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発達障害の仕事術5選

00:47 メモ・手帳、腕時計、カレンダー、カバン
07:46 構造化する
11:02 アルコール、ギャンブル、スマホから離れる
12:17 他人は気にしない、表情は読む
14:08 具体的に聞く、伝える、頼む
18:17 うまくやっている発達障害の人をマネる

今日は「発達障害の仕事術」というテーマでお話しします。

発達障害の人向けと限定していますが、仕事をする上で誰にでも役立つ情報があると思いますので、最後まで見ていただけたらと思います。

僕がよく診察室で話す内容を5つ挙げてみました。

1.メモ・手帳、腕時計、カレンダー、カバン

1つ目は持ち物に関することです。

・メモ・手帳
文字通り手帳にメモをしようという事ですが、意外とこれをやっていない人が多いです。

職場でメモを持っていない、上司に何か言われてもメモを取らない、スケジュールをつけない、スケジュール帳を確認しない人はたくさんいます。
ですので、こういったことをやりましょうと伝えます。

患者さんはよく「僕つけてますよ。つけても忘れてしまうんですよ」と言いますが、あなたが僕の診察室でメモを取っているところを一回も見たことはないですよ、とこっそり思っています

診察の終わりに次回の予約を取る時にも、「スケジュールがわからないので、次回の予約はいいです」などと言いますし、僕が次回予約を診察券の裏に書くのですが、その横でスケジュール帳を確認したり、スケジュール帳に印をつけているところを見たことがなかったりします。

習慣になっていないのです。
一部ではやるかもしれないけれど、習慣になっていないのでミスが多くなります。
ミスがあるのであれば、普段からやった方が良いと思います。やらないのですが…。

「スマホのメモを使っていますよ」とも言うのですが、スマホでメモを取るのは時間がかかりますし、上の世代の人から見ると印象が悪いものです。ですから手書きでメモを取ることは重要です。

上司から見て、部下がメモを取っている姿は悪くありません。媚を売れということではありませんが、見た目が良いので、きちんとやった方が良いのではないかと僕は思います。

ちなみに、僕がYouTubeをやっているのも、メモを取らない人が多いからです。

診察室で病気の説明などをしているときに、メモを取る患者さんが減ったのです。減ったので、プリントアウトしたものを渡していたのですが、そうすると皆さん紙を捨ててしまいます。
そこでホームページに書き込みそれを見てねと言っていたのですが、ホームページも読みません。そこで、YouTubeで代用しているということです。
YouTubeでこれを見てくださいという動画をTwitterで流すこともしていますが、TwitterからYouTubeに来ている人は少ないです…。
つまり、あまり見てないんですよね笑

これが普通です。

それはともかく、メモを取ることはした方が良いです。
これをやれると治療が進みますのでぜひ心がけてください。

・腕時計
発達障害の人は、時間感覚、腹時計が悪い人が多いです。今何分ぐらい過ぎたかなというのがわかりにくいのです。
そのため遅刻をしやすかったりするので、時計をこまめに見る癖をつけるようにします。

ただ、感覚過敏のために腕時計をつけられない人もいます。そのような人は仕方ないと思いますが、できれば腕時計をつけた方が良いです。

・カレンダー
カレンダーを部屋に貼ることも大事です。
スケジュールを間違えやすい人が多いので、カレンダーを見て「今日は何日だ」とチェックをする癖をつけます。

カレンダーは家に1つではなく、何枚も貼ります。
どちらを向いても時計やカレンダーが見えるようにした方がミスを防げます。

僕はこれをどこで学んだかと言うと、自衛隊がそうでした。病院でもそのようなところが多いです。

スケジュールをしっかり守らなければいけないところ、時間をきっちり守らなければいけないところは、どこを見ても時計やカレンダーが見えるようにしています。カレンダーは言い過ぎにしても、少なくとも時計はあります。

・カバン
漫画などに出てくるいわゆる昔のオタクの人は、大きなリュックサックを背負っていました。
忘れ物をしないためには大きいカバンは有効です。

オタクの人が皆発達障害だと言いたいわけではありません。
あれは生きる知恵だと思っていて、大きなカバンにいろいろ入れておくと良いのです。

今日使うものを入れるのではなく、だいたい月に一回くらい使うものはカバンの中に入れておくと忘れ物も減ります。慣れてくればカバンを小さくしていくこともできます。

2.構造化する

2つ目は「構造化する」ということです。

構造化と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、難しい話ではなく、「同じような生活をする」ということです。
1つの場所では1つの事しかしないということが重要です。

ご飯を食べるならここ、勉強するならこの机と分けたほうが、気持ちも切り替わって集中しやすくなります。

一番良くないのは、ベッドの上でスマホをいじったりご飯を食べたり、リラックスしたりテレビを見たり勉強したりすることです。ぐちゃぐちゃになってしまい、これでは集中できません。

患者さんと話していて「全然やる気がしなくて…」というときに、普段どこにいるのと聞くと「いや、僕ずっとベッドの上にいて…」となると、ベッドから起きなければいけないということを話します。

・場所を変える
家だとなかなか集中しにくいということであれば、場所を変えます。
喫茶店やファミレスに行くなど、ベタですが大事なことです。気持ちを切り替えて集中するには必要です。お金はかかりますが、やった方が良いと思います。

・同じスケジュール
同じスケジュールで生活することも重要です。

教科書にはよく「ASDの人はこだわりが強いので、同じようなスケジュールで生活しています」と書いてありますが、意外と同じスケジュールで生活している発達障害の人は実臨床では多くありません。

なぜかと言うと、純粋なASDの人は少なく、ADHDを合併している人が多いからです。
スマホなどテクノロジーの進化、在宅勤務など、同じようなスケジュールで生活をしなくてもよい環境になっているので、その場に合わせてやってしまっています。

ですが、同じスケジュールでやることは非常に大事なのです。
その方が集中しやすいですし、効率よくやれます。

起きる時間も寝る時間も一定にした方が、睡眠の質は高まります。体が「寝るぞ」と分かっているので、休息の効率が上がります。
仕事もそうで、スイッチが入りやすくなります。毎日同じ時間から同じことをした方が、体の方が「よし、今はこの時間だ!」とスイッチが入りやすいです。

勉強する時間も決めた方が良いです。同じ時間で習慣化してしまえば、やる気が出ないということはありません。やる気は出ますからやった方が良いです。

3.アルコール、ギャンブル、スマホから離れる

発達障害の人はASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠陥・多動性障害)の2つを合併していることが多くあります。

そのため衝動性に弱く依存しやすい人が多いので、アルコール、ギャンブル、スマホ依存などで身を崩してしまう人が多くいます。

依存症とは言わなくても、それでリズムを崩してしまう人が多いので、仕事がうまくいっていないのであれば減らしていく努力をします。

どれくらい自分がそれに依存しているかを一度紙に書き出してみると、1日飲んでいるお酒の量、1日にスマホを使っている時間など意外と多いことに気づくと思います。

4.他人は気にしない、表情は読む

表情を読むことが苦手だから発達障害だとも言えるのですが、苦手だけれど努力することが重要です。

発達障害の人は他人を気にしない、他人の気持ちを考えないと言われたりしますが、実際、診察室に来ている人は他人のことを気にする人が多いです。
ただ、他人のことは気にするのですが、表情は読まない人が多いのです。

他人のことはそれほど気にする必要はありません。
相手が何を考えているか、何をしているか、自分のことをどう思っているかは気にする必要はありません。特に仕事の上では、相手が嫌っていようが好かれていようが淡々とやるだけです。

ですが、その場その場の表情は読んだ方が良いのです。

相手は自分のことを嫌っているけれど、仕事をやらなければいけないからきちんとやります。でも相手の表情を読みながらやる必要があります。

相手の機嫌が悪い時に何か頼んだりすると、自分に好意があったとしてもうまくいきませんし、嫌われていたらより関係が悪くなってしまいます。

その場その場の表情を読んで仕事をしますが、家に帰ったら他人のことは気にする必要はありません。
目の前にいる人の表情を読みます。

当たり前と言えば当たり前ですが、意外と「ああ、そうなんですか」と言われることが多いです。

5.具体的に聞く、伝える、頼む

発達障害の人は、具体的に言われないとわかりません。

「良い感じでやっておいて」「早めに出しておいて」と言われてもよくわからないので、早めというのはいつなのかをきちんと聞く、伝える習慣をつける必要があります。

定型の人は非定型の人に具体的に伝える、非定型の人は定型の人に具体的に聞く習慣をつけるようにします。 

定型の人も具体的に言われたほうがわかりやすいので、「この仕事はいつまでにお願いします」と伝えると良いです。

自分が苦手なことも、具体的に頼むようにします。
「聴覚過敏があるので音がうるさいことが苦手です。なので仕事中にヘッドホンをさせてください」「感覚過敏でエアコンの風が当たると辛いので、場所を変えてください」「耳から入る情報を処理するのが苦手なので、口頭ではなくメールや紙で指示をください」などと伝えます。

相手は発達障害のことをわかっているようでわかっていませんので、かなり具体的にお願いをする必要があります。

うまくやっている発達障害の人をマネる

テレビや小説などを見ていると、やはり作家の方は発達障害の傾向がある人が多くいます。
そのような人たちは、惜しげもなく自分の仕事術を語っています。それをマネるのです。

自慢ではなく、親切心で彼らはこのようなやり方をすれば良いのだと教えてくれています。
そこのまじめさや素直さは発達障害っぽいなと思います。

発達障害の人にはマネることを嫌う人が多くいます。
マネるのが苦手なこともありますが、マネることが不誠実だと思うこともあるようです。ですが、マネる事は不誠実ではありません。むしろマネされた側は喜ぶものです。
ですから、良いものはどんどん盗んでいくと良いと思います。

今回は「発達障害の仕事術」を解説しました。


2021.10.3

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