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自分が悪いと考えてしまう人(自責の人)はどうしたらいい? 

00:54 4つのタイプ
04:26 自責の人
06:26 発達障害かもしれない?
08:47 幼少期の記憶

本日は「自責(自分が悪いのか)vs 他責(相手が悪いのか)」というテーマでお話します。

「(親)」と書いていますが、よく自分が悪いと思う人は、親から昔「あんたダメな子!」という風に怒られていたことが多いです。
自責的になっている人の幼少期を聞くと、親から一方的に怒られていたという経験を語られることが多いので、今回は「(親)」と付けました。

4つのタイプ

この図は2軸に分けて書いています。
抽象的で特に科学的根拠のある分け方ではないですし、医学的な分け方ではないです。
ざっくり頭の中を整理するために軸をつけました。
右側が健康な人、左側は不健康な人、上側が自責的な人、下側が他責的な人という風に領域を4つに分けました。

精神科へ来る患者さんは左上(自責・不健康)の領域が多いです。
自分が悪いと思っていて調子が悪いということです。

よく「精神科の患者さんて怖いんでしょ」と心無い人というか一般の方は言いますが、それは左下の領域に当てはまる人です。
確かにちょっと調子が悪くて人を責める人、恨んでしまう人は一定数います。
ですがこういうタイプの人はあまり精神科へ来ません。
どちらかというと自責的で調子が悪い人が多いです。

他の科の患者さんのことで困ったときに精神科に相談するのを「リエゾン」と言います。
リエゾンで「この人は精神科の患者さんじゃないか?」と相談されたときは、左下の領域に当てはまる人が多いです。
パーソナリティ障害だったり、双極性障害で他罰傾向のある人が多かったりします。

こういう人は通院が継続できない人も多いです。
同じようなアルコール依存症やギャンブル依存症の人でも、精神科へ通って治療をしていく人は自責・不健康のタイプが多く、他責・不健康のタイプは少ないです。

世間の人の精神科の患者さんのイメージというと、他責・不健康のタイプの人は目立つのですが、実際は自責・不健康のタイプの方が多く、他責・不健康のタイプの人はいなくはないけれど滅多にいない、という感じです。

普通の人は、僕もそうですが、自分のせいにあまりしません。
他が悪いのではないか、相手が悪いのではないかと思いがちです。
だから他責・健康のタイプが普通という感じです。
普通の人がちょっと調子が悪いと他責・不健康へ行く、という感じです。
そして、他責・不健康の端の極端な人はちょっと怖いよ、という感じです。

優秀な人、パワーがある人は右上の自責・健康です。
自分に厳しく相手に優しいみたいな感じで健康という感じです。

普通は右下の他責・健康、僕もここです。
患者さんは反対側(自責・不健康)にいるという感じです。

僕は普通の人で他責・健康なので、患者さんが「私が悪いんでしょうか?」と言うと「うん?」と思うんです。
「それって○○のせいなんじゃない?」と僕はよく言います。

自責の人

自責的な人はこの項目を考え直して欲しいと思います。

「私が悪いんです」と言いますが、
・そもそも会社・組織のせいじゃないの?
・そもそも上司はちゃんと働いている? あなたに仕事を押し付けてすぐに帰ってない?
・みんな頑張ってるんですと言うけれど、頑張るにしてもそもそもサポート体制ってあるの? 各々が頑張っていてもシナジー効果は生まれてないんじゃないの? 研修ってやったの?
ということを言います。

あとは、「みんな頑張ってるんです。日曜日だって来てるんです」と言うけれど、他の人は日曜日に来ても1時間くらいで帰るのに対してこの人だけは8時間くらい残っているとかもあります。
だから、周りはサボっていたりします。
日曜日に来ても、平日の昼休みに上手く抜けて長めに休むなどもあるわけです。

赤信号を守らないのは、夜など本当はダメですが、誰もいなければ赤信号を渡ってしまいます。
それが普通ですが、赤信号を渡れない人たちも一定数いて、そういう人が精神科の患者さんの中でうつっぽくなってしまう人が多いなと思います。

「赤信号とか渡るじゃないですか」「こっそり休むときがあるでしょ?」と聞いてみると、患者さんはキョトンとして「いや私、赤信号は待ちますけど…夜でも待つんですけど、それって普通じゃないんですか?」ということがあります。
ルールとしてはそうなのですが、ルールを作った側もルールを破るという前提でルールを厳しめに作っているところもあるので、そこは臨機応変にやらなければならないけれど、なかなか難しいということです。

発達障害かもしれない?

よくあるのは、自責的なせいで「自分が発達障害なんじゃないか」という疑いをもつ患者さんです。

僕もよく動画の中で、隠れ発達障害は多いですよ、と言っているので時々「益田は何でも発達障害だと言い過ぎだ」という批判を喰らうのですが、そうは言ってもみんな知った方が良いよね、というスタンスです。
隠れている人も結構いて困ってる人も多いよね、というスタンスですが、かといって「本当に発達障害なのか?」と不安な人も来ています。
カウンターとしての発達障害の普及が、今度は反対側のやつも来ていたりします。

例えば、新人で新しい職場に行ったばかりでマルチタスクができない、ミスが多い、コミュニケーションが苦手だ、というだけで、来てしまう人(来ていいのですが)がいます。
それはあなたが悪いのではなく、サポート体制や研修の問題なのではないかということですが、自分を責めてしまって自分は発達障害なんじゃないかと来てしまう人がいます。

こういう人は「発達障害か、もしくはHSPだと思うんです」と言います。
HSPは医学用語ではないので、HSPじゃなくて不安障害だよね、ということは結構あります。
不安を感じやすいんですね。

自分を責めるタイプで、上手く行っていないということは、自分に問題があるのではないか、自分に求められて当然のことができていないからではないか、それは発達障害だからではないか、と思って受診される方がいます。
だけど問題なのは自分を責めていること、不安を感じやすいことなんだ、ということです。

不安とうつは結構似た概念なので混乱しやすいと思いますが、不安障害と一般的に精神医学で呼ばれる人たちが自分を責めて、発達障害なのではないかと思って来ることが最近増えているなと思います。

幼少期の記憶

マルチタスクが苦手というようなことを何とかしようとするのではなく、もう少し柔軟に考えて、「相手が悪い」ということもあるわけです。
そういう視点が大事ということです。

でもなかなかそう思えません。
そう言っても「いや、いやいや」となります。
頭ではわかっていても自分を責めてしまいます。
それはなぜかと言うと、幼少期の記憶が関係していたりします。

子どものときにそう教え込まれてしまうと、「新雪の丘」と言うのですが、最初に記憶が自分を責めるところに固定されてしまうと、何でもかんでも自分を責めるというルートが決まってしまい全部そちらに流れてしまいます。

「新雪の丘」というのは、雪が積もった何も跡のない丘の上を最初にソリが通って初めて跡がつきます。
その跡と同じようなところを次のソリも通るので、どんどん溝が深くなり、そこばかり通るようになります。
最初にソリが通るところはどこでも良かったのですが、一回決まったせいでそこばかり強くなるというたとえです。
一度自分を責めるというルートが確立すると、何でもかんでも自分を責めてしまうということがあります。
それは変えた方が良いのですが、なかなか変えられないということが結構あります。

では親が悪いのかというと、親が悪いこともあれば、昭和ってそういう時代だったよね、だから時代遅れな叱り方をしていた親だったんだよね、と。
また、自分がされたことをそのまま子どもにしてしまっていたから、時代の変化に合わせて子どもの教育を変えなければいけなかったのに、変えることができなかった人はそういう感じになってしまいます。

そもそも普通の人は他責的なので、子どもができなければ「あんたが悪いんでしょ!」と怒るのが普通でもあります。

とにかく、自分が本当に悪いのか、というよりも、今の制度の問題などを俯瞰的に見てみて、自分を責め過ぎずに建設的に考えていく方が良いのではないかと思います。

今回は、自責vs他責、というテーマで雑感を述べました。


2022.4.16

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