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精神的に強くなる方法(精神科医なら〇〇と答えます)

00:28 精神的に強いとは?
05:08 求めるべき強さ
08:50 精神科の治療

今日は「精神的に強くなる方法」について解説します。

精神的に強いとは?

よく患者さんは、「努力しないといけないなあ」ということを言います。
努力した先に「こういう強い人になりたい」というのがおぼろげにあるようです。
強い人と言えば、例えば、信長、秀吉、家康の三大武将パターンが挙げられます。

・信長
織田信長は、鳴かぬなら殺してしまえホトトギス、というように破壊的なイノベーターです。
剛腕で自分の力でどんどんなぎ倒し、部下にも厳しい。とにかく物を壊し新しく作っていきます。
このように、ワンマンでパワーがあり体力も能力も高く、周りに振り回されず自分の真理を貫けるような人を目指したいという人もいます。

・秀吉
信長は本能寺の変で部下に殺されてしまいますが、その後、天下を統一したのは豊臣秀吉です。秀吉はもともと信長の部下だった人です。

鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス、と言われるようにすごくアイデアマンです。
でもそれ以上に、秀吉の魅力といえば「人たらし」です。いろいろな人を巻き込んで仲良くするのが得意な人です。
このような人を目指そうとする患者さんもいます。

もっと色々な人と仲良く付き合いたい、うまく立ち振る舞いたい、先輩にも後輩にも好かれたい、というようなところを目指します。

・家康
秀吉が亡くなった後に天下を統一したのが徳川家康です。江戸幕府は何百年も続きました。

家康は「出る杭を打つ(待つ)」というのがすごいところです。
鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス、の家康です。

とにかく辛抱強く待っていると上から落ちてきます。落ちてきたらもう二度と上がれないように出る杭を打ちます。

ランチェスター戦略とも言いますが、1位は2位以下を引き離した後は、2位以下が追い抜いてこないように出る杭を打っていきます。そうすると1位を死守できると言う戦法です。
保守的で官僚的なやり方で、政治的な振る舞いも「うまい」のです。
これを目指したい患者さんもいます。

政治的にうまく立ち振る舞いたい、ときには攻撃的なこともやってみたい、と思う人もいます。

こちらの3人は確かに強いです。
精神的に強いですし、合理的です。自分の弱い感情に振り回されないと思います。
これを目指すというのもわかるのですが、流石に、これは僕らは目指せても、到達困難です。

精神的に強くなるために、自分は織田信長タイプだからこんな感じで行こうとか、秀吉タイプだからこう行こうとか思うのですが、そんなことは困難です。
人によっては信長の良いところ、秀吉の良いところ、家康の良いところを全部まとめて自分のものにしたいと思うのですが、到底無理なことです。
できないのですが、強くなろうと思うとこれらを漠然と追いかけがちです。

精神科医としてはそのような患者さんを見たときに、そうだねそういうのが強い人だねと言いつつ、この方向はちょっと難しいよねとも思います。そう話すこともありますし、話さないこともあります。

求めるべき強さ

どのような強さを求めるべきかというと、ふわっとした感じでいくと良いと思います。

・「人間万事塞翁が馬」
これも強さの1つのパターンだと思います。

塞翁が馬というのは中国の故事です。
最初は馬が手に入り、「良い馬が手に入ったね」と村人から言われるのですが、「これは悪いことが起きる前兆だ、全然嬉しいことではない」と塞翁は言います。

しばらくすると、塞翁の息子が馬から落ちて脚を折ってしまいます。村人は「あなたの言った通りですね、良いことがあったと思ったら、悪いことが起きてしまいましたね。残念ですね」と言いますが、今度は「いやいや、これは良いことの訪れなんだ」と言います。

そうこうしていると戦争が起き、塞翁の息子以外の若い男性は戦争に連れていかれてしまいました。怪我を負ったことが悪いことだと思っていたけれど、実は良いことだったということがわかります。

こういったことを「人間万事塞翁が馬」と言います。
今悪いことが将来の幸福の種にもなるし、逆に今の幸福が将来の不幸にもなるのです。
人間にはそういったことをコントロールできないという故事です。このような精神が大事だと思います。

・「胡蝶の夢」 
胡蝶の夢は、壮子による説話です。

夢の中で、自分が蝶になったつもりで自由に飛びまわります。目が覚めてその夢を思い出し気持ちが良かったなと思うのですが、実は今のこの生活をしている自分こそが、蝶が見ている夢なのではと思ったという話です。

このような精神は大事です。
現実をどこか一歩引いて「こういうこともあり得たな」とゆるく考えるのが良いです。

趣味の本でもちょっとした小さい物でも、「買えたな」という幸せを楽しむのも良いと思います。
僕自身もそういう人間です。

昔は僕も三大武将を目指した頃がありました。
自衛隊に入ったら絶対に出世してやると思っていましたが全然できませんでしたし、その後も医者としてとか経営者としてとかいろいろ思いましたが、なかなかうまくいかないものです。そのままYouTubeに流れ着いてやっているという感じです。
何だかよく分かりませんが、楽しくやっていれば良いのではと思います。

精神的に強くなるというのは武将のようなパターンだけでなく、いろいろなパターンがあるということです。

精神科の治療

精神科の治療を受けていると強くなれるのかと疑問に思うかもしれませんが、強くなれます。
治療は3段階に分かれます。

STEP1 共感
第一段階では共感をします。共感をして安心できる空間を与えようと努めます。
そうするとリラックスして傷が癒えていきます。

STEP2 自己理解・バイアス
自分とは何なのだろう、自分が考えていたものは本能や感情に支配されていただけなのではないか。
自分とは脳が作っている幻想なんだ、でもロジカルにやっていたら苦しくなるから感情も重視しなければならない。一人でいると効率的かもしれないけれどやはり寂しいなど、自分の限界を知ったり、自分自身のことをわかっていきます。

STEP3 他者・社会理解
自分のことがわかってくると、他者・社会理解に進みます。
自分だけが劣っているということはありません。周りもぐちゃぐちゃやっています。
自分だけ喧嘩している、自分だけいじめられている、自分だけ馬鹿にされているということはありません。一歩離れて見れば、あの人もこの人も馬鹿にされていたりするし、喧嘩しています。社会はそんなものです。

そんなものかとわかると良い意味であきらめがつきます。
良い意味であきらめがつくと、肩の力が抜けて良いパフォーマンスもできるようになります。

そのようなことを目指しましょうというのが精神科の治療でもあるし、精神科医が考える精神的に強くなる方法です。


2021.9.14

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