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傷つきやすい人の特徴と原因、治療 #早稲田メンタルクリニック

02:27 素因
03:30 学習・記憶
04:14 内的対象
05:49 現在の状況
07:08 治療

本日は「傷つきやすい人の特徴と原因」というテーマでお話しします。

傷つきやすい人や刺激に敏感な人を「HSP」という言い方をして書籍になっていたりインターネットに流れていたりすることもありますが、HSPは精神医学の病名ではありません。

HSPのようなものは精神医学ではどのような病名がつくかというと、
・全般性不安障害(GAD)
・社交不安障害(SAD)
・境界性パーソナリティ障害(BPD)
・双極性障害II型
・発達障害(ASD/ADHD)
・複雑性PTSD
などになります。

このようにたくさん書くと、精神科に来る患者さんは皆傷つきやすいのかと言われそうですが、まあそうです。傷つきやすい人が来ています。8割~9割はそうです。

傷つきにくい人たちももちろんいるのですが、それはごく一部です。
家族に無理やり連れてこられているパターン、反社会性パーソナリティ障害、素行障害の人、急性期のうつ病・統合失調症・双極性障害なども傷つきにくい人も発症したりしますが、基本的には傷つきやすい人が来られています。

今回は、傷つきやすい人の特徴と原因はどのような要素に分けられるかという話をします。

・生まれつきの要素(素因)
・育ちの要素(学習・記憶)
・現在の状況
この3つの要素で傷つきやすい人を分類できたり、あるいは全部を持っていたりします。

素因

生まれつき不安に過敏な人はいます。
育ちの問題ではなく生まれの問題ということです。

あの一家は皆ちょっと神経質、不安を感じやすい人たちだなということはあります。逆に鈍感な人たちもいます。

東アジア、日本人は全体的に不安に敏感な人種だと言われています。
逆に欧米人の方が不安に強くチャレンジ精神があると言われます。
それはセロトニンに関係する遺伝子の問題が関係するようです。

とにかく生まれつき不安を感じやすい人、感じにくい人がいるということはわかっています。

学習・記憶

次に学習と記憶、育ちの問題です。

虐待があった、いじめを受けていた人は、傷つきやすい人になっていくことが多いです。
一番最初の人間関係が暴力的だったり辛いものだと、また辛いことが起きるのではないかと連想しやすいのです。

大人になってからそうではないパターンが入っていっても、一番最初の刷り込みは強いです。
ですから子どもの時に虐待やいじめがあった場合は、やはり傷つきやすい人だったりします。

内的対象

「内的対象」という、自分の中にある人間像が攻撃的だった場合、傷つきやすいです。

ベースの人間観、人間ってこういうものだよねというのが、温かい人が多いよね、人間て本当は優しいんだよねと性善説の人もいれば、性悪説で人間は放っておいたら悪いことをする、意地悪なことをする、隙があれば嫌なことをしてくる、弱い人を見たら貶める方法を考える弱肉強食の世界、食う食われるの世界なんだと思う人もいます。そのような人は傷つきやすいです。

人間のパターンが貧弱な場合もあります。
白黒思考で「良い」か「悪い」しかない。そういう2つのタイプしかないと傷つきやすいです。
そうではなく、人間というのは一見悪いように見えても良いところもある、一見良さそうに見えても裏があったりするなど、いろいろな人間のバリエーションがあります。

人間というのは、良いところもあれば悪いところもあるし、優しいところがあれば意地悪なところもある。そのような複雑なものです。
その複雑性を理解していく、それを受け入れている人の方が傷つきにくいです。
逆に人間の複雑性を拒否してしまう、デフォルメされたアニメのようなキャラクターでないと嫌だという場合は傷つきやすかったりします。

現在の状況

当然のことながら現在の状況にもよります。

本人が疲れている時やボロボロな時は傷つきやすいです。
当たり前と言えば当たり前ですが、失恋の直後は傷つきやすいです。優しくされるとほだされてしまいます。
リストラされた直後やパワハラされた直後で傷つきいやすい時に、彼や彼女が別れ話を切り出してきたらとても傷つきます。
普段以上に傷つくのは当然で、今の状況にも左右されます。

例えば職場がストレスフルな環境である、安全性が低い場所だとやはり傷つきやすいですし、逆に家の環境が良く、家族円満で職場もちょっと忙しいけれど互いにサポートできる体制があると傷つきにくかったりします。
それが、ちょっとプレゼンの時に噛んだだけで机をバンバン叩かれるような職場だと、やはりストレスを溜めやすいです。

傷つきやすい人の特徴や原因は主にこのような要素になります。

治療

では治療はどうすれば良いかと言うと、まずはどのような診断なのかをはっきりさせることが大事です。
診断ごとに治療があります。

例えば不安障害であれば抗うつ薬(SSRI)が効きますし、境界性パーソナリティ障害であれば認知行動療法やカウンセリングで良くなっていきます。
発達障害がベースにあるのであれば、心理教育をしっかりしたり薬を使うことで落ち着いたり、PTSDで虐待の問題があるのならば、トラウマをケアすることが大事です。

HSPという形でざっくり言うのではなく、診断をしっかりしてそれに合わせた治療をしていくことが重要です。

心身・人間関係・知識の3つの要素はどの診断にも当てはまるので意識します。

・心身のバランスを保つ
心身を整える、規則正しい生活を送る、睡眠時間を確保する、お酒は飲みすぎない、できればゼロにするといったことです。
疲れているときはマインドフルネスです。瞑想をする、散歩をする、頭の中をリラックスさせていく。呼吸に集中する時間や漠然とした思いに思いを馳せ、頭を整理する時間を作ることも重要です。

・心地良い人間関係
優しい人に囲まれる、温かい言葉をかけてもらう、そういう人間関係がとても重要です。
1日に5分でも10分でもそういう時間がないと、人間は心がいたんできます。

・知識
経験的な知識、基礎教養的な知識、歴史、哲学、科学など何でも良いのですが、知識を身に付けていくことで、複雑なことを考えられるようになりますし、俯瞰的に物事を考えられるようになります。
そうすると傷つきにくくなりますし、不安を感じにくくなります。

このような3つの要素を意識することが重要です。

今回は傷つきやすい人の特徴と原因というテーマでお話ししました。


2022.3.28

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