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自助団体、当事者会のメリット・デメリット

01:40 当事者会をやっていました
04:15 メリット
07:09 デメリット

本日は「自助団体、当事者会のメリット・デメリット」というテーマでお話しします。

自助団体、当事者会とはどういうものかご存知ですか?
病気の方が集まって、自分の悩みや困りごとを話したり、共感してもらったり、相談したり、アドバイスをもらう場のことです。

有名なのはアルコール依存症の当事者会です。
ギャンブル依存症、薬物依存症の当事者会もあります。
同じ依存症の人たちが集まって、互いに励まし合って一緒にやめていこうというのが当事者会で、アルコール依存症の当事者会にはAAや断酒会が昔からあります。

最近では発達障害の当事者会も多いですし、適応障害、うつの当事者会も結構あります。

オンラインで募集をかけて集まるということも珍しくなくなってきました。
Zoomで会を持ったり、現地で集まることもあります。

今回は、なかなか行くのが怖いな、と思っている方も多いと思われるので、メリットとデメリットについてざっくりと解説します。

当事者会をやっていました

僕自身は患者会をコロナ前、もう二年以上前ですがやっていました。
どうして笑ったかというと、若い人にとっては二年はすごい昔かもしれませんが、僕らぐらいになると二年前なんてついこの間くらいの気がします。
コロナなんてつい最近始まったような気が今でもします。

その頃は当事者会をやっていました。
座談会という形で月に一回ないし二回くらいやっていました。
僕も一緒に参加して自分のことを語ったりしていました。

元々は当院で働いていた心理士さんが始めたものでした。
アルコールの断酒会の人たちも来てくれていました。
昔のYouTubeアーカイブに断酒会の皆さんの動画が残っていますので、もし良かったら検索してみてください。

みんなでやっていたのですが、コロナが始まって終わってしまいました。
今もコロナがありますし、YouTubeライブという形で同じようなことができているので、今僕はやっていませんが、当事者会は結構好きです。
自助団体も結構勉強になるし好きです。

僕個人としては当事者会や自助団体に参加すると、患者さんがどういう思いで治療を受けていたのか、自分はこういう形で良くなった、ということを言ってくれるので、いつもの外来とは違った顔を見ることができます。
患者さんの違った思いを聞くことができたりしてすごく勉強になります。
良くなったことを感謝してくれることも多いです。

普通の外来では言わないようなことを聞くことができるので、結構胸が熱くなります。
やっぱり一生懸命にやらなきゃいけないな、自分の仕事はやりがいのある仕事なんだな、ということを教わります。
もちろん僕が主治医ではなく、他の先生の患者さんもいます。
自画自賛しているわけではありません。一応言っておきます。
患者さんに褒めてもらっているわけじゃなく、別のドクターの治療のことを話していたりもします。

メリット

メリットは、しっかり話せるというのが一つ目です。
普通の外来よりも長く自分の話ができるというのがメリットかなと思います。

色々な人の話を聞くことができ、相談もできるというのもメリットです。

また、長い時間、1~2時間という長い時間を一緒に共有できるというのは結構大きいかなと思います。
普通の外来だと5分くらいなので短いですよね。
カウンセリングでも45分とかだったりするのですが、当事者会だと1時間、2時間という長い時間を共有できるので、最初は緊張していても、後半はリラックスして喋れたりしますのでとても良いかなと思います。

自分の辛い過去や経験を語ることが誰かの役に立ちます。
診察室では楽になるためだけに話すのですが、当事者会では誰かのために話します。
自分はこういう思いで苦しかったけれど良くなった、ということが誰かの役に立ちます。
そうするとすごくやりがいを感じるし、自分が今まで抱えてきた苦労や不幸、辛い思いに対して、誰かの役に立つから何か意味があったのかな、という風に思えるということもすごく大きいです。

言葉はちょっと悪いですが、相互監視ということもあります。
互いに見張る、牽制するという意味があるので、そのせいでお酒を止めやすかったり、ギャンブルに走りにくかったり、自暴自棄になりにくかったりします。

何よりも理解が深まります。
人の振り見て我が振り直せ、とは言いませんが、色々な病気や色々なものを見ることで、精神科の病気はどういうことなんだろうか、障害ってどういうことなんだろうか、ということについてすごく理解が深まります。
とても良いです。

何度も言いますが、診察の中で見る患者さんとは全然違います。
この人はすごく考えているんだな、頑張っている人なんだな、ということがわかります。
診察室でどこか辛いことを話すと退行してしまう、だけれども当事者会だとすごく頑張るというか凛としているというか、素晴らしいなと思います。

本当に患者さんというのは、尊敬できる人たちが多いな、とよく思います。
不幸に耐えている、不幸の中から来ている病気の苦しみに立ち向かっている。
本当に尊敬すべき人たちなんだな、ということが分かったりします。

デメリット

とはいえデメリットもあります。
患者さんたちが感じている、「当事者会に行くのが怖い」「もう行きたくなくなった」ということもここでお話しします。

まず、病気や障害のイメージの悪化ということがあります。
リア充みたいな人は来ないわけです。

ちょっとくたびれたおじさん、おばさまが多く、場合によっては高齢者ばかりのところもあります。
お爺ちゃん、お婆ちゃんばかりのところもあったりします。
若い人は来るのが続かなかったりしますので必然的に年齢層が高めになってしまいます。
そうすると自分もこうなっちゃうのかな、くたびれちゃうのかな、となってイメージが悪化する人もいたりします。

もちろん逆もあって、頑張っていこうと思う人もいます。
が、芸能人みたいな人はいないので、ちょっとイメージダウンということはあったりするかなと思います。
テレビやドラマで観るような当事者会とは違いますから、そういうところはあるかもしれません。

話が長い人がいる、ということがあります。
10分以上話をされて自分が話せなかったと不満を言っている人も結構います。

皆が不安なのはストーカーや恋愛トラブルの話です。
いくら制限をしていても恋愛トラブルは時々あります。
できるだけないように我慢しているのですが、気の弱い人のところへ行ってしまうことはあります。

説教をされてしまう、説教はしてないけれど説教のように感じてしまうということもあったりします。

また、当事者会にはカリスマ的な人がいたりします。
その人が中心となって会が運営されていたりするので、これはメリットでもあるのですがデメリットでもあり、あの人とは合わないな、ということで行けなくなることもあります。

ほかには頼られてしまって困るということがあります。
頼られすぎないようにルールを設けるけれど、頼られる感じがして止めてしまう人もいます。

この辺りの話はできるだけ生じないように、毎回毎回トラブルに対して会として修正していくのですが、初めての人はびっくりすることがあったりします。

会を長く続けていると亡くなってしまう人たちもいます。
それがすごく心の傷になることがあります。

上手く行ってるかな、当事者会でみんなで頑張っていこうというときに、ふと何も言わずにさっきまで元気だったのに亡くなってしまう、突然来なくなってしまう人がいたりします。
それがすごく心の傷になります。
アルコールの断酒会などは、アルコールだからというわけではないですが、あったりします。
それは精神科の病気の怖さです。

プロがいません。
プロがいない当事者会では、みんなで「うーん」とか言って「あの病院いいよ」と言うだけで答えがわからなかったりします。
相談に乗ってくれるのですが答えが出なかったりするということがあります。
それで行くのをやめた人も結構いるかなと思います。

あやしい、不安、透明性が低いということで怖いと思って行けないということもあります。
逆に透明性が高くなったら知り合いにバレたくないということもあると思います。

団体ごとの不仲もあります。
Aという当事者会とBという当事者会の気が合わない、仲が悪いということもあります。
そういうものです。
人間同士の付き合いなのでそうですが、相性というか、何か気が合わないということもあったりします。
そしてそういう話を聞くとすごくゲンナリしてしまい、同じ患者さんで同じ病気を持っていて一緒に治療をしていこうという仲間なのに、どうして仲が悪いんだろうと思って、幻滅してやめる人も結構います。

デメリットの方の問題はわかります。
みなさんが考えている問題というのは当事者会の人たちもわかっていて、できるだけなくそうと努力はしています。
だけどゼロにはできなかったりします。
致命傷にならないようにみんな頑張っています。

自助団体、当事者会に興味がある人がいらっしゃると思うので今回動画にしました。
僕自身も中川さん(精神保健福祉士)と座談会という形でzoomでやったりしていますし、この分野に関しては治療効果が高いことはわかっているので、何かしら挑戦していきたいなと思っています。

外来でも色々な患者さんから、実は私どこどこのオンラインの自助団体に参加していました、当事者会に参加してお話しできてすごく良かったです、と耳にしています。

一方で、どこへ行ったら良いのか、と悩んでいる人たちもたくさんいて、僕もどこをおすすめしたら良いのかわからないので、ネットで検索したら出てきます、気が合うところに行ってみたらどうですか、という風な言い方をしています。
みなさん「うーん」と困っています。
困っている人向けに一回動画を撮ってみたという形です。

この分野に関しては引き続き研究、リサーチしていこうと思っています。
もし良かったら、ウチはやってるよ、行って良かったよ、悪かったよ、ということをコメント欄に載せてください。


2022.2.11

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