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発達障害の女性が悩む恋愛事情について解説します

01:32 気分が不安定
05:14 発達障害の女性の恋愛
12:38 自己否定、低い自己評価

本日は「発達障害の女性と恋愛」というテーマでお話しします。

発達障害とは何かというと、主にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の2つのことです。
LD(学習障害)というものもありますが、主にASDとADHDの2つの疾患のことを指します。

ASDとADHDは合併していることが多いです。
片方の病気だけというよりは、合併していることが多いので、一緒にして解説します。

発達障害の女性は恋愛で悩むことが多いです。とても恋愛で苦しむ方が多いです。
恋愛で苦しんでうつになった方で当院へ来ると「これって恋愛で悩んでうつになっただけじゃなくて、もしかして背景に発達障害があったんじゃないの?」ということがたくさんあります。

色々な女性にこの動画を見てもらいたいなと思います。
男性を含めて周りにいる人は、こういう視点から彼女らの悩みを聞いてあげると助かるのではないか、と思います。

気分が不安定

発達障害の女性の特徴でもあるのですが、気分が不安定になりやすい人が多いです。

それはなぜかというと、ASD、自閉スペクトラム的な特徴のある人は混乱しやすいからです。
人間関係の中ですごく混乱しやすく、今の世の中は変化が多いので、とにかく混乱しやすいです。
自分が考えている常識が通じなくて混乱することが多かったりします。

ADHDの衝動性の問題もあります。
ADHDの人は不注意や衝動性、多動性があったりするのですが、衝動的にバッとなりやすい。
パッと怒ったり、パッと悲しくなったりという気分の波や衝動的に何かをやってしまうことが多いです。

こういう二つの要素が重なって、気分が不安定になりやすいです。

加えて、どういう理屈で説明するのが良いかわからないのですが、女性ホルモンの影響も受けやすいです。
感覚過敏と関係があるのかわからないですが、女性ホルモンの影響を受けやすい人が多いです。
生理前に調子が悪くなる月経前気分不快症の合併も高く、産後うつになりやすかったりもします。

ホルモンの影響を受けやすいので、内側の反応ですごく大きい波があります。
大人気ない、考えがしっかりしていない、考えが甘いということではなく、単純に内部の感情の揺れ動きが元々激しいのです。
普通の男性は波が少ないです。

楽な波でプカプカサーフィンしている感じですが、発達障害の女性の波はすごく大きくて、これを乗りこなすには熟練のサーファーでないといけないことが周りの人からは分かりません。
ただ泳ぎが下手、波に飲まれているだけの人と思われて誤解されていることが多いです。
生まれつき波が大きい人と小さい人がいるということを、世間の人はあまり意識しないようです。
僕らはわかっていますが、そういうことが多いみたいです。

気分が不安定なので、支えるもの、他者が必要です。
他の人としゃべって、他の人といることで自分の内側の混乱を鎮めたり解決していったりする必要があります。
僕だって困ったら色々な人に相談します。

気分が不安定だからなおさら他者が必要なのですが、コミュニケーションが下手なので、他者に近づけばまた傷つきます。
傷つくからまた不安定になります。
このジレンマがあるのが、発達障害の女性の対人関係だったりします。

その対人関係の中で恋愛はもっと特殊な関係性になります。
職場の人間関係なら役割がはっきりしていますが、恋愛はとても複雑な対人関係なので、すごく混乱しやすくより不安定になりやすいです。
これが発達障害の女性の恋愛の特徴かなと思います。

発達障害の女性の恋愛

発達障害の女性の恋愛についてパッと思いついた特徴を5点挙げました。

・コミュニケーションが分からない

恋愛は普通の人間関係と違います。
あるときは恋人同士、恋人というか友情とも違い、性的な興奮を伴った人間関係です。
相手にも性欲があり、こちらにも性欲があって、普段の人間関係では求めないことも相手に求めてしまうこともある関係性です。

それは後々家族になるかもしれない、子どもを作るかもしれない、家族として一緒に仕事をするかもしれない、一緒に何かをするかもしれない、とにかくとても複雑な関係性です。
ある瞬間は大人の男女でも、家へ帰ると退行して甘えきったような、子ども同士のようなコミュニケーションになったりし、その切り替えもなかなか上手く行きません。

その結果、自分の中の恋愛衝動がぐちゃぐちゃになって抑えが効かず、ストーカーになってしまう人もいます。
やりたくないのに不安になってどんどん電話をしたり、会いに行きたくなったり、本当はやりたくないのに詰め寄ってしまい、私のこと好き?好き?と怒るまで言ってしまう、ということがあります。

普通の人と付き合っていくと相手から見限られたりして上手く行かないことが多いです。
なので、同じような発達障害のパートナーを選びがちです。
発達障害者同士だと気が合います。
気が合うと思って選んでも、いざ結婚して子どもを産むということになると、彼は発達障害の特性が故に子育てに上手く対応できず、家の問題が大きくなり、カサンドラになったり、子どもの虐待につながることもあります。

・悪い人にだまされる

発達障害の人は、どの人が優しい人か、どの人が厳しいことを言うけれども人のことを考えてくれるのか、逆に優しいことを言っているようだけれども、全然その人のことを思ってくれていない人か、という見極めが下手です。
ここに恋愛も絡んでくるので、結果的に悪い人にだまされて、ホストに夢中になってしまうということもあったり、宗教、マルチ商法など色々な人にだまされるということがあります。

恋愛をするつもりはなかったのに、男性から「ちょっとお酒飲みに行こうよ。飲んだ後に僕ん家で飲み直そうよ。映画観せたいから観に来ない?」と言われて、友達だと思って警戒心なく家へ行きます。
家へ行ったら彼が変わってレイプになってしまう。
同意したじゃないか、と言われても同意したつもりは本人にはなく、そういうことが分からずにレイプのようなことになってしまうこともあります。

・母親との問題

こういうことは、お母さんから教わるということもあります。
同年代の女性や姉妹から教わることもあるかもしれませんが、世代を超えた知識伝達がなかなかなされないということもあります。

お母さんからは「そんなみっともないことしないでくれ」と言われて、恋愛はみっともないんだ、と誤った知識を植え付けられたり、母子密着、母と子が密着して離れられなくなり、デートへ行く機会がなかったり、逆に行くときには母親に全部見られてしまっている、全部知られてしまう、全部言わなければいけないんじゃないか、ということでぐちゃぐちゃになってしまうことがあります。

少しずつスモール・ステップで男性やパートナーとの付き合い方を覚えたりするところが、上手く成長できなかったりすることがあります。

母親との問題も結構大きいです。

・性行為が不快

感覚過敏なので、匂い、身体が触れ合う感覚が好きではない、気持ちわるいという人がいます。
人格としては好きだし一緒にいたいのに、彼が求める肉体的な接触に耐えられず、でも相手は求めてきて、混乱することがあります。
やりたくないのにやらなくてはいけなくなって、何だかよく分からなくなってしまう、女性は皆我慢している、女の人は我慢するものよという変な知識で、みんなこんな嫌な思いを我慢してるんだ、結婚は大変だな、と思う女性もいます。

僕も女性ではないのでわからないですが、本当にそう思っていて楽しいものではなく、ただ不快だけれども我慢している、こんなに我慢しなければいけないのかと言って涙をポロポロ流す人もいます。
みんな我慢していないし、楽しんでやってますよと言うと驚きます。

そういうことを知ると「本当にそうなんですか?」と聞かれて「そうですよ」と言うと、今までの知識がくっつくようで、「私だけだったんですね、こんなつらい思いをしてたのは。みんな我慢してると思ってたんで自分は我慢してたんですが、もう我慢しなくていいんですね」ということを言ったりします。

・別居婚

なので、別居婚というものが悪いわけではありません。
別居婚をしている人たちもいます。
仲が悪いと思う人もいるかもしれませんが、子どもがいなくても別居していても愛し合っているカップルはいます。

ただ一緒にいるのが合わないということがあります。
だから結果的に別居婚になっていることもあります。

人それぞれ色々な形があるので別にそれで良いのですが、なかなかそういう話は聞かないですよね。
僕は精神科医なので、別居婚している発達障害のカップルは山ほど見ているので「ああ、そうですか」という感じですが、世間の人は知らないのではないかな、と思います。

自己否定、低い自己評価

発達障害の女性の特徴としては、補足で入れますが、自己否定や低い自己評価ということがあります。
普通の人と同じことができない、周りから否定的なことを言われてきた結果、自分のことを否定して考えたり自分に価値がないと思いがちです。

その結果、恋愛関係においてはとにかく奉仕をします。
誰かの役に立たなければいけない、役に立たないと恋愛関係を維持できない、と奉仕し続けるタイプがいます。

もしくは自分はこれくらいしか価値がないと、敢えてダメな人を選ぶ、大人しくて綺麗な人で色々な人から言い寄られるけれど、釣り合わないんじゃないかと思って一番ダメな人を選んでしまう、ということもあります。

性的マイノリティの人も多いです。
結果的にそうである場合もあればよく分からないこともあります。
どちらかよく分からない、私は男性なのか女性なのかよくわからない、パートナーに選ぶのも男性なのか女性なのかよくわからない、何か振り回されてしまうし、実際にどちらなのかよくわからないこともあります。

性的なアイデンティティは社会が作るとも言ったりするので、生物学的な性で決まるものだけではありません。
性的マイノリティの人も多いという印象です。
僕が精神科医なので偏ったデータじゃないか、と言われるとそれまでかもしれませんが、マイノリティの人も結構います。

マイノリティの人はカミングアウトの問題をすごく恐れています。
恐れているか、嫌な目に遭った人もいます。

それは発達障害の特徴がゆえのコミュニケーションのわからなさ、悪い人に騙されやすいこと、カミングアウトすべき相手を間違える、ということだったりします。
人を間違える、タイミングを間違える、場所を間違える。
結果的に性的アイデンティティの問題やカミングアウトの問題がグチャグチャになって、トラウマのようになってしまっていることもあります。

色々ありますね。
喋ろうと思ったら色々なことを思い出して来るので、語りきれません。
発達障害の女性の恋愛の悩みは本当にたくさんあります。
多種多様にあります。

診察室ではなかなかしにくいと思ったり、怖くて言えない、益田先生に軽蔑されるかもと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
よく聞きますし、決して軽蔑はしないです。
とても苦しいのはよくわかります。
こういう話をするのが精神科医の仕事でもあるので、気軽に気にせず喋ってもらえたら、と思います。

今回は、発達障害の女性と恋愛、というテーマで動画を撮りました。


2022.3.13

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