今日は「優しくして出世する人と利用される人の違い」について解説します。
会社だけでなく、優しくしてどんどん友達が増えていくタイプの人もいれば、優しいのに舐められていじめられてしまう人がいます。これはどういう違いなのかということについてお話ししようと思います。
こちらの本を使って説明をします。
アダム・グラント著「GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代」三笠書房
コンテンツ
ギバー、テイカー
社会のトップは「ギバー」です。
他者中心で与える人が多くいます。
もう少し下になると競争に強いのは「テイカー」です。
自己中心的で相手から奪っていくタイプの人です。
その下にいるのが「マッチャー」です。
奪うこともするし与えることもします。見返りに応じて公平に動く平凡な人たちです。
そして最下層で損をする側の人が「ギバー」です。
他者中心で優しくするのですが、見返りが少ない人たちです。
割に合わないことをしている人が患者さんにも多いです。
ギバーは給料以上に働いてくれる、マッチャーは給料並に働く、テイカーは給料ほどに働かない、一番上のギバーは給料以上に働きます。
やりたいことをはっきりさせる
よくこういう話をすると、どうすれば良いのですかと聞かれます。
アドバイスとしてはこちらの3つです。
1.自分を大事にしよう
2.見返りを求めるのは悪くない
3.自分のやりたいことをはっきりさせる
見返りに何が欲しいのかがはっきりしていないと、相手も優しくしてくれた割に何を返せばいいかわかりません。ですから自分のやりたいことをはっきりさせておくことが大事です。
これは、最下層のギバーからマッチャーに行こうという話です。マッチャーで良いといえば良いのですが、テイカーには負けてしまいます。
でもこれだと抽象的すぎて、実臨床ではわかりにくかったりします。
多くの患者さんは普段はマッチャーですが、強烈なテイカーが来た時にパワハラにあってギバーの側に陥ってしまいます。
人によってはテイカーだったのですが、より強力なテイカーが現れてギバーに落とされることもあると思います。
いろいろあると思いますが、ある程度相対的なものです。
誰がテイカー?
ではどうしたら良いかというと答えは結構簡単です。
より実践的な話をするのであれば、「誰がテイカーか?」「どんなことが起きているのか?」をきちんと見極めることが重要です。
・場の空気
・会社の全体的な流れ
・「風向き」が変わるタイミング
パワハラやセクハラにあっている患者さんには、今はその人が力を持っていても風向きが変わるタイミングがありますから、それを待つ我慢ができるかどうかという話をしたりします。
「皆に嫌われているのではないか」「自分が悪いのではないか」という思いにとらわれていることが多いのですが、そうではなく冷静になってどのような力動が働いているのか、組織の病理としてどのようなことが起きているのかをきちんと考えることが重要です。
「正義感」や「感情」で動く?
また、正義感や感情で動きがちです。
「何が起きているか」という時に「こんなのありえない」「正義じゃない」「こんなのは間違っている」「悲しみ」「不安感」などで動いてしまい、そこで会話が繰り広げられることがありますが、これは自己満とは言わなくとも本質の理解には繋がりません。
せっかく病院に来ているのです。
病院は第三者の意見を聞ける場所でもあります。
精神科は患者さんの感情にも寄り添いますが、正義を認めていく場所ではありません。
感情や正義を診察室で認められたとしても、それが家や会社に持ち帰って機能を果たすわけではありません。
先生が言っていたから私は正しい。先生が言っていたから私の不安は妥当なものであるとはなりません。
相手はテイカーだったりするわけですから、あなたの正義や感情には関心がなかったりします。自分の利益が大事なのです。
ですから、そこよりは第三者を利用して、冷静に何が起きているのか、場ではどのようなことが起きていて、風向きが変わるタイミングはどうやって見極めたら良いのかという話をしていくのが良いと思います。
自分を大事にして、自分のやりたいことをはっきりさせ、どのように振る舞うのが適切なのかを考えるのが良いと思います。
復職をするのか転職をするのかも似ています。
自分のやりたいことをはっきりさせて、組織の様子を伺い、どちらが得なのかを考えるのが重要だと思います。ですから転職が良いのか復職が良いのかもケースバイケースです。
あまり感情で動かない方が良いと思います。
前向きになる考え方
2021.11.16