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発達障害グレーゾーンを解説します

00:18 発達障害とは
03:05 グレーゾーン:境界線はある?
05:05 薬の効果は?
07:21 甘えですか?

本日は「発達障害グレーゾーン」を解説します。

発達障害とは

発達障害とはこの3つの疾患から成り立つ病気です。
・ASD
・ADHD
・LD

「ASD(自閉スペクトラム症)」は、空気が読みにくい、人の気持ちがわかりにくい、コミュニケーションが下手、こだわりが強いといった特徴があります。

「ADHD(注意欠如・多動症)」は、忘れ物が多い、衝動的、そわそわして多動という特徴があります。

「LD(学習障害)」は、知的な問題はないにもかかわらず、なぜか国語だけできない、読み書きだけできない、算数だけできないといったものです。

この3つがなぜまとめられているかと言うと、知的な能力に凹凸があると考えられているためです。実際合併することが多く、ASDとADHDを合併している人はたくさんいます。
純粋なASDや純粋なADHDという人は少なく、だいたい合併しています。
この能力の凹凸を「発達障害」と言ったりします。

知的な能力というものは、改めて言うまでもありませんが、いろいろな能力の複合です。
脳も複合的にできていていろいろな部署の集まりです。ですから、脳は1つの臓器のように見えてたくさんの臓器が連携しあっている大きい会社のようなものです。
会社の中では営業部門、研究部門、開発部門、財務人事などいろいろあってやりとりをしています。そのようなものだと思ってください。

頭の能力もそうで、運動はできるけれど他のことは苦手な人もいれば、国語はできるけれど算数は苦手という人もいます。
会社の中で財務部門が強いところ、人事部門が強いところがあるように、人間の中にも得意不得意がありバラバラです。

このバラバラ具合が人間の性格の多様性、個性を生んでいます。
ただこのバラバラ具合があまりに大きいと生活をするのが大変です。

他のことはできるのに、なぜか国語だけできない。読み書きだけできないせいで、原始時代は困らなかったけれど現代ではすごく困ります。
他のことはできるのに、計算だけできないからすごく困る。
他のことはできるのに、忘れ物だけはなぜか多い。
こうなると生きづらくなります。

グレーゾーン:境界線はある?

この凹凸の激しいものの、上位1~2%くらいを発達障害と言ったりします。
7~8%くらいをグレーゾーンと言ったりします。

・境界線の根拠はある?
この境界線の根拠は何かと言うと、なかなか難しいです。

生物学的にはもちろんありません。1~2%から急に変わるということはありません。
100人中の上位1、2番目は問題で3番目は問題ないということはありません。だんだん問題の程度は減っていきますが、やはりあるわけです。
ですから生物学的にはありません。

ですが、社会学的には少しあります。
あることができないと急に社会適応が悪くなるということがあります。
ギリギリ電車に乗れる人と電車に乗れない人とでは、生活の質が全然違います。
ギリギリ働ける人と働けない人とでは生活の差はあります。
こういったことから社会学的には境界線があると言われています。

働けない、学業に支障があるくらいのレベルがだいたい1~2%で、これを障害として分けるという定義にはなっています。

「あなたは発達障害の傾向が強いかもしれないけれど、何年も会社で働けているのだから、障害ではなくグレーなのではないですか?」という言い方をされるのはこのような根拠があります。
ただこれも定義の問題なので、生きづらいのには変わりありません。

薬の効果は?

薬の効果はグレーゾーンの場合にもあるかどうか、これも簡単には言えません。

そもそも薬が効くかどうかわかるには臨床試験をするわけです。
薬が開発された後、被験者を集めて薬を飲んでもらい効果を判定します。

この判定試験の時には障害と診断されている人を見ているので、グレーゾーンの人は検証しません。ですから効果が「ある」とは証明されていません。
とはいえ、2位と3位の差はほとんどないのである程度の効果はあります。

ただ、障害の程度が軽度だと効果の実感が薄いということが臨床的にはよく知られています。
これは発達障害に限らず、どの病気でもそうです。症状が軽いとあまり効果を実感しにくいということはあります。

一般論として、病気というのは100(重い)~30くらいまでは結構薬が効きます。
でも30~0はなかなか効きにくいです。
ですから、もともと35だと薬を使っても28くらいまでしか行かなかったりします。
軽度だとコスパが合わないと感じるかもしれませんが、一応効果はあります。

また、薬の効果は個人差が大きいです。
発達障害といってもわかっていないこともまだ多く、この人には効くけどこの人には効かないということが結構あります。それがなぜかはまだわかっていません。
ですから軽度だから薬はいらないということではなく、個人差があるので結構使ったりしています。

甘えですか?

「グレーゾーンは甘えですか?」と言われても、それは違います。
苦しみは同じではありません。
ですから障害は障害ということです。

ちょっと、説明を付け足しますが、凸凹具合が大きいのを僕は「凹凸スコア(仮)」としました。(ホワイトボード左上の図)

・正規分布
人間は「端」に行くほど少ないです。
クラスの人の身長を想像してください。
背が低い人や背が高い人は少なく、平均的な身長の人が一番多いです。
それを細かくとっていくと図のような形になるというのが正規分布です。
ただそれだけのことです。

端に行けば行くほど不幸です。
不幸で生きづらいので、かわいそうなのです。
これは完全に「運」です。

人間は同じようなものをたくさん作るというよりは、多様性のある生き物を作ると進化の過程で選択しました。
だから一人一人が違うようにできています。
性格も能力も違うようにわざと作っています。

僕なんて現代だから医師で優秀そうに見えるかもしれませんが、原始時代だったら、運動神経も悪いし目も悪いし…。今の時代だからたまたま許されています。

環境が変われば、その人が優れている、優れていないというのは変わっていきます。

とは言っても、原始時代でも僕なんかヘラヘラしていますし、体力もそれなりにあるのですごく困ることはないかもしれません。
でも環境が変われば誰が活躍するかは違うわけです。

そのように人間はできています。
だから本当に運なのです。

そしてそのように多様性を持たせようとすると、弱い人というのが出てしまいます。
強い人がいるということは、逆に言うと弱い人が生まれるということです。
多様性があるというのは、争いが起きるということです。

人類は進化の過程でそれを選んでしまいました。
選んでいるということを知らなければいけませんし、理解した上で謙虚に生きなければいけません。
ですがなかなかそうは思えず、「甘えているのではないか」と思うのです。

多様性があるので人々は端の存在を想像できません。
想像できないから「甘えだ」と言ったりします。

でもそうではありません。
たくさんの人がいて多様であれば、困っている人はいるわけです。必然的に生まれてしまいます。
その概念がないから困っています。

すごく大きな凹凸があるから困るのかというとそうではなく、グレーゾーンの人も生きにくいですし、同じ「忘れ物をしやすい人」であっても、「あいつは楽しそうにやっている」「あいつは頑張っている、でもお前は何なんだ」と言われるかもしれませんが、もう一個個性というものがあります。

そもそもグレーゾーンがあった上で、
「グレーゾーン」×「不安を感じやすい」×「悪い家庭環境」×「悪い職場環境」
このように不幸が重なってくる人がいます。

一個一個の可能性は低いのです。
グレーゾーンである可能性が10%として、不安を感じやすい人が10%、悪い家庭環境の人が10%、悪い職場環境の人が10%、となると0.01%です。

一個一個の不幸はよく見る不幸であっても、それが重なる人はかなりレアなのです。
そしてそれを人々は信じられません。

「グレーゾーン」という一個の特徴だけを見て「甘えている」と言うのではなく、うつになる人、精神科に来る人は重なっているのです。
一個だけで来ることはあまりなく、だいたい言わないだけでいくつか重なっていることが多いです。

いくつか重なっているから精神科に来ています。
そして、病気がいくつか重なっている、不幸がいくつか重なっている、そのようなレアな人を多くの人は見たことがありません。
だから想像がつきませんし、信じません。
「甘えている」と言ってしまいます。

でも多くの人を見ている人、例えば精神科医ならばこのことがわかります。
そうではなく少ない人にしか会ったことのない人だと、その人の苦しみや悩みがよくわかりません。だから「甘え」と言ってしまうことがあります。

グレーゾーンだけでも生きづらいですし、それ以外にも問題を抱えていることがあります。
それが重なってこの人は、「なるべくしてうつになった」ということが多いです。

本当に困っている人は多いのです。
一人で抱えずに一緒に考えていくことが重要だと思います。


2022.1.9

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