東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

良い精神科医の見分け方、デジタル空間での振る舞いも含めて

00:50 治療構造
03:51 準備
05:59 診療
06:56 臨床以外の活動
07:30 デジタル空間での存在感を確かめる
08:52 デジタル空間では?
15:10 治療システム

本日は「良い精神科医の見分け方」というテーマでお話しします。

先日のYouTubeライブで「良い精神科医はどんな先生ですか?」という質問がありました。
ライブでは上手く答えられた気がしませんでしたので、改めて動画に撮ろうと思います。

どういうポイントを見れば、ということですね。
精神科医のどういうところを見たらその人が良い精神科医かそうでないのかがわかるのか、実力のある精神科医なのかそうでないかがわかるのか、ということをお話しします。

治療構造

まずは治療構造やシステムを見ると良いと思います。
その病院が総合病院なのか、精神科の病院なのか、クリニックなのかによって見るところが違います。

大学病院や総合病院は重症の方を診ることが多いです。
身体合併症、例えば摂食障害ですごく痩せている、うつ病でガンを併発している、ステロイド精神病といった身体疾患を合併しているようなケースが多いです。

精神科病院は入院施設があるので、いわゆる普通のうつ病、躁うつ病、統合失調症をメインに診ます。
外来も入院患者さんの再発予防、退院後のフォローが多いです。

クリニックというのは町医者なので何でも診るといえば何でも診るのですが、いわゆる軽症の方を診ることが多いです。
入院にはならないケースを診ることが多かったりします。

それぞれ病院の施設のレベルによって、診ることのできる患者さんや対応できる力に違いがあります。
大きい病院の方が対応できることが多いです。
僕は個人でやっているので対応力は弱かったりします。

また、地域によって違いがあります。
その地域には病院がなかったりすると一人の医師にかかる負担が大きくなりますし、東京は何だかんだ言って病院が多いですから、僕はその辺はわがままを言わせてもらっているというか、余裕ある診療をさせてもらえているな、という気がします。

この先生は金儲けが好きだから薬だけ出してどんどんどんどん患者さんを診ていると思うかもしれませんが、やはりその地域によって違います。

その病院病院によって果たさなければいけない責任や役割が違うので、ある病院は短時間でたくさん診ているから悪い先生というわけではなかったりします。
色々な事情があったりします。

話を聞いてくれないから悪い医師ということもないです。
だいたい5分プラスαというのが普通です。
それより長く聞いているというのは、なかなか現実的には難しく、どこかに皺寄せが来ていたりすることが多いかなと思います。

医師自身の自己理解

準備がしっかりできているのか、というのもポイントです。
自己理解、ドクター自身が自分のことをちゃんと理解しているのか、ということは結構重要です。

ドクター自身が自分のこと、自分の長所や欠点をわかっていないと患者さんに悪影響を与えることがあります。

例えば自分が子どものときに親からすごく怒られたりすると、その先生は無意識のうちに厳しい親に対して批判的な態度をとったりします。
患者さんが親だった場合、あなたは子どもに厳しすぎるんだ、と説教が始まってしまったり、子どもに対してはお父さんは酷く言い過ぎだよね、と過度に同情してしまったり、留年するなんて普通なんだ、それを怒りすぎる両親が悪いんだよ、と過度に同情することが起きたりします。

そのようなことがないように、自己理解を深めていくことが重要だと言われています。
自分の気持ちをそのようにぶつけてしまうことを、ちょっと違うのですが「逆転移」と言ったりします。

資格

専門医というものがあるので、専門医を取得しているのかどうか。
精神保健指定医かどうか。
ということがポイントでもあります。
できれば医学博士も取得していると、しっかりと研究やトレーニングを積んでいるんだという気がします。
僕はちなみに医学博士は取っていません。

大学院へ行くことがタイミング的にできず医学博士を取れなかったのですが、それは僕が自衛隊にいたということも関係しています。
医局人事で動いている場合は取ってることも多かったりします。
医学博士を取ってないからダメということも特にないのですが、専門医と指定医は取っていた方が良いのかなという気がします、精神科医を名乗るのであれば。

診療

あとはきちんと診断ができるのか、薬物治療は適切か、精神療法は適切にできるのか。
マネジメント(多職種連携)はきちんとできるのか、自分の病院では診きれないと思ったらすぐに転院を説明できるのか、福祉との連携はできるのか、生活保護申請などの説明ができるのか、障害年金や障害手帳、自立支援の説明ができるのか等々のマネジメント能力がしっかりあるかというところが実力を見分けるポイントかなと思います。

これらができていても患者さんに伝わってなければ意味がありません。
カルテ上はできているのですが、患者さんに伝わっていないことがあります。
この点も医者の実力を見分けるポイントだと思います。

臨床以外の活動

また、医者というのは臨床だけしているわけではないので、臨床プラス教育的なことをしているのか、臨床プラス研究的なことをしているのか、経営やマネジメント、即ち組織運営に携わっているのかというのも医者の実力を見分けるポイントでもあります。
でも患者さんには関係のないポイントではあるかな、という気がします。

以上がどういう精神科医なのかを見分けるポイントといえばポイントかなと思います。

デジタル空間での存在感を確かめる

実際にはその先生が専門医や指定医を持っているのか、自己理解がちゃんとできているのか、そもそも診断がちゃんとできているのかなどは患者さんから見たら見分けがつきません。

ですので、どうやって見分けるのかというと、会ったときの印象や喋り方、その先生の見立てを聞いたりすることで見分けていくということになります。

ただ、今はホームページなど色々とありますから「デジタル空間」での存在感を確かめる、デジタル空間でどう振舞っているのかを見ることで、良い精神科医なのかどうかはわかるような気もします。

僕もやはり転院をするときにはそのクリニックのホームページを見たりしますし、その先生の経歴も見たりします。
ホームページが古いと良い印象がなかったりしますし、コンテンツのボリュームや内容が適正かどうかも見ます。

デジタル空間では?

でもデジタル空間はまだ見て見ぬふりをされています。
医療業界の中では評価の対象には含まれていないような気がします。

僕自身もそうですが、デジタル空間ではどういうことが起きているのか、今後どういう風に臨床に応用できるのか、ということがよくわかっていません。
まだ誰も言語化できていない。
そのことをちょっとお話しします。

インターネットやスマホを触らない患者さんはほとんどいません。
ほとんどの患者さんはインターネットを利用しているし、毎日スマホを利用していると思います。

スマホを利用することによって何が変わったのか、この10年、20年で何が変わったのかというと、いつでも情報を知ることができるということです。

病気のことを知ろうと思えば知ることができます。
精神医学のことを知ろうと思えば知ることができますし、ガイドラインだって調べられますし、治療法や薬の効果について知ろうと思えば知ることができます。
いつでも知ることができます。
ですが、誤情報があったりしますので、見分けはつきにくかったりするかも知れません。
でも基本的にはいつでもどんな情報でも知ることができます。

またインターネットによっていつでも交流ができるようになりました。
匿名の掲示板だったりGRAVITYのような音声チャットだったり色々あります。
そういうことができるようになりました。
いつでも交流できるのでストーカーみたいな被害も増えたのかもしれません。

インターネットによるこのような変化がありました。
それまでは病気のことを知ろうと思ったら診察室の中かたまにある市民講座しか知る手段がなかったり、同じ病気を持った人や家族会なども病院や保健所のたまのイベントに行かないと情報を知ることができませんでした。

でも今はもうネットでできます。
できるようになっているのですが、どれを利用したら良いのか、どういう行動をすべきなのかということが医者側でわかっておらず、各々がやっているという感じです。
何をしたら良いんだろうと混乱している感じなのではないかと思います。

どうしてその辺りが未開なのかというと、一つは、精神医学というのは色々な病気の中ではニッチだということがあります。
なかなか資本とエネルギーとニーズが噛み合いません。
お金がまわりにくいです。

医療というのは儲かりません。
儲けようと思えば、全ての医療を自費診療にしてしまえば、命を逆手に取ってお金儲けができるので儲かるのですが、そういうことをしてはダメです。
そういうことが起きないように国民皆保険で国が医療を制限しています。
安い値段でみんなが医療を受けられるようになっているので、逆に、制限の強さから新しいビジネスを起こしにくいという面が生じます。

それはオンライン上でもそうです。
新しい医療ビジネスを立ち上げようとしてもなかなかできません。
オンラインカウンセリングも含め、なかなか患者さんにとって良いサービスはありませんし、あまり上手く回っていません。

どうして精神科医療がニッチなのかというと、患者さんしか興味がなかったり、その家族しか興味がなかったりします。
精神医学が一般の人にも役立つということがあまり知られていません。

精神医学は経済学や社会学、歴史学、政治学と同じかそれ以上に役立つものであるにも関わらず、心がない人、悩んだことがない人、不安にならない人はいないのに精神医学のことを本当に皆さん知らないということがおかしいのです。

車の運転をしているのにエンジンの存在を知らない、ガソリンを入れないと車は動かないことを知らないということはありません。
みんな心を持っているのに、働きすぎたらうつになる、お酒を飲みすぎたらアルコール依存症になるという当たり前のことなのに、皆知っているような知らないような、疑っているようなこともあったりします。
ここら辺は変だなと思います。

一般の人を巻き込むことによって、恐らくお金はまわり易くなりビジネスとして成立、そしてビジネスとして成立すれば、いつでも知ることができる、いつでも交流できるということがもっと医療的に良いシステム、良いサービスができるの ではないかと思います。

デジタル空間を含めて治療にすべきなのですが、それができていないのは今述べたことが原因だと思います。

ですから解決のためには一般の人を巻き込んで、関心のある人、精神医学とそれに関連する分野自体を大きくして活発化させないといけないと思います。
その走りとして僕もYouTubeをやっているし、YouTuberの会もあります。

治療システム

デジタル空間も含めた治療システムとはどういうことなのかについても少しお話しします。

主治医機能として、僕の患者さんは僕のYouTubeを見たり病気のことを勉強してから来院していたりします。
だから診察室の中だけが治療の場ではないです。
YouTubeも含めたものが僕の治療になっています。

問題があるなと思うのは、カリスマモデルみたいになってしまっていることもあるんじゃないかということです。
マスダと同じことができるのか、診察室以外で患者さんとデジタルとはいえ接触を持つことは本当に良いのか、ということについて、どうなんだろうとは思います。

精神分析でいう不在の時間を作らないというのは良いことなのか、と言いますが、ただそれは屁理屈も半分入っているという気はします。

やはり、いつでも知ることができる、いつでも交流できるというのはインターネットがもたらしたすごく良い技術革命だと思いますし、悪い点よりも良い点の方が圧倒的に多いです。
病気のときは不安ですし、本当に落ち込んでうつで苦しいときにスマートホンでいつでも情報を知ることができる、いつでも誰かと交流できるというのは本当に安心します。
それを我慢しろというのはちょっと変じゃないかと思います。

ちょっと落ち込んでいるのとは違うのです。
当たり前なのですが、精神科の患者さんはちょっと落ち込んでいるとかちょっと辛い、普通の人たちのそれとは違います。
病気ですから、普段は考えられないような苦しみと落ち込みと死ぬかもしれないという恐怖感の中にいるので、いつでも知ることができる、いつでも交流できるということが役立つと思います。

ただ僕がやっていることは正しいのか、それで充分なのか、これが適切なのかというのはよくわかりません。
マスダのやっていることが良いのであれば、みんながそういうことをやれば良いのか、みんなそれができるのかというと、恐らくみんな同じことはできないと思います。

でもどういうサービスを作っていくべきなのか、そこに医療情報を与えるのはYouTuberのようなインフルエンサーがやって良いのか、それともそういうことは良くなく、匿名性の高い形で情報発信した方が良いのか、色々なドクターがちょこちょこ出した方が良いのか、一人のドクターが中心となって出した方が良いのか、その方が記憶に定着しやすいのか、定着しにくいのか、そういうことが色々あるかなと思います。

デジタル空間を含めた人間の認知とはどういうことなのかというのがまだあまり語られていないし研究されていません。
ただ、僕は臨床家なのでわかってからやるというのでは遅いのです。
今困っている人たちもいるので、100%わかってないかもしれないけれど分かる範囲で頑張ってやっていくというのが正しいのではないか、と思います。

良い医者の見分け方とはどういうことかというと、オフラインの話もあるのですが、オンラインでの活動も含めて評価するというのもアリなのかな、オンライン上でのその人の動きも見ることでオフラインのことも分かるのかなという風に思います。

後半は自分の思いを熱く語ってしまいましたが、前半で良いことを話しているので後半は適当に聞いてください。

今回は良い精神科医の見分け方について動画を撮りました。


2022.2.6

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.