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【ゼロから学ぶ精神医学⑤】精神科の治療とはどういうものか?

00:35 薬物療法
01:40 社会的治療
02:20 精神療法
05:29 治療において重要なこと3つ

本日は「精神科の治療の全体像」をざっくり解説します。

精神科の治療は大きく3つに分けられます。
・薬物治療
・社会的治療
・精神療法(いわゆるカウンセリング)

薬物療法

いろいろな薬がありますが、あくまで薬の効果は限定的です。
前回脳のメカニズムの話をしましたが、薬が効くのは「神経回路」の部分だけです。

記憶や学習に関係することや、考え方、落ち込む原因であるトラウマの問題は薬では解決しません。
もともとの遺伝的な弱さに関しても薬は効きません。
報酬系の問題も薬はなかなか効かなかったりします。
薬が効くのは、統合失調症、躁うつ病、うつ病の一部です。

ですから、薬物治療も重要ですが、他にも大事な要素があるのです。

社会的治療

社会的治療も重要です。
環境調整や社会福祉の導入が大事です。

福祉の導入というのは、障害年金を取る、精神障害者手帳を取る、生活保護を取るといったことです。
環境調整というのは、仕事を休む、職場でパワハラがあったならば部内異動をする、といったことです。

もう一つ大事なのは、規則正しい生活をすることです。
規則正しい生活を送って心身のバランスを整えることも重要な治療ですので、そうするように働きかける、指導するのも精神科医の仕事です。

精神療法

カウンセリングをするということです。
カウンセリングには2つの重要な要素があります。

・安心できる人間
一つは、「こちらは安心できる人間だ」ということを伝えることです。
安心できる人間がいること、その人を見守っているということを伝えること。
当たり前のようで、それが当たり前ではない人たちがたくさんいます。

だから僕らは決してあなたを裏切りません。確かに友達にはなれないし、恋人にも親子にもなれないけれど、あなたを見守っているのだということを理解してもらうことが重要です。

そのようなことをすると、「陽性反応」と言って、患者さんがこちらを好きになる、恋愛感情を持つということがあったりします。
それに気をつけながら距離を取ります。
安心感を与える一方で、相手を振り回さないことが重要です。

・概念の拡大
2つ目の重要な要素として、「概念の拡大」があります。

人間は知識があるが故に悩んでいます。
知識があるが故にぐちゃぐちゃになって、変な思考回路になっているところもあります。

その変な思考回路になっているものを元に戻します。
元に戻すには知識を増やすことが必要です。
人間は忘れることはなかなか難しく、新しい知識を積み重ねることでバランスを整えてあげることが重要です。

新しい知識、知らなければいけないことは何かと言うと、「自己理解」「他者理解」「しなやかな思考」です。
この3つがとても重要です。

自分はどんな人間なのか、どんな苦しい思いをしてきたのか、他人はどんな人なのか、良い人もいれば悪い人もいる、優しい人もいれば悪い人もいる、だけど8割くらいは良い人、このようなことを腹の底から理解してもらいます。

あとは、1つのことにこだわらずに柔軟に考えていく、自分は大事だと思っていたけれど手に入らないのならスパッと諦める、そのようなことができるように知識を増やしていくことが大事です。

知識を増やしていくと人間性は変わっていきます。
人間性が変わるというのは、スイッチのON/OFFやスライドのように考える人が多いです。A→Bと考えていたのがA→Cと考えられるようになる、そのような単純な変化だと思いがちなのですが、そうではありません。

A→BもあればA→Dもあるし、A→Cもあるなど、いろいろな立場でいろいろな見方ができるようになってくると、最終的にはプルーニングと言って余計なものは省かれます。
そうするとA→Cと考えられるようになっていきます。

様々な立場から様々な見方ができるよね、ということを提案していく、解釈していくというのが精神療法の本質です。

治療において重要なこと3つ

治療において重要なのは、「心身のバランス」「良い人間関係」「概念の拡大」の3つです。

・心身のバランス
心身のバランスを整えるために規則正しい生活をします。

・概念の拡大
概念を増やすために(実際の再診時間は5分くらいしかなく、患者さんの話を聞いて安心できる人間関係を作るだけで終わってしまうので)、このYouTubeをやっています(宣伝です)。
そのために僕はYouTubeで情報発信をしています。

YouTubeを撮っても撮っても終わらないのはなぜかと言うと、人間の心は「東京」を説明するようなものだからです。
東京を一言で言おうとしても終わりません。
いろいろな見方ができますし、路地裏に入ったら隠れた名店があったり、○○さんが住んでいたり、色々な側面があるので話題が尽きません。
全部が大事なわけではありませんが、ある程度は知らなければいけません。

・良い人間関係
そして良い人間関係を作ることです。
これがなかなか難しいです。若い人にはいろいろな出会いがありますが、中高年になってくると友達もなかなかできなかったりします。
病気の人は特に自分と共通点のある人を探すのが難しいです。

そういうことがあるので、これもまた宣伝になりますが「オンライン自助会」をやるようになりました。
もし興味があれば、メンバーシップの月額2,990円のものに入っていただくと、オンライン自助会のSlackを紹介します。

とにかくこの3つが大事なので、この3つを作るために僕はYouTubeをやったり、オンライン自助会をやっていたりします。

精神科の治療というのはざっくり言うとこのような感じです。
YouTubeでなくても概念を学ぶことはできますし、デイケアや就労支援という形で良い人間関係を作ったり、訪問看護などもありますので、オンラインサロンに必ず入る必要があるわけではありません。僕がやれることとして、こういうことをやっているということです。

今回は精神医学の治療の概論をざっくり解説しました。
今回がゼロから学ぶシリーズの最終回です。みなさんお疲れさまでした。


2022.5.20

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