理解も重視していますが、共感や発散は時間が短いこともあって重視できないという感じです。
共感△
発散△
自己理解(脳科学)◉
自己理解○
対人理解○
社会理解○

疾患ごとのテーマ

柔軟な考え方ができない方が多いので、コツを学んでもらったりします。残業が多い、パワハラが多いなど色々あるので、自己犠牲にならない形での働き方を覚えてもらうことも大事です。

発達障害:特性の理解、合理的配慮をどうやって求めるか

依存症:報酬系の理解、対人スキル
対人関係が苦手な人が多いです。話下手だけれどお酒を飲んだ時だけ饒舌になるなど。

虐待:トラウマの理解、対人関係の理解
あなたをいじめた人はいましたが、他の人はいじめたりはしないしあなたが考えているほど嫌な人はいない、ということを理解してもらいます。

このような治療目標に合わせてどのような精神療法を選ぶのか、どのようなアプローチをしていくのか、組み合わせていくのかが重要です。

マインドマップのリンク
https://mm.tt/beta/1887536588?t=1lbd3tBQij


2021.5.14

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