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高校生の悩みの特徴、対応方法

01:22 高校生とは?
08:05 モラトリアムが必要
10:56 相談できない、受診できない
13:23 どうしたら良くなる?

本日は「高校生の悩み相談」というテーマでお話しします。

当院は大人を見る精神科クリニックで、児童精神を専門としていないので子供は診ません。ですが、高校生以上は診ることがあります。

とはいえ高校生はあまり来ず、だいたい大学生以上です。
ですから高校生についてあまり多くは語れませんが、知っている範囲でお話ししようと思います。

コメント欄を見ると高校生の方もたくさん見てくれていて、悩み相談もあるので、改めて高校生とはどういうものなのかをお話しできたら皆さんの役に立つのではと思います。

高校生とは?

まずそもそも高校生とはどういうものでしょうか。

高校生はまだ子供です。
体が大きいので親や先生はつい対等のように話しがちなのですが、全然子供です。

まだ何もわかっていません。当たり前ですが。
生まれて思春期に入ったばかりで脳もそれほど大きくなっていませんから、それはそうなのです。
ですが、外見からはそのように思えなかったりします。

中学生から高校生にかけて「思春期」と呼ばれる時期になります。
思春期に入る時が「第二の誕生」といって、子供の脳みそから大人の脳みそに切り替わっていきます。

この思春期をきっかけに「自我」というものがきちんを芽生えてきます。
もちろん子供の時も自分というものはあるのですが、本格的な自我は中学生以降に生まれてきます。

・多様性を身につける、気づく時期
この時期に多様性を身につける、あるいは気づいていきます。
「自分はどういう人間なのだろう、友達と全然違う」
「私だけこういうことを考えているのかな」
「これは皆と同じことを考えているけど、これだけは違うな」
などと急に気づき始め、どれが普通でどれが普通ではないかわからず混乱しています。

皆が「自分は何なのだろう?」と思い始める時期です。

子供の時は将来何になりたいかと聞かれたら「ウルトラマン」「お花屋さん」「お姫様」「サッカー選手」など、現実が見えていないのでなりたいものになろうとして、およそ無理な夢を思い描きます。
小学生前はそのような「万能感」があります。

その万能感が取れてきます。
ベールが取れるから自分の本当の姿に気づき始めます。
ですが、それが自分の思い過ごしなのか、過小評価なのか、過大評価なのかまだわかりません。

自分というのがまだわかりませんし、自分というのがどれくらい成長できるのか、伸び代があるのかわからないので本当に混乱しています。自分がよくわかりません。

<個別的vs学校教育・しつけ>
個別的なものを知らないといけないのに、学校教育やしつけなど、個別性を無視するようなやり方をします。
でもこれは学校教育や親が悪いということではなく、そもそも教育はそのようなものです。

「あなたはこうだよ」と教えたらそれは個別的ではありません。
これだけは身につけろという社会の圧、日本社会に生きるのだからこれだけは教養として身につけろ、ルールとして身につけろ、身につけないと家から出してやらないぞというのが教育でありしつけです。

個人の「自分はこうなんだ」というものと、社会からの圧、この押し合いによって自我のバランスが保たれたりします。

・経験・スキル不足=失敗
2つ目のポイントとしては、経験やスキルが圧倒的に不足しています。
経験が少ないのでどう考えたら良いか分かりません。
スキルが不足しているので失敗してしまいます。

ですから高校生というのはすごく失敗します。大人が考えられないような失敗もたくさんします。
冷静に考えればそんなの失敗するに決まっているだろうということまで失敗する。

遅刻もするし寝坊もします。それが普通といえば普通です。
「だからこれからは目覚ましをかけよう」とか、そんなの当たり前だと思うかもしれませんが、失敗しないと必要性がわからなかったりします。

何でもかんでも言われるままにやっているのは良くないので、失敗しながら自分を知っていきますし、失敗することで身に付けることもあります。

こんなに失敗するのか、自分はダメなのではないかとすごく傷つく子も多いです。
だから高校生はみんなイライラしていますし、悩んでいます。

・周りも高校生:トラブル
みんな辛いという状況なので、トラブルも非常に多いです。
自分も高校生だし周りも高校生なので、問題が二重三重で増えるということが起きます。

・性の不安・混乱
思春期に入ると性の問題が起きてきます。
思春期に入る前は性の問題は無意識のところにあるというか、あまり意識することはないのですが、やはり高校生になってくると性の問題が出てきます。

女の子ならば、痴漢にあう、性被害にあう、売春の誘惑に負けてしまう、女性的な扱いをしてもらうことでちやほやされすぎて甘やかされてしまう、大金が手に入る。

男の子ならば、性衝動をコントロールできない、誰かを傷つけてしまう、恋愛の失敗などもあります。

LGBTQの人ならば、カミングアウトの問題やその自覚の問題もあったりします。

高校生はいろいろな問題の初体験が大量にあるので、正常ではいられません。混乱してしまいます。
すごい苦しい時期だなと思います。

若さが手に入るけれど、もう一度これを体験したいかと言われるとやはり嫌だなと思います。
例え若くて健康な体を手に入ったとしても、このトラブルをもう一度味わいたいとは思えません。同じ意見の人もたくさんいると思います。

モラトリアムが必要

大変なので、モラトリアムというか、猶予が必要です。

高校を中退してしまって、「バイトでもすぐ行け」ではなく、ゆっくりさせてあげる時間が重要です。
落ち着いて自分のことを知ったり社会のことを知ったり、失敗した後に休む時間がすごく必要です。

成長過程だからかどうかわかりませんが、脳内が安定していない人が多いです。
ホルモンバランスがぐちゃぐちゃというイメージです。

高校生はそういうものなので、よく親子ゲンカをするときに親が「あんたそんなこと言っちゃダメよ」と言ったりするのですが、今脳内がぐちゃぐちゃだから少し冷静になってから話した方が良いですよと言ったりします。

喧嘩になったら一回落ち着いて、10分ルールでも5分ルールでも何でも良いのですが、そのようなものを作ります。10分間別々の部屋に行って椅子に座って待って、その後話し合うなどのルールを作り、冷静な時に会話をするようにしたほうが良いのです。

カッカしている時に話し合いをしても、トラブルが膨れ上がってしまうので良くありません。

また、治療は焦らないことが重要です。
モラトリアム、つまり時間が必要なのです。

多様性などの気づきには時間がかかりますし、失敗を繰り返すための時間も必要です。
失敗をした後に休んで傷を癒える時間も必要です。

今の若い子たちを「Z世代」と言ったりします。
子供の時からネットの情報が溢れていて、考えるよりも先に、時間が経つよりも先に、「答え」を見てしまうことができます。この動画もそうかもしれません。

昔だったら傷ついた後にぼんやりして、「何なんだろうな」と思いながらふとした瞬間に読んだ小説などで「自分でこうだったのかな」とわかり身にしみて、自分のことを理解していました。
今は大量の情報があるので、その大量の情報からどれが私にぴったりなのだろうと集めていくような自我の作り方をしてしまいます。

それが良いか悪いかわかりませんが、本当にゆとりがないという感じがします。
モラトリアムの時間が必要なのにそれが許されていない、早熟をしないといけない、急かされている中に生きているというような気がします。

相談できない、受診できない

そのような高校生なのですが、よく言うのが「相談できない」ということです。

・相談できない
「誰にも相談できないのです。どうしたら良いですか」という質問が来ます。
相談できないということは本当はないのです。

相談はできるので、うまく相談をするやり方を身に付けた方が良いです。
ストレートに自分の悩みを相談してもあまりうまくいかない時もあるので、うまく相談内容を加工したりして相談することが重要です。

ただ、それとは別に、相談できない親というのも確かにいます。
全然話を聞いてくれない、自分の意見を押し付ける親もいたり、逆に問題の原因が「親」という虐待のパターンもあります。

日本政府が用意している子供のSOS、いのちの電話のようなものはいくつかありますが、なかなか繋がらなかったりして困っている人も多いのではないかと思います。

・受診できない
親が良いと言わないから受診できない、親は良いと言っているけれどそもそもクリニックが受け付けてくれないというのもあります。
僕も児童精神の医師ではないのに高校生以上を診ているのはなぜかというと、通院できる場所が少ないので僕も初診で予約してくれた人は診ますよと言っているだけなのです。
専門ではないのでそんなに詳しいことはできませんよという断りを入れた上で、軽症例であれば対応しています。

受診できないという医療ソースの限界もあってやはり大変だなと思います。
そのような中で自分が何ができるかと考えると、精神医学や脳科学の知識を皆に知ってもらう、もちろん高校生の人たちにも知ってもらうことが大事です。
親の世代の人にも知ってもらうことで、トラブルを小さくしていけたらといつも思っています。

この動画を見てくれている人たちは、そのような思いがあって勉強されているのだと思います。

どうしたら良くなる?

患者さんから「どうしたら良くなるのですか?」と聞かれます。

そのような時に説明はするのですが、伝わりにくいことがあります。
「治療イメージ」ということが困難なんだろうなと思います。

治療というものは薬を飲んだら終わり、知識を得たら終わりだと思っています。
ですが精神科の治療はそのようなものではありません。
大人が生きている世界は不安がなくなることはありませんし、不安を解決し続ける世界で生きています。

思春期に入る前はなんだかんだ言って「不自由のない世界」に生きています。
食事も愛情も原則与えられています。与えられていると錯覚できていると言っても良いかもしれません。

虐待されている子も、与えられていないにもかかわらず与えられていたと感じています。
「与えられている」というファンタジーの中にいます。

ですが思春期をきっかけに、「知恵の実」を食べるようなものです。
知恵の実を食べて、神様の世界から追放されます。自己と他者の世界で生きるようになります。

大人の世界は自分がいて他人がいて社会がいる、そういう中で生きなければいけない。
ここは与えられることはありません。

知恵の実を食べてしまったら子供の世界には戻れませんが、大人の世界では与えられず、生きるための問題を解き続けなければいけません。

大人の世界は、与えられることは二度とありません。
結婚したから奥さんから与えられるとか、旦那さんから与えられるとか、社長になったから地位も名誉も与えられてハッピーになるということは全くありません。

大人の世界というのは、生きるために問題を解き続けないといけない世界です。

では精神科医は何も与えてくれないのかというと、そういうことではなく僕らは伴走します。
診断や薬や知識は提供できますし、一緒に悩むということはできますが、やはり解決しなければいけないのは本人だったりします。

本人が自分のことを理解して、自分の気持ちや自分なりの問題の解決の仕方を身につけていく、問題の解決の仕方は人それぞれ違います。
脳みそが違いますし心の形も違います。
誰かから教わったことを真似ても別の問題には対応できなかったりするので、自分なりの問題解決スキルを身に付けていくことが重要です。

その問題解決スキルを身につけるのを手伝っていく、一緒に考えていくというのが精神科医の治療だったりします。

「どれだけ通えば与えてくれるのですか」ではなく、通いたいだけ通えば良いし、通っている間は一緒に走ってあげられる、一緒に問題を考えてあげられるというのが精神科の治療です。

この辺りはイメージしにくいのではないかと思いましたので言語化してみました。

今回は、「高校生の悩み相談」というテーマでお話ししました。


2021.12.26

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