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不安や困りごとを可視化する、カルテの書き方

02:10 初診
09:03 再診
10:48 日常への応用 

今日は「不安・困りごとを可視化するカルテの書き方」というテーマでお話しします。

本屋に行くとよく「不安を書き出すノート」や「困りごとを整理するノート」など、ワークブック形式の書き込むことで気持ちを整理する本が売られています。

僕も結構読んだりするのですが、そのような本と、実際に僕らが患者さんの話を聞きながら皆さんの困りごとを整理するやり方はかなり違います。

今回は僕らのカルテはどのように書いているのかを説明します。
これは、日常生活にも応用できるのではないかと思います。

カルテの書き方を説明すると言っても、ちゃんとした書き方は今回は説明しません。ですから専門家向けではありません。
わかりやすく伝えられるように、細かいところはアレンジしています。
症例報告をするときのカルテの書き方とは全然違いますので、その点はご了承ください。

初診、再診のカルテの書き方、それから日常への応用について軽く触れます。

初診

主訴、現病歴、生活歴、既往歴・アレルギー、アルコール・タバコ・違法薬物、病前性格、精神現症、診断、治療方針、家族歴を埋めていきます。

・主訴
主訴とは「患者さんが今困っていること」です。
基本的には口語で書いた方が良いと言われています。患者さんが口で言ったことを短い文章にまとめて書きます。「眠れない」と言っているならば「眠れない」と書きます。

主訴といっても1個ではなく複数あることもあります。
見やすいのが一番です。

・現病歴
どうして眠れなくなったのか、そのきっかけから書いたりします。
X年4月に異動~(忙しかった)
6月より抑うつ気分出現~
最近眠れなくなった、などと書きます。

その困りごとがいつから始まって、どのように変化してきたのかということを書きます。

・生活歴
子供の時の様子です。
「同胞2名第1子」というのは二人兄弟の1番目の子ということです。
出身地も書いています。
東京に住んでいても地方出身の方が多いので、出身地も聞いています。

なぜ出身地を聞くのかというと、休職になったときに実家に帰る人もいますし、実家に連絡をしなければいけない時もあるので聞いています。

幼稚園のときはどのような子供だったか、小中高はどうだったかを聞いて、職歴も聞きます。
発達障害の有無、知的障害の有無(特殊学級)を確認し、職歴からどのような経過を辿ってきた人なのかを推測するために聞きます。

親子問題も聞きます。
親からの虐待があったのか、逆にスポイルされていた(甘やかされていた)のかなども聞きます。

・既往歴・アレルギー
体の病気やアレルギーの有無を確認します。

・アルコール・タバコ・違法薬物
違法薬物を使ったことがあるのかを確認します。

・病前性格
ご自身はどんな性格なのかを聞きながら答えてもらうと、治療のヒントが詰まっていたりします。
自分で自分のことを書いても意味がないと思うかもしれませんが、結構そのときの書いている様子、文字の感じなど違います。
また、人によっても全然書くことが違います。「意地っ張り」と自分で書く人もいます。
いろいろな書き方をするので結構個性が出ます。

普通のことしか書いていないように見えても、バラエティーに富んでいたりします。

・精神現症
今どのような症状があるかということです。
「抑うつ気分、不眠」など書いたりします。

・診断
ストレスからくるうつの場合は「適応障害」など書きます。
また、今困っている問題「人間関係」など括弧付けで書くこともあります。

・治療方針
睡眠薬を処方して休職するかどうか検討。家族へ連絡するなど書いたりします。

カルテはこのような感じで書きます。

・家系図(家族図)
家系図も書いたりします。□が男性で◯が女性、本人は中に黒丸を付ける。
年齢、職業、居住地、一人暮らしなど書いたりします。
このようなことを文章で書くのは難しいので、僕は家系図にメモをしています。

・組織図
会社の組織図、周りにいる人の感じ、いつも「上司」と言うけれどその人はどのような上司なのか、課長なのか係長なのか、会社の規模などもわかりやすくするように組織図を書いたりしています。

これらのことを初診の段階で全部埋められたら良いのですが、初診の段階では聞き取りにくいこと、聞き取れないこともありますので、問診票にこの辺りのことを埋められる質問を載せています。
当院の場合はWEB問診票も用意していますので、事前にスマホやPCから送信していただくことも可能です。

再診

再診の場合はSOAP(ソープ)と言って、4つに分けて書きます。

S)初診で言う主訴のようなもの
「休もうか、と…。家族にも休んだら?と言われました」

O)客観的な要素
「表情が暗い」

A)評価(アセスメント)
#1適応障害 #2人間関係の2つの問題がある。
人間関係はパワハラに関係するのかなどメモに入れます。

P)計画(治療)
#1診断書作成(適応障害に対して)
#2支持的傾聴(人間関係に対して)
こういう方針で治療をしていこうということを書いたりします。

今何が問題なのか、それに対してどのような行動を取るのかを整理して書きます。

「人間関係で悩んでいます」と言ったあとに、その人間関係がどの人間関係なのかをきちんと聞くことが重要です。
家族、友人、恋人、会社、その他などきちんと聞いて分けていくと、だいたいどれかが出てきます。
「全部そうなんです」と言われても、1個1個の質や量、何に悩んでいるかは実際には違います。これも分けて聞いていくと問題解決になっていきます。

日常への応用

1.書き出す/分類整理/小さく分ける

今起きていることを可視化する方法としては認知行動療法が有名です。
認知行動療法のワークをやる方も多いと思いますが、いまいちやりにくいという人も多いと思います。

そのような人は、いつから困っているか、生い立ちはどうだったか、家族のこと、今の人間関係など一度書き出してみると良いです。
認知行動療法も良いのですが、今回の書き方も参考になるのではないかと思います。

そして、書き出した後に分類・整理します。
人間関係といっても家族なのか、恋人なのか、友人なのか分けていきます。

それをさらに細かく分けていきます。
友人といってもそれは地元の友人なのか、東京の友人なのか、最近知り合ったのか、昔から知っているのかなど細かく分けます。
いろいろな分け方がありますので、細かく分けてそれら1つ1つを検討していくことが重要です。

分類や整理、小さく分けていくことが苦手だという人が多いのですが、何でも良いのです。
一回書いた後に何度も書き直すことになるので、書き直すたびに整理していきます。

最初の分類は「地元の友人、東京で知り合った友人、会社で知り合った友人」などと分けるかもしれませが、またぐちゃぐちゃとなり「最近知り合った友人、連絡を取っていない友人」と分けることもあります。そして「ゲーム仲間、グルメ仲間」などと分けるかもしれません。

分け方は変わっていきます。
今の自分にとって適切な分類にすれば良いので、とりあえず書いてみることが重要です。

2.治療の流れを体得→ビジョン、中長期計画、短期目標

僕らはこのようなカルテを治療のビジョンが見えた状態で書いています。
「この人はこのような治療経過を辿るだろうな」とわかりながらカルテを書いていますし、診断や治療方針が変わることもあるのですが、変わってもその先のルートは既に見えていたりします。

だから結構整理して書けるのですが、多くの人は今後の人生の流れやどのような問題があるのか、どうやって解決していくかの流れがよく見えないと思います。

流れが見えるようにするにはどうしたら良いかというと、やはり「ビジョン」です。
ビジョンとは自分の人生では何をしたいのかということです。
また、中長期計画、半年くらいの短期目標を作ってみると良いと思います。

これらを作ることで今の困りごとの優先順位も付けやすくなりますし、これからの自分の生活の流れもわかりやすくなると思います。

今年もそろそろ終わりますので、1ヶ月くらいかけて今年はどんな年だったのかを振り返ってみて、来年はどんな年になるのかを考えて一度書いてみて、今の困りごとを今年のうちに解決できるのか、できないならば来年どう頑張るのかを整理してみるのも良いと思います。

整理する時にはカルテの要素を思い出していただき、 と思います。

書いてみると意外と「あの時の経験と今は似ているな」などあります。
上司はパワハラが多い人だけれど、どこか父親に似ているななどわかったり新しい発見もあると思います。

今回は、不安・困りごとを可視化するカルテの書き方というテーマでお話ししました。


2021.12.7

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