今日は「人の目を気にしなくなる方法」というテーマでお話しします。
人の目って気になりますよね? 僕も気になります。
気になった結果、自分の意見を言いにくかったり、余計なところに気を遣って自分のやりたいことができなかったりします。
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自分の気持ちが大事?
それに対するアドバイスとして、「人の目を気にしても仕方がない、自分の気持ちが大事」「人の目なんか気にせずに自分のやりたいことをやるのが大事」とよく言われますが、このやり方は僕はあまり好きではありません。
言葉尻を変えて患者さんに伝えても相手の心には響きません。
「自分の気持ちと言うけれど、そもそも自分のやりたいことがないのですが…」と言われたりします。
状況判断やリスクの適切な理解が大事
それよりも、状況判断をきちんとすることやリスクの適切な理解など、人目を気にしたり他人の意見を聞いたり、周囲の状況を見ながら判断を変えたりするのはとても大事なことです。
人目を気にしすぎるのは良くないけれど、ある程度気にしながら行動するのは大事です。
自分にこだわりがない分野ならば、人が言っている通りにやった方が良いこともたくさんあります。何でもかんでも我を通せば良いというものではありません。
僕もかつて人目を気にしないように行動しなければいけない、誰もやったことがないことにチャレンジしなければいけないというよくわからない思いがあって、無理に人目を気にせず生きようとしていた時期があったのですが、それをやるとだいたい失敗します。
人の目を気にしなくなるにはどうしたら良いかというと、自分の気持ちを大事にするということだけではなく、状況判断やリスクを適切に理解する方法を学びましょうということです。
出る杭は打たれるということわざもありますから、相手の動向を見ながら自分の意見を通していくことが重要です。
ここまでは一般論の話です。
精神科での治療
人目を気にしすぎる場合、精神科ではどのような治療を行なっているかをお話しします。
代表的な疾患を挙げます。
・統合失調症
統合失調症の幻覚妄想状態で人目を気にする場合、薬物治療を行います。
うつ病の急性期で調子が悪く人目が気になる、非難されているように感じる時も薬の治療が重要です。
・社交不安症(あがり症など)
強迫性障害なども含んでも良いかもしれませんが、薬物治療(抗うつ薬)が効くのでそれをまず試します。
その上で暴露療法を行います。逃げすぎると良くないので、少しずつ慣らしていきます。
だいたい不安に対する認知の歪みがあるので、それがどれくらいなのか、どれほどの影響があるのか、本当にあなたのことを気にしているのは誰なのか、噂話が好きな人は社内の中で誰と誰なのか、他の人は聞き流しているのではないか、などを適正に可視化して認知の歪みを直すことが重要です。
・発達障害
人目を気にするのですが、そもそも人が何を考えているのかよくわからない、相手の表情から相手の気持ちがわからないからその結果怖くなってしまい人目を気にするパターンです。
その場合は、心理教育で状況判断をする力を育てていく必要があるので、プロのサポートのもと行います。
「こういう時は人はこう思う」「こういうときは実は嫌味だったりするので気をつけた方が良い」など人間関係の処世術を1つ1つインプットしていくような治療になると思います。
・トラウマ、虐待
過去の外傷体験、嫌なことがあったせいで、今も同じことをされるのではないかと人目が気になることがあります。その場合は力動的な理解が必要になります。年単位の治療になっています。
トラウマや事件をしっかり理解していく一方で、今の人間関係ではこのようなことが起きているから過去とは違う、過去と今は似ているところがあるかもしれないけれど過去のようなことにはならない、そのような話をしながら、自己理解、他者理解を深めていくのが重要です。
これは時間が掛かりますし大変です。
まとめ
人目を気にしなくなるには、不安に対する状況判断やリスクの適切な理解などが重要です。ですから、ふわっとするよりはきちんと考えていくことが重要だと思います。
また、疾患ごとにおさえどころがあるので今回改めて説明しました。
前向きになる考え方
2021.7.20