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医療者それぞれの心のケア。こころのナース夜野さんを紹介します

00:00 今日のテーマ
02:23 ストーリー
04:08 各巻で取り上げているテーマ
06:30 番外編:医療従事者それぞれの心のケア

今日は「こころのナース夜野さん」というマンガをご紹介します。
作者は水谷緑さんで、月刊スピリッツで連載中の作品です。今は3巻まで出ています。
大変面白く、一気に読み終えてしまいました。

琵琶湖病院がモデル?

「こころのナース夜野さん」というタイトルの通り、精神科病院で働く看護師さんが主人公です。
内容は、その看護師さんを中心にした、患者さんとのヒューマンドラマです。
精神疾患を知る、良い学習素材だと思います。

単行本の後ろの方に取材した病院も書いてあり、琵琶湖病院が作品舞台のモデルなのかなと思います。
琵琶湖病院のHPによると、入院を中心にデイケアや集団精神療法、訪問看護などをやられているようです。作品を読むと、研修医も受け入れているようなので、地域の基幹病院なんだろうなと想像しました。そこでの治療や患者さんとのやりとりを参考に漫画化しているようです。

ストーリー

ストーリーはパターンは。

患者さんが訪れる
 ↓
主人公の夜野さんが会話をする
 ↓
患者さんにキレられる(トラブル)
 ↓
夜野さんが悩む
 ↓
なんか落ち着いている…

という感じです。

実際、患者さんにここまでキレられるのか、怒られるのかと思われるかもしれませんが、まぁ、漫画ほどでは当然ないにしろ、患者さんから怒られることは結構ありますね。
ただ、患者さんが持っている怒りは患者さん自身のこれまでの体験からくる怒りが医療者に投影されていることが多く、実際のトラブルというよりは患者さんの症状だったりします。

僕はドクターなのであまり直接受けることはないのですが、看護師という立場だと僕らよりも感情をぶつけられることは多いです。

臨床現場では患者さんとのやり取りから、「自分て何なのだろう」「心って何なのだろう」「病気って何なのだろう」「脳みそって何なのだろう」と悩むことが日常です。

話の最後も決してすべて良くなりましたとはならないのですが、ほどほどのところに落ち着いたなとなるのがリアリティがあって良いと思います。

1巻〜3巻で取り上げているテーマ

1巻:統合失調症、うつ病、境界性人格障害(ボーダー)、患者会
2巻:摂食障害、奉仕しすぎる人、性的虐待、貧困
3巻:薬物依存、コロナと引きこもり、DV男、陽性転移

陽性転移とは患者さんが医療者に恋愛的な感情を向けるものです。男性の患者さんが夜野さんに対して恋愛感情を持つということです。

選んでいるテーマも良いですよね、2巻とか渋いなあと思います。精神科病棟というと統合失調症やうつ病がメインですがそうではないテーマを中心にするのが面白いなと思いました。

読んでいて思うのは、発達障害、ASDの視点で疾患が捉えられていない点です。そういう視点がまだ描かれていないですね。僕の場合は読んでいてそこが気になりました。
言語的なやりとりや情緒的なやりとりを試みてうまくいかないときに夜野さんは悩むのですが、そもそも発達障害的な問題があったのではないかと感じました。発達障害的な問題があったときはルールを明らかにしないといけないとか、口で伝えるより紙に書いたものを渡した方が良いのでは?などと思います。

書き下ろし:医療従事者それぞれの心のケア

2巻の番外編で登場人物たちが雑談をしているところがあります。「医療従事者それぞれの心のケア」という7ページの書き下ろしがあります。これが結構面白かったのでご紹介したいと思います。

場面としては、お昼休みに皆でスタッフルームでお弁当を食べているところです。
そこで最近夜野さんの目の下にクマが多いということで、どうしたの?となります。そして、夜野さんが「患者さんのことで悩んでいるんです」というところからスタートします。

治療者が患者さんに飲み込まれる、巻き込まれるということは結構ありますし、夜野さんは新人ナースという設定で共感性の強い方なので悩んでしまったという感じです。

皆さんどういう形で患者さんとの距離を取っているのか、自分の心を癒しているのかを語っています。

看護師長:割り切りが大事、グチの言い合いも大事。
→これは正解ですよね、さすがだなと思います。

森田Dr.(医者15年目くらい?):話題を回避する。ピエロを演じる
→深く考えずに楽に行こうよというスタンス。

広瀬Dr.(理屈っぽい):カウンセリングを受けている。自分のカウンセラーと同期2人に相談している
→僕の若い頃に似ているなと思います。
精神分析的な学びをする人は自分も治療を受けるので、彼もそういう人なのかなという気はします。2巻の性的虐待の治療アプローチも力動精神療法を学んでいる人なのかなと想像しました。相談相手の同期2人というのも症例検討会などで情報共有をしているのかなとか、医者同士でグチを言っているのかなと想像しました。

夜野・たちばな(看護師):巻き込まれている、頭痛
→たちばなさんは夜野さんより少し上のナースですが、患者さんからLINEが来るというところもあるので、それが仕事用のスマホかどうか知りませんが、休憩時間まで入ってしまっているので巻き込まれすぎているなと思います。本人も頭痛がすると言っていますので距離がうまく取れていないです。まだ看護師長の域には達しておらず成長途中だなというのがわかる描写です。

氷川(男性、訪問看護):知性化
→知性化で抑圧していてかわいい感じです。ナースでめちゃくちゃ真面目でこういうタイプの人はいるなと思いました。

女性看護師:夜勤明けのお酒
→医療従事者はお酒が好きな人は多いです。居酒屋に行って耳を澄ましていただくと、だいたい医療関係者の話が聞こえてきます。精神科に限りませんが、どこかのドクターや看護師さんが喋っているのを横で聞いていて「へー」と思ったりします。

僕だと「お酒」「カウンセリング」「回避」と「知性化」もあるかなと思います。巻き込まれは結構懸念していたという感じです。
究極的に言えば、医療従事者は、巻き込まれる方なのか距離をとりすぎている方なのか、どちらかですね。巻き込まれない人の方が一般的という感じもします。最近は「割り切り」タイプのほうが多い気もします。

こういうマンガを読むと自分たち自身の心のケアについても思ったりしますし、自分はこんな感じに見えているんだな、こういうことをやっているんだなとわかって面白かったです。

精神科をテーマにしたマンガはいくつかありますが、今回は「こころのナース夜野さん」の僕なりの感想を述べてみました。


2021.5.18

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