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発達障害は努力で治る? 才能と努力について

01:46 スポーツ(運動神経)と同じ
03:50 特定の分野では成長できる
06:16 周囲も努力している
07:14 脳の多様性
08:48 知能検査だけでは測れない

今日は「才能or努力? 発達障害はトレーニングで治りますか?」というテーマでお話しします。

これはよく患者さんから質問されることですが、どのように答えるかいつも迷います。
患者さんが自信を失ってしまってもいけないので、ある程度オブラートに包むこともありますし、逆に率直な意見を聞きたいというときはそのように答えます。

「才能なのか、努力なのか」に関しては、古今東西、議論され続けてきたことからもわかるように、決着をつけられるものではなくどちらが優位というものでもありません。

おそらく「才能」というものがあるだろうということはわかっている。
でも、「努力」でカバーできることがあることもわかっている。
ただそれだけの話です。

では自分がどれくらいの才能があるのか、どれくらい努力すれば成長できるのか。
これについては「神のみぞ知る」です。

「あなたはこれくらい伸びるかな」とだいたいのことを第三者が言うこともありますが、予想を反して伸びることもあれば、期待した割には伸びないこともあります。

頑張りすぎない程度に頑張ることが大事、というのが結論になります。

スポーツ(運動神経)と同じ

スポーツで考えるとイメージしやすいと思います。

頭脳によるアウトプットも運動神経と似ていて、「体質 x 学習時間・質 x 周囲の環境」によって成果が変わります。

ですから、才能があり、一流のコーチの元で頑張り、良いライバルにも恵まれるという場合は非常に成果が上がります。
才能がいまいちでも、親がしっかりとトレーニングをしてくれて、環境も良ければ準一流のようになることもあります。
才能があって努力をしていても、環境がいまいちだと勝負弱いところがあり、上手くいかないこともあります。

ただ、スポーツが仕事と違うのは、スポーツは比較的若い時期に成果を出さなければいけませんが、仕事は20代にピークを持ってくる必要はないというところです。仕事によってもピークは違います。
例えば、外科医ならば40代をピークに考えますし、精神科医ならば50~60代をピークに考えます。 

いろいろな違いはありますが、どれくらい成果が出るかというのは人生をかけてやってみないとわかりません。

特定の分野では成長できる

「処理速度やワーキングメモリは、トレーニングで良くなるのですか?」と患者さんからよく聞かれます。
頭の回転が速さが「処理速度」で、一度に覚えられる量が「ワーキングメモリ」です。

これは、基本的には伸びないものと考えてください。
伸びないのですが、特定の分野では成長できます。

数字を覚える訓練、そろばんでの計算などをしていくとその項目では伸びます。ですから、IQも上げようと思えば上げられます(実際にあまり意味はありませんが)。
ただ、仕事に関しては慣れていけば早くなっていくので意外と気にならないものです。

スポーツも同じで、運動神経が悪くても3年間でもやれば、運動神経が良い人にそのスポーツにおいては勝てます。
発達障害の人も、やり続けていればその仕事においてはマルチタスクができるようになっていきます。その仕事に関して集中力を保てるようになりますし、ミスが減っていきます。

ですが、皆がそうかというとそうではないこともあります。

それは「興味の有無」です。
興味がなかったり、自信を失くして仕事を放棄してしまっているとあまり伸びません。

例えば、「英語を話せない日本人」とよく言われます。日本人の多くは中学・高校と英語の勉強をしますが喋れません。それは興味がないのです。
興味がなかったり、環境が悪かったりして英語が話せない。それと同じようなことが発達障害の人にも起きる、ということです。

発達障害の人が、職場に行っていても全然仕事を覚えない、やる気がないという時は、「興味の偏り」で同じようなことが起きていることが考えられます。

周囲も努力している

「周囲が努力している分野、競争している分野では成長を実感できない」という問題もあります。

コミュニケーション、人を笑わす、恋愛などについては基本的には皆が努力している分野です。そのような分野では発達障害の人の成長はなかなか実感しづらいものです。

「自分はいつまで経ってもしゃべるのが下手です」
「いつまで経っても大人のような振る舞いができません」
「未熟なままです」

と患者さんが言うこともありますが、「本人の中では成長しているけれど、周りも成長しているのでそうのように感じてしまうんだよね」と言って共感したりしています。
なかなか実感できませんが、成長しているのです。

脳の多様性

最近は、発達障害の問題を「脳の多様性 Neuro Diversity」と言うこともあります。
できる、できないは皆それぞれあるので、それを良く解釈することもあれば、そうでないこともある。

・本人は困っている
基本的には本人は困っているので、学習や根性を押し付けない、というのが発達障害の治療の原則です。
もう本人は本人なりに頑張っているので、それを責めるようなことをしたらますます萎縮して伸びなくなってしまいます。

・虐待、心の悩み
虐待や心の悩みが原因で自信がなく、成長できなかったパターンもあります。
そのような人の場合は、治療によって成長できて良くなることもあります。

ですが、そうではない人もやはりいます。
自分は頑張っていないから成長できないのでは、頑張っていないから発達障害が良くならないのでは、と思うことはありません。

・伸び代は人によって違う
同じ発達障害のレベル感(体質)に見えても、伸び代が全然違うということがよくあります。
ネットの情報を見て一喜一憂せずに、自分自身の伸び代を考えていくことが重要です。

知能検査だけでは測れない

それから重要なことは、心の構成要素はWAIS(知能検査)だけでは測れない、ということです。
処理速度、ワーキングメモリ、言語理解、知覚推理だけでは人間の能力は測れません。もっと複雑多様なものです。

それを、ドラクエのヒットポイントにように数値化することはできません。隠しステータスが多すぎます。
ですから自己理解は一生を掛けてやるものですし、一生を掛けてもわからなかったりします。

そして、ゴールも多様です。
自分の能力はこれくらいで、目指すゴールポイントはどこなのかと考えますが、ゴールも多様ですし環境も変わっていきます。何が正解かもずれていきます。場は変わるのでそれに合わせてやっていくのが良いのではと思います。

まとめ

才能や努力に一喜一憂せずに自分のやることを淡々とやり、周りが文句を言ってきたら「それは僕の努力が足りないんじゃなくて、能力が足りないだけだから」と笑っておいて、あとはやれる範囲でやる。
相手と自分を比べても時間の無駄なので、それで良いと思います。

今回は、才能なのか努力なのか、についてお話ししました。


2021.9.6

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