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嫌われる、についてふんわり解説 #早稲田メンタルクリニック

01:22 生理的不快
04:04 利害関係の不一致
05:13 弱者へのいじわる
05:31 相手からの投影、転移、投影同一視、過度な期待、甘え、◯◯すべし思考
09:25 個別に吟味する

今日は「嫌われる」について、医学的というよりは、エッセイ的、雑談的に考えてみようと思います。

患者さんはよく「嫌われたくない」「あの人に嫌われているかも」「あんなことがあって嫌われたんです」などと言いますが、実際どういうことなのかを一歩踏み込んで考えていることは意外と少なかったりします。

特に若い人はそうです。
高校生や大学生は「そもそも嫌われるってどういうことなんだろうね」と言うと、言葉を濁すことが多いです。

改めて「嫌われるとはどういうことか」を一から考え直すことは少ないと思いますので、今回一緒に考えていけたらと思います。

嫌われるのはどのような時かを思いつくままに書いてみました。

生理的不快

まずは生理的不快です。
一番最初にこれを言うと元も子もない気がしますが、生理的に合わないというのはやはりあります。

生理的に合わないパターンを考えてみました。

・価値観
価値観が合わないというのは大きいです。
みんなで集まっていこうよという人と、個人個人でやっていこうよという個人主義の人は、対極なので合いません。合わないので仲良くなりません。

細かいところで人の価値観は意外と違います。
「日本人は皆同じ」という価値観がある社会で育つと意識しないのですが、意外と話していくと細かいところの価値観にズレがあり、その結果相容れず嫌われてしまうということはあります。

・動物的相性
生理的な不快の中に「動物的なもの」があります。

例えば、思春期の親子はどう考えても仲良くならないわけです。
子供は父親や母親を嫌いになる、イライラするようにできています。そうならない子もいますが、基本的にはそうなるようにできています。

まだ解明されていませんが、人類はおそらく多様性を維持するため、行動するため、群として成立させるために、人間同士をくっつける本能もあれば突き放す本能もおそらくあるはずです。

・見た目、声、ニオイ
動物的相性と同じような要素かもしれませんが、見た目、声、話すスピード、ニオイで嫌になってしまうこともあります。

生物学的な多様性を作るために人類はそのようにできているのだなと思えば、なぜ嫌われてしまったのかというときに、慰めというか、仕方なかったと思えるかなと思います。

利害関係の不一致

2つ目によくあるのが「利害関係の不一致」です。

同じ会社でもライバル関係にある場合は嫌われます。やはり上手くいかないものです。
互いにwin-winの関係だったら良いのですが、同じパイを奪い合うような関係だったり、一方が得をして一方が損をするというような関係だと、嫌われるということはあるのではないかと思います。

「大人になれ」というのは難しいです。
そこまで大人になれる人は多くいません。自分は損をしても赤の他人のことを好きでいられる、ということはなかなか難しいです。

人と人はぶつかるからこそ新しいパワーが生まれたりするので、互いに妥協できる範囲で付き合っていると良いものは生まれなかったりします。
真剣にやればやるほど利害関係の不一致から生じる、好きとか嫌われるということは起こるのではと思います。

弱者へのいじわる

3つ目は「弱い人へのいじわる」です。
強い人が弱い人にいじわるをします。「嫌われるんです」と言っても、実際は嫌われているのではなく意地悪をされているだけというパターンも結構あります。

相手からの投影、転移、投影同一視、過度な期待、甘え、◯◯すべし思考

精神科医的な話を言うと、「相手の問題」ということもあります。

それは何かと言うと、相手からの「投影」「転移」「投影同一視」を受けているということです。
これらはこのチャンネルではよく出てくるタームです。

「投影」とは、相手の気持ちをこちらに反映させているようなことです。
相手が不快な気分を持っているときに、「益田先生怒ってるんでしょう、だから私は怒ってるんです」と言ったりするパターンです。(僕は何も怒っていません)

「転移」とは、例えば「メガネをかけている男性が怖い」と思っている時に、実は父親が怖かったので父親に似た容姿をしている人は嫌い、怖いと思ってしまう、このような転移を受けて嫌われていることもあります。
ドラえもんの「スネ夫」とキテレツ大百科の「トンガリ」みたいなものです。

「投影同一視」とは、コロナいじめのようなものです。自分の中の嫌なものを相手にぶつけます。
自分が勉強ができないのは父や母が「勉強しろ」と言うからだ、両親のせいで自分は勉強ができない。自分が上手くいかないはあいつのせい、怒っているのはあいつのせい、怒りの根源はあいつ、などいろいろあります。

相手の不快感の「象徴」になってしまうことはあります。

女性同士だったら、相手が幼少期にお金で苦労した場合、新入社員なのにブランド物を持っていたことで目をつけられてしまったり、嫉妬の象徴のようになってしまい、いじめられることがあります。このようなことが投影同一視です。

他に、相手から過度に期待されてしまったり、相手の甘え、相手の「べき思考」の影響で嫌われてしまうことがあります。
医者だったら助けるべきだ、上司だったら教えてあげるべき、自分の仕事を代わってもらうべきなど、隠れたべき思考が結構ありますのでその問題もあるかと思います。

自分の問題ではなく相手の問題だったりするのですが、それに巻き込まれてしまうことがあります。
そしてそれを自分の問題のように感じてしまいます。(こういったことを「逆転移」と言ったりします)

このような場合は一回冷静になって、「自分のせいではなく相手の問題だな」と思い直すことが重要です。

その他としては、たまたま虫の居所が悪かったなど色々あります。

個別に吟味する

人に嫌われることを気にするなと言ったりしますが、嫌われたら困ることも当然あります。
例えば会社員だったら社長に嫌われてはいけないわけです。

人間社会は基本的に動物の集まりと一緒なので、人間社会だからルールを守っている、人間同士だから道徳的にあるべきだなど思いますが、だいたいそうはなりません。しょせん動物の集まりなので、理想通りにはいきません。
動物の反応なので、嫌われないように振る舞うのが動物の中で生きるコツです。

誰に嫌われているのか、どうして嫌われているのか、漠然とさせるのではなく個別に案件を吟味していくことが重要です。
誰にどうして嫌われていてどのように対応すれば良いのか、「みんなに嫌われている」ではなく個別に吟味していくようにします。

ついつい感情的な問題は十把一絡げにして悩みがちですが、そうではなく1個1個丁寧に具体的に扱っていくことが大事です。どんな問題も一緒です。整理していくことが重要です。

今回は「嫌われる」について雑談めいたことをお話ししました。


2021.12.18

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