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あなたの職場は大丈夫? ブラック企業の見分け方 心理的安全性の解説

02:28 話しやすさ
05:10 助け合い
07:16 挑戦
11:34 多様性の共有

本日は「心理的安全性が配慮されているか」というテーマでお話しします。

患者さんから、「なかなか仕事ができません」「忙しすぎます」「これは私が悪いんでしょうか」「私が発達障害だからミスが多いんでしょうか」「私は発達障害で周りの人とコミュニケーションが取れないから、今こんな風に落ち込んでいるんでしょうか」とよく相談を受けます。

患者さんは、自分は発達障害ではないかという思い込みが強い状態で来られるので、話されるエピソードも当然「小学校のときに忘れ物が多かった」「友だちがなかなかできなかった」といったことが中心になります。
ですがよく聞いてみると、患者さんが悪いのではなく会社の問題なのではないか、ということが結構あります。

今回は、どういう会社が良い会社なのか、逆にどういう会社が悪い会社なのか、ということをお話しすると共に、理想的な職場はないのでできるだけ理想的な職場にするためにどうやってコミュニティを作っていけば良いのか、ということもお話しできたらと思います。

この動画を撮るにあたり「心理的安全性」という言葉で検索して、幾つか大事なポイントをピックアップしました。
何かの本を引用しようかなと思ったのですが、引用するには僕の理解が不十分で著者に迷惑をかけてはいけないので、色々なものを参考にしつつ、僕が臨床場面で感じたこと、こういう点がこの会社の問題なんだろうな、この上司の問題なんだろうな、と気付いた点も交えてお話しします。

ポイントは4つあります。

話しやすさ

1つ目は「話しやすさ、フレンドリーな空間があるか」ということです。

組織の中で雑談ができる余地があるのか。
雑談をさせるところがない組織はうまく行きません。
多いのは、在宅勤務で雑談が少ない、派遣先で雑談ができる余裕がない、忙しすぎてピリピリして雑談する余裕すらない、という形です。

新人教育に手が回らずに潰れてしまっていることがあります。
ゆとりを作る、余裕を作ることが大事で、忙しい時期は仕方がないですが、雑談できる時間を作っておくのが重要です。

余裕はあるのか。
在宅勤務ばかりになっていないか。

価値観、その職場の雰囲気、カルチャーがないと話しかけにくいです。
似たような性格の人が集まりやすい構造になっているかということが重要です。
とりあえず人を集めました、というところだと話しにくく、逆に昔から残っている人だけが話して新人が話しにくいということもあります。

サイズ感の問題もあります。
大き過ぎたりすると話しかけにくいです。
一人の上司に対して持つことができる部下の数は5~8人と言われていますが、それが20人~30人横並びでいたりすると統率がとれません。
そういうことは問題かと思います。

その集団において、会話力やファシリテーション技術がきちんと共有されているのか、知識として共有されているのか、そういうものを高めていく、評価するカルチャーはあるのか、ということが重要なポイントかなと思います。
患者さん個人も、話し掛けやすい人、話すのが上手な人になっていくというのが治療上とても重要なポイントです。

助け合い

2つ目のポイントは「助け合い」です。
助け合いの精神がその職場にあるのかということです。

特に上の人が下の人をフォローする雰囲気があるのかということが重要です。
よくあるのは、上司の方が忙しいと言って、部下が誰にも相談できないことです。
「私なんかより上司の方が残業が多くてしんどそう」と言っていることが多くあります。
それは助け合いの雰囲気がない職場ということになります。

競争の原理が激し過ぎてイガイガしている、個人の責任を追求し過ぎてイガイガしている、建設的な話し合いができない雰囲気、個人に責任が集中している、個人にしかできない仕事が多い場合は助け合いがしにくいです。

僕の仕事もそうです。
助けられにくいですから、あまり良い雰囲気、心理的安全性が高い職場とは言えません。精神科のドクターというのは。

周りの人が気付く力が重要です。
何かあったとき、何か変だなと気付いてあげる力が重要です。

僕の場合は開業医としてはそうですが、開業医の会やYouTuberの会は、僕が調子が悪そうだと気付いてくれますから、すごく感謝しています。
助け合いの雰囲気があるんじゃないかと思います。
と言って僕は他の人を助けてるのかというと…暴走して自分の好きなことをしゃべったりしているだけの気がします。
でも助けようと思って有益な情報を伝えようとしています。

挑戦

3つ目は「挑戦する雰囲気があるのか」です。

挑戦しようとしている人の足を引っ張らない、挑戦しようとしている人を称賛する雰囲気があることが大事です。
挑戦はすごく重要で、組織やコミュニティ、会社の中で挑戦する雰囲気がないと閉塞感が出てきます。

人間は未来があることが大事です。
未来があれば楽しいと思って生きていけます。
未来がないと現状どんなに豊かであっても不満は募ります。現状すべてに満足することはあり得ないので、未来というものを常にニンジンとしてぶら下げておくことは重要です。

なので未来性をちゃんと持っているのか。
失敗を許す雰囲気はあるのか。

「これをしたい」と言っているのに「まずこれをしろ」と言うのはダメなのです。
患者さんを治療していく中で、患者さんが「私はこれをやってみたい」と言っているときに、親が「あんた、これも出来ないんだから挑戦するのをやめろ。これをやれ」と言ったりすることがあります。
そうすると治療は上手く行きません。

あまりにも的外れなことやあまりにも危険なことだと、それはやめておこう、とドクターストップもかけるし、家族がストップをかけるのも当然ですが、子どもの失敗をすごく気にして過度に不安になって親が止めるのは、すごく閉塞感を募らせて治療的な伸び代を奪ってしまいます。
ちゃんと挑戦していく姿は共感するというか、褒め過ぎても褒め過ぎることはないという感じです。
放ってくと挑戦を否定したくなってしまうので、これは意識して称賛することが重要です。

ビジョン、挑戦するにしても何に挑戦するのかというのが重要です。
自由に何をやっても良いし、色々なことをやっても良いのですが、それが社会のためになるのか、役に立つのか、将来の役に立つのか、ということがとても重要です。
何をやっても良いけれど、全く仕事とは関係ないことに挑戦しても良くないわけです。
IT企業なのに頑張って焼肉屋をやります、飲食をやります、というのは挑戦してると言えば挑戦していますが、ズレているのではないかということです。
それで社員が、何でそんなことに挑戦するんだよ、と不満を持つことが結構あります。

お金のため、では働けません。
リーダーはお金ではないものを目標に持つ、それをビジョンとして共有することが重要です。

これは夫婦関係も同じです。
子育てをしている中で、愛情はないけどお金のために離婚せずにいます、という人がいます。

これが照れ隠しや、診察室の中で怒りを発散したいためにそのように言うのであれば、よくありますしアリなのですが、そうではなく、本当にそう思って自分を抑えているのであれば、あまり上手くいかないし良くありません。
離婚しない理由に、お金のためではなく、もうちょっとポジティブな要素を見出していかないといけないです。
良いところはありますから、そういうところを見つけていければ良いかなと思います。

多様性の共有

4つ目は「多様性の共有」です。

多様なものを許す、一緒に共有するところがあるのか、というのがポイントかなと思います。
共有よりも許容の方が近いかもしれません。

弱者の居場所作りが重要です。
多様性というと都合よく解釈しがちですが、この多様性は言い換えると、弱い人の居場所を許せるか、ということです。

弱者は相対的です。
人は自分以外の人間を馬鹿だと思いがちです。
自分は仕事をしているが他の人はできていないとだいたい思っています。

それは人によって問題意識が違うからです。
その組織の問題、これからやりたいこと、がずれているので、問題意識がずれているがゆえに、相手のやっている仕事はすごく効率が悪く無意味なことをやっているように見えるのです。

でもその人その人なりの問題意識を持ってやっているので、周りは弱者に見えて実は弱者ではない。本当の弱者はいるがそもそも弱者は相対的なものなので、弱者がいなくなればすべて強者になるかといえばそんなことはありません。また弱者が生まれてきます。

そもそも入社試験をパスしているのですから、組織の中に本当の意味で弱い人はいません。
だから切り捨てないことが大事です。

そもそも人手不足なのです。「こんな人入れやがって」と職場の人が言って患者さんたちは肩身の狭い思いをするかもしれませんが、そんなことは気にしなくて良いのです。
人手不足だし、あなたが上手くできないのは教育システムの問題だったりすることもあります。

他の患者さんに聞いたのですが、少子高齢化だから人手不足なのではなく、お金がいっぱいあるから人手不足なんです。
お金があるから投資する、新しいことにチャレンジする会社ができて、会社ができるから結局人手不足なんです。
お金が流通しなければそもそも農業だけをすればいいので、そうすると機械化が進んでいるので人余りになります。
でもそうならないのはお金があるからという資本主義的な問題だったりします。

個性はとても大事です。
これは色々な人から聞きますし、色々な社長さんや、僕がYouTubeをやる上で色々なことを勉強していく中で知ったのですが、社長というのは部下を評価できません。代表やリーダーは。
これはできないものなのです。だから逆に多様性や個性を重視するということです。
本当に有能な人を見抜くことはできません。

実際に僕も自衛隊ではすごく評価が低く、いらない子、馬鹿だと思われていて、自分でもそうなんだろうなと思っていました。
中高もそんなに成績が良くなかったですし、最後の受験のときにピョッと伸びて、大学のときには成績が悪くて再試験はすごく受けていましたから、そんなもんかなと思っていました。
でも実際こうやってみて、わけがわからないと言われながらYouTubeを始めて伸びていますから、世の中ようわからんと思います。

自分がそういう評価を受けていてもこれだけ活躍できるということは、他の人もそうなんだろうと思います。
だから周りの意見は信用ならないなといつも思います。

理解ができないことが多様性です。そもそも理解できることは多様性とは言いません。
理解ができるということはどこまで行っても自分の延長、自分の変形でしかなく、真の多様性というのは理解できないというです。
理解するにしても何年もかかるということです。
それくらいのものでないと多様性とは呼ばないので、この人仕事してないのかな、と思いながら付き合うということが大事です。

仕事してないのかなと思いながら付き合っても、実はその人は陰で会社のためにメチャクチャ役立つことをしていたりします。
そしてそちらはこちらのことを「何してるのかな」と思っています。そういうことはあります。
そういうことを言うと、会社には全く仕事をしてない人もいる、と言われてしまいそうですが、それも込みで多様性なのかなという気もしなくはないです。

とにかく「心理的安全性」ということを考えることはとても重要です。
こういう要素がないところで要素を作るのがリーダー、上司の役割です。
でもそれを放棄してしまっているところはたくさんあり、頑張っているけれどもなかなか上手くできていないところもたくさんあります。

自分を責めるのではなく、周りを見て、会社とはどういうものなのか、今の会社の問題はどういうことなのか、ということまで視野を広げます。
そうすると、自分の今の不安や落ち込み、自責感、劣等感は解消されることが多いので、この動画を参考にしていただければと思います。


2022.3.3

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