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発達障害(ASD /ADHD)の人が攻撃的なのはなぜ?

01:52 攻撃性とは
04:27 なぜ発達障害の人に多いと言われているのか
10:16 合併することが多いもの
13:08 治療

今日は「発達障害(ASD/ADHD)の攻撃性」というテーマでお話しします。

ASD(自閉スペクトラム症)は昔で言うアスペルガーと呼ばれる疾患群で、人の気持ちを汲み取りにくい、こだわりが強い、マルチタスクが苦手、感覚過敏などの特性があります。

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意、多動性、衝動性、忘れ物が多いなどの特性があります。

この2つは別々の疾患ですが、両方の要素を持っている人が多いです。

ASDと診断されているけれど不注意がある、ADHDと診断されているけれどこだわりがある、マルチタスクが苦手など、診断基準は満たさなくてももう一方の要素を持つことはよくあるので、「発達障害」という形でまとめてお話しします。

人間はサルから進化した動物ですので、攻撃性というのは誰しも持っています。僕にもあなたにもあります。追い詰められたら窮鼠猫を噛むのような側面は誰にでもあるものです。

ただ、発達障害の人の攻撃性は一般の人に比べて問題になることが臨床上、多いのです。

攻撃性とは

攻撃とはどのようなものかを精神分析的なモデルを利用して説明します。

例えば、人間関係のトラブルや業務量などストレスが加わってくると、それが自分の中に取り込まれ「なんだか嫌だな」となります。

良いパターン:
「あの人に言われたことが残っていてイライラしているんだな」
「業務量が多すぎて心の余裕をなくしているな」
「やけ食いしてるな」
などと飲み込んだことを解釈しながら解決していきます。

悪いパターン:
嫌なことを飲み込んだ瞬間に「嫌だ、これは誰かのせいだ!」と抱えきれずに吐き出してしまいます。
吐き出して誰かを攻撃したり、いじめたりします。

または、人にぶつけるのではなく自分にぶつけて自傷してしまう、お酒を飲みすぎてしまう、過食嘔吐をしてしまうこともあります。

どちらも攻撃性です。
「攻撃性」と言った時に皆さんは他人に対する攻撃をイメージすると思いますが、自傷も攻撃です。

なぜ発達障害の人に多いと言われているのか

データから、素行障害や反社会性人格障害との合併率が高いことがわかっています。

・そもそもストレスが多い
発達障害の人は生きづらいので、そもそもストレスが多くなります。

・言語化が難しい
どうして自分が困っているのかを自分の中で特定しづらく、困り事と自分の気持ちが分断されてしまっている人が多いです。ですから消化しきれません。その上、衝動性の問題もありすぐに吐き出してしまいやすいので、分裂(スプリッティング)が起きやすくなります。

このような理由で、発達障害の人は攻撃性が起きやすいのではないかと臨床上考えられています。

薬物治療

衝動性については、薬物治療が効くこともあります。

大人のADHDの薬としてはコンサータ、ストラテラ、インチュニブの3つがありますが、攻撃性や衝動性に対してはインチュニブ(グアンファシン)を使うかと思います。

リスペリドンなど、抗精神病薬(ドパミンをブロックする薬)を少量入れることもします。
このリスペリドンはASDの感覚過敏に効くこともあります。

人の気持ち(自分・他人)がわからない

困りごと(ストレス)と今の気持ちがどうして繋がっているのかを直感的に理解できません。
「人の気持ちがわからない」というのは、相手のことだけでなく自分の気持ちもわからないということです。

相手の気持ちがわからないから、つい人を傷つけてしまう。自分の気持ちがわからないから自傷して自分の気持ちや痛みを確認する。このようなことは、1つ1つ心理教育をしていくことが必要です。
「今、あなたはこれに困っているのですよね」「このようなことで傷ついたからイライラしているのですよね」といった話をしていきます。

そうすると、患者さんは「僕なんて月の残業は40時間くらいしかないから、甘えているんですよ」と言ったりしますが、感じ方は人それぞれです。そもそも40時間というのは多い、もっと自分を許した方が良い、自分に自信を持った方が良いなどと言ったりします。

虐待・環境の問題

虐待や環境の問題も絡みます。
発達障害の人は、普通の人よりも虐待や貧困などの問題があったケースが多いです。

親が発達障害だから子供も発達障害という遺伝の問題、ネグレクト、アルコールや薬物依存、親が発達障害だから貧困になってしまったということもあります。

例えば、アルコールをよく飲み子供に対してすぐ手が出る父親と「勉強しないと生きていけないよ」「成績で勝たないといじめられるよ」と不安を煽ってくる母親の元で育った場合、自分に対しても相手に対しても責めてしまうような子供が育ちます。

さらに発達障害もあり、両親以外の人からの影響を受けて自分の心を癒すことができないまま大人になってしまうと、攻撃的な大人になってしまいます。このようなパターンはよくあります。

合併することが多いもの

・素行障害、反社会性人格障害
素行障害や反社会性人格障害の合併率は高いと言われています。
素行障害とはその名の通り暴れん坊の子供、反社会性人格障害はそれが大人になったケースです。

・依存症
物質依存(アルコール、薬物)、行為依存(ギャンブル、買い物、性、過食嘔吐、自傷行為)の合併もよくあると言われています。
依存症に関しては「共依存」の問題が臨床上よく出ます。依存症に対してフォローしすぎるパートナーがいて、依存行為を深め合ってしまうケースです。

・カサンドラ症候群
パートナーがうつになり、カサンドラ症候群のようになってしまうことがあります。

・否認、ウソ
周りの人からよく「これだけは治してほしい」と言われるのが「否認」や「ウソ」です。
お酒を飲んでいても飲んでいないと言ったりしますが、これもセットだと思っていれば多少は相手の理解にも繋がるのではないかと思います。

実際に合併率がどれくらいか、すぐに数字として調べることはできなかったです。教科書では確認しました。
臨床上の感覚としては合併はよくある、というのは確かな事実です。

治療

治療についてはいつも言っている話ですが、
自己理解、他者理解、問題解決を通じて、「しなやかな思考」「正しく不安と向き合う(抱える力)」「世界を信頼する」ということを身につけていくことです。

「何なんだろう?」というモヤモヤを1つ1つ解決していくことで消化能力が上がり、「今まで自分は申し訳なかったな」と罪悪感を適正に持てるようになったり、感謝の言葉を言えるようになったりします。
これを時間をかけて、年単位でやっていきます。

今回は、発達障害(ASD/ADHD)の攻撃性について解説しました。

【参考】
「精神医学」2021年4月号(医学書院)
カプラン「臨床精神医学テキスト」第3版


2021.7.30

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