東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

非認知能力について解説します

00:57 認知能力と非認知能力
03:46 非認知能力

本日は「非認知能力」について解説してみようと思います。

宮川先生のミヤガワRADIOで特集を組んでいて面白かったので、僕もこの非認知能力を皆さんにお伝えしたいなと思い動画を撮ります。

参考にしたのは、小塩真司先生編集の「非認知能力(北大路書房)」という本です。
この本を読んで勉強させてもらったものを動画にしようと思います。

認知能力と非認知能力

まず、「非認知能力ってなんぞや」ということです。

非認知能力というのは、
・認知能力ではないもの
・且つ将来的に良い結果をもたらすもの
を言うようです。

良い結果とは、生涯年収が高い、病気になりにくい、メンタルヘルスが健康である、結婚生活が長く続く、そういう「価値観」も含んでいるかもしれませんが、幸福に生きていくための能力みたいなものです。
幸福に生きるためにどういう能力が高ければ良いのか。
それは学力や認知能力以外でどういう能力なのか、どういう心理的な特性なのか、ということを指すようです。

なんとなくわかりますよね。
非認知能力は、教育的な関与が認知能力に比べると高いので、教育目標にすべきだということのようです。

双子研究において遺伝で説明がつく遺伝率はどれくらいかというと、いわゆる知能検査の指数は50〜70%くらいは相関がある、説明がつくようです。
遺伝で決まってしまうみたいですね。

「言語理解」、言葉をどれくらい知っているのか、覚えているのか、正確に把握しているのか。
「知覚推理」、いわゆるパズル能力です。パズルが解ける力、比喩・暗喩を解ける力。
「ワーキングメモリ」、一度に覚えておける量。
「処理速度」、問題を解決するスピード。

いわゆる知能検査で測れる知能は遺伝で結構決まってしまうのですが、非認知能力は認知能力よりも教育的な関与は大きいということのようです。

ちなみに学力、いわゆる英国数などの力は、(非)認知能力よりもはるかに教育効果が高いようです。
だから課金が効くのです。
塾に入れると成績が良くなる、だから良い大学に入れるということで、親の年収と学力が相関関係があると言われているが、「それいいの?」みたいな形になっています。
いわゆる今の英国数の学力テストよりは、もうちょっと想像力を問う問題にした方がフェアじゃないのという話になっています。

非認知能力

では非認知能力にはどんなものがあるかというと、いろいろな能力があります。
この本の中では15個の能力を挙げています。

・誠実性
しっかりと課題に取り組む

・グリット
困難な目標への情熱と粘り強さ、とにかく諦めない力

・自己制御
目標達成に向けて自分を律する力

・好奇心
新たな知識や経験を探究する原動力

・批判的思考
情報を適切に読み解き活用する思考力、クリティカルシンキング

・楽観性
将来をポジティブに見て柔軟に対応する力

・時間的展望
過去現在未来を関連づけて捉えるスキル。メタ認知に近い力

・情動知能
情動を賢く活用する力。これはEQと呼ばれて、相手の気持ちはどうなのかぱっと瞬時に判断する力

・感情調整
感情にうまく対処する能力

・共感性
相手の気持ちを共有し理解する心理特性

・自尊感情
自分自身を価値ある存在だと思う心

・セルフコンパッション
自分自身を受け入れて優しい気持ちを向ける力

・マインドフルネス
今ここに注意を向けて受け入れる力

・レジリエンス
逆境をしなやかに生き延びる力

・エゴ・レジリエンス
日常生活のストレスに柔軟に対応する力

この15個を取り上げています。
レジリエンスとエゴ・レジリエンスはどう違うかと、レジリエンスはより困難な状況に耐えて問題を克服するパワーです。
エゴ・レジリエンスは、日常の中であるちょっとしたストレスに柔軟に対応するしなやかさです。

確かに臨床をしていると、知能検査よりもこういう力はすごく重要だなと思います。
知能の問題ではなく、あきらめない力や楽観性、クリティカルシンキングができるかどうか。
こういう能力が欠けてるとやはりうまくいかないなと思ったりします。

ちょっと劣っているくらいだったら良いのですが、極端に抜けていると、治療はうまくいかないなと思います。
この本は心理学、教育関係の分野、どういう風に子どもを教育していくかという分野なのかなと思いますが、臨床にも応用が利くなと思いました。

子どもの話だとどういう風に育てるのが良いのか、どういう風に教育していくとこれらの力が身につくのかというと、愛情を持って育てる、子どもの遊びを邪魔しない、しっかり遊ばせると良いということが書かれていました。
遊びの中で好奇心が伸びますし、楽しいことや自分の興味のあることだとグリットの能力も伸びます。

では大人だとどうなのかというと、一個一個を考えていくと結構難しいです。
なので普通に臨床していると思いますが、やはり「美徳の追求」ということですね。

より良い生き方をする、ちゃんと人を思いやる、優しくする、あきらめないとか。
いわゆる「良い人間」、アリストテレス的な世界観の「良い市民」みたいなものですね。
そういうところを追求していくと、次第に非認知能力も高まっていくと思います。

なぜ患者さんたちがこういう力が弱いのかというと、やはり子どものころの育て方、虐待の問題だったりすると思います。
うつが良くなる人となりにくい人では、子どもの時の問題が関与しているというのも、こういうことからもよくわかるなという気がしました。

今回は、非認知能力についてざっくり解説しました。


2022.4.30

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.