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白黒思考を報道と絡めて解説

00:25 今日のテーマ
00:36 白黒思考
01:18 まとまっているようで実はバラバラ
03:22 直観的に理解できない
06:15 バラバラだけどまとまっている

今日は「白黒思考と報道」というテーマで、白黒思考をオリンピックやコロナの報道と絡めて解説します。

白黒思考

白黒思考とは物事を「白」か「黒」で考えてしまうことです。「良い」か「悪い」で考えてしまい中間がありません。うつの人に多いと言われていますが、発達障害、摂食障害、強迫性障害の人で白黒思考に陥る人は多いです。

白黒思考の何がいけないかというと、白か黒か、良いか悪いかで考える完璧思考になってしまい、疲れてしまう点です。

まとまっているようで実はバラバラ

このような思考が精神科の患者さんだけのものかというとそうでもありません。人は単純化して考えたいという脳の仕組みがあります。

例えば、ニュースでは「アメリカもイギリスもIOCもこう言っている」と単純化しますが、実際はアメリカでも色々な立場の人がいて色々な意見があります。政府はどう言っているのか、放映権を持っているテレビ局はどう言っているのか、メディアはどうなのかなど、「アメリカ」だからといって皆が同じ意見を持っているわけではありません。IOCにおいても同様です。

そもそも日本も「政府」と言いますが、政府と知事、県職員とも意見は違います。日本は縦割りですし「お上」とかいって十把一絡げにしがちですが、だから同じということにはなりません。

一見ひとつのものに見えてしまうけれど、実際は裏で仲良くということもなく、バラバラなものです。
でも、まとまるようにできています。不思議ですね。バラバラなんだけれど、なんとなくまとまっている。
まとまっているから1つのもののように見えてしまうけれど、実は全然違うということは結構あります。

人間関係や組織でもそうです。ですから、白黒で考えるのではなく、バラバラのものとして1つ1つ検討していくことがとても重要です。

直観的に理解できない

まとまっているのでバラバラなものと思えないですし、直感的に理解できないものは世の中にたくさんあります。

例)オリンピックでの経済ダメージ
オリンピックの経済損失や経済ダメージとか言いますが、実際どうなのかというのは分かりません。コロナで国債を刷っているのでそれに紛れてしまうのでは? 世界各国でダメージを受けているからそこのところが目立たないことも考えられます。これは1つの例ですが。

例)薬は悪い? アルコールはx、大麻・タバコx
精神科でいうと、薬は悪いの?と言ったりしますが、薬はそこまで悪くないです。
もちろん、良いものだからご飯にふりかけのようにかけて飲めということはありませんが、もっと体に悪いアルコール、大麻、タバコといったものがあります。
なのに、どうしてアルコールには寛容なのでしょう?

例)ワクチンで亡くなる<コロナで亡くなる
ワクチンで亡くなるよりもコロナで亡くなる人の方が多いわけですから、ワクチンよりもコロナにかかる方が危険です。

例)カウンセリングは高い? 時間のムダ?
カウンセリングを受けている人を見ると、無駄遣いが減って結果的にお金がたまる人が多かったりします。
時間の無駄遣いをする人も減り、かえって勉強をする時間が増えたり恋人と過ごす時間が増えたりします。

このように、直観的なものと実際は違うことは結構あります。そのようなことをまず理解していただきたいのと、1つ1つがわかってくると白黒思考が減っていき、中間、あいだ、別々に考えていくことができるようになっていきます。

白黒思考になりやすい、完璧思考になりやすいという人は、ニュースを見ながら「意外にバラバラだな」などと1つ1つ吟味していくと、症状も緩和できるのではないかと思います。

バラバラだけどまとまっている

ただ、精神科の患者さんは、気持ちも体もバラバラで統合感がなくて落ち着かない感じはあると思います。ですが、相手もバラバラです。健康な人でもいろいろなことがあり結構統合されておらず、ふわっとしています。だけどまとまっています。バラバラだからまとまっていないということではないのです。

これも直観的に考えると不思議な感じがするのですが、人間は多面的なものを見て多面的に考えて、多様な価値観を持ってもなんとなくまとまります。なんとなくまとまっている感じというのが、精神科の患者さんは直観的に理解しにくいのです。そういう経験があまりなかったりするためかもしれません。

今日は「白黒思考と報道」というテーマで、白黒思考について思っているところを述べて、直観的には理解できないよという話にも触れてみました。


2021.5.20

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