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心理臨床面接:カウンセリングの基礎知識を解説します

00:48 「臨床心理学」と普通の「心理学」の違い
02:31 心理臨床面接
03:43 治療契約
05:14 治療構造
09:07 治療の流れ
09:31 臨床で大事なこと

今日は「心理臨床面接」について解説します。

「IPSA(イプサ)心理学大学院予備校」さんによる、お祭り企画です(案件ではありません:もちろん)。

IPSA心理学大学院予備校
https://ipsa-yobiko.com

「臨床」というのは「患者さんの心理」を扱うということです。
 

「臨床心理学」と普通の「心理学」の違い

普通の心理学は一般の人間心理、正常心理を扱っています。ある種のプレッシャーがあったときの異常心理もあるかもしれませんが、おおむねそのようなものを扱っています。

一方、臨床心理は「患者さんの心理」を扱います。
患者さんの心理は、一般の人や健康な人の心理とは少し違います。だからこそ、僕らはプロとしてやれます。
逆に、臨床心理や精神医学を知っているからといって、普通の人付き合いがうまいという事ではありません。

営業マンが「営業(時のコミュニケーションや心理的なやりとり)」に特化しているように、僕ら精神科医は「患者さんの心理」に特化しています。
精神科医は人の心がわかるから営業がうまいだろう、いろいろなところで活躍できるだろうと思われがちですが、それは違うのです。
僕らが活躍できるのは、あくまで患者さんの落ち込んでいる時や不幸な時です。それをちょっと手助けするのが得意ということで、普通の人付き合いが得意ということではありません。

つまり、臨床心理を学んだからといって、人付き合いがすべからく得意になるということはないのです。

心理臨床面接

臨床心理学に基づいた患者さんとの治療面接のことを「心理臨床面接」といいます。
一般的には、カウンセリングや心理療法といいます。

・カウンセリング
カウンセリングはロジャーズが提言したもので、「非指示的」で「支持的」である必要があります。
「あなたはこうしなさい」と指示をするのはなく、クライアント主導でサポーティブであること、「頑張ろうよ」と支持的である、ということです。

・心理療法
心理療法はフロイトから発したものです。フロイトが精神分析を作りました。
会話の中で病気を治していこうというのが精神分析で、そこから派生したものが心理療法と呼ばれます。

このように、心理臨床面接は別の言い方もされます。

治療契約

・セラピストとクライアント
ドクターは「患者さんと治療者」という言い方をしますが、カウンセリングの世界では、治療者を「セラピスト」、患者さんを「クライアント」と呼びます。
言葉を変えることで、違うものだと意識しています。

・治療契約、治療同盟
そして、治療関係のことを「治療契約を結んだ」とか「治療同盟を結んだ」といった言い方をします。
症例検討会でも、治療がうまくいっていない時に、「それは治療契約はどういうふうにしているの?」「見直した方が良いのでは?」と指摘されたりします。

・ラポール
治療契約には信頼関係が重要で、その信頼関係のことを「ラポール」といいます。
「ちゃんとラポールを作れているのですか」「ラポールを維持できているのか確認していますか、どこで確認しましたか」「ラポールを維持するために、あなたはどのようなことを意識して面接に臨んでいますか」といった言い方をされます。

治療構造

治療構造も大事です。

・時間
いつやるのかということです。朝、日中、夕方、何曜日の何時からやるのか。

・頻度
週1回なのか、週5回なのか。(精神分析は週5回や週3回やりなさいと言われます)
月2回、月1回の場合もあります。

・場所
プライベートオフィス、学校の心理相談室、クリニックやカウンセリングルームなどあります。

・料金
1回の料金をきちんと決めます。

<治療構造が崩れると>

治療構造は一度決めたら崩さないことが大事です。

「毎週月曜の16時から17時はあなたのために時間を取ります。だからあなたもちゃんと来てくださいね。遅刻せずに来てくださいね」ということです。

これが崩れると良いことは起きません。

患者さんの調子が良い時は面接が10分で終わったり、調子が悪い時は2時間位聞いてしまったりというようなことをすると次の人がつかえますし、前の人は長いのになんで私は短いのといった不満にもつながります。

料金についても、安い料金でやってしまうのは問題があります。
カウンセリングは年単位に及ぶので、自分がイライラする値段設定で始めるのは良くありません。患者さんは嫌なことも言いますし、ときには意地悪なことを言います。逆に治療的に全然前向きでなく、ただテレビの話だけをするときもあります。

テレビの話だけをしているときに、切っていいのかいけないのかという問題はあります。それが建設的なところに行くこともあれば、ただ本当に雑談で終わってしまうこともあります。そこは治療の勘所だったりします。

とにかくそのような時に安いお金をもらっていると、イライラしてしまいます。
成立しなくなってしまうのです。

ですから、自分である程度納得のできる料金でないと仕事だと思えません。ボランティアとしてやってしまうと、継続できませんし相手も負い目があると思います。
その場をいくら汚しても気にならない料金が大事です。

・形態
子どもだったらプレイセラピーをするとか、認知行動療法、森田療法、精神分析的精神療法などいろいろなやり方があります。

座り方も、正面に座る他、患者さんと治療者の目線が90度になるように座る方法もあります。
背面法という後ろに座るやり方もあります。寝椅子の場合もあります。
僕のクリニックでは、40度くらいにしています。

治療の流れ

申し込み

インテーク

継続面接

フォローアップ

終結

初回面接のことをインテークといいます。
初回は情報を聞いてアセスメントをします。

臨床で大事なこと

この動画を見ている人や学生さんは「形態」が重要だと思うかもしれません。
認知行動療法をするのか精神分析をするのか、あの本も読んだ方が良いのか、など色々気になると思います。
ですが、形態は大事といえば大事ですし、大事ではないと言えば大事ではありません。

どちらかといえば、時間、頻度、場所、料金の方が重要です。
プロ同士で会話をするときは治療スタイルよりもこちらが気になります。

僕はラーメンが好きなので、ラーメンの動画を見たり、ラーメン屋の店長同士の話を見たりします。
そうすると、店長同士は味の話はあまりしません。つけ麺だったら茹で時間が長いけれどどうやって工夫しているのかなど、意外と味の違いはそれほど大事ではなく、時間、頻度、場所、料金の話をしています。
逆に素人だと、ラーメン屋のチャーシューの作り方や豚の産地、製麺所がどこなのかが気になるかもしれませんが、それらはプロから見れば瑣末な問題で、本質ではなかったりします

僕は都心部でやっているのですが、治療スタイルは違っても、地域性が同じところでやっていると共通項が多いことがあります。精神分析的にやっている人も認知行動療法的にやっている人も、地域が違う方がズレが大きかったりします。
都内で家系ラーメンを出している人と都内でつけ麺を出している人の会話の方が、地方で離れている人とよりも意外と盛り上がるのと似ています。

もちろん、同じ豚骨ラーメンでも地域差があるので、豚骨ラーメン屋同士、盛り上がるのですが…

今回は、心理臨床面接について解説しました。


2021.9.13

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