本日は、「統合失調症の幻覚・妄想を疑う」というテーマでお話しします。
主に初期症状や軽症の方の幻覚・妄想を解説します。
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統合失調症とは
統合失調症はどういう病気かと言うと、「遺伝」+「ストレス」によって発症する幻聴、被害妄想、注察妄想、といった症状を持つ病気です。
100人に1人くらいが発症し、10代の終わり~20代前半に発症することが多いと言われています。
ただ、近年では中高年発症の「遅発性パラフレニー」と呼ばれる統合失調症のような症状もあります。
遅発性パラフレニーも含めて統合失調症と言ったりします。
・幻聴
幻視(見えないはずのものが見える)、幻臭(臭わないはずのものが臭う)、幻聴(聞こえないはずのものが聞こえる)、これらをまとめて「幻覚」と言います。
統合失調症で最も多いのは「幻聴」です。
悪口を言われている、「殺すぞ」と脅す声など、いろいろな声が聞こえたりします。
・妄想
妄想にもいろいろな妄想があります。
悪いことをされているという「被害妄想」、見られている監視されているといった「注察妄想」、毒が盛られているのではないかという「被毒妄想」、自分は天皇の生まれ変わりだ、自分は超スターだなどという「誇大妄想」などがあります。
今回は、幻聴と被害妄想と注察妄想についてお話しします。
どうしてこれらに絞るかというと、初期や軽症によく見られるのは幻聴とこの2つが多いからです。
具体的にどのような妄想が多いのかを挙げます。
被害妄想・注察妄想
今多いのは、圧倒的にインターネットがらみです。
昔は「隣の部屋の人が文句を言っている」といったことが多かったと聞きます。他に、電話で悪口を言われている、パトカー越しに悪口を言われている、道路から悪口を言われている、など。
最近聴く妄想はほとんどインターネットがらみです。
・インターネットで監視されている
・SNSで悪口を言われている
私のInstagramを見ている人が悪口を言っている、職場の人がインターネットを通じて見ている、私の投稿を見たことがきっかけで嫌いになり監視をするようになった、私の見ていないLINEグループで悪口を言っている、このLINEの文が実は隠語で悪口なのだ、などが多いです。
これは結構わかりにくいです。
実際に言われているのかなと思ったりするのですが、「じゃあそのページを見せて」と言うと「いや、そんなページないです」と言ったり、見せてもらっても全然悪口は書いてなかったりします。
普通の文章を読んでも、それが悪口だと妄想で感じてしまうことがあります。
・ウィルス・ハッキング
スマホがただ電池が切れていたり調子が悪いだけで、「壊されたんです」と言ったりします。
後は昔からよくある妄想です。
・駅でぶつかる
駅でたまたまぶつかったのが、意図を持ってやられた、実はあれはヤクザだ、ヒットマンだ、などと言う。
・「クサイ」と言われる
信号待ちをしているときに臭いと言われたので外に出たくない、など。
「ブサイク」や「バカ」だと塾で言われると言うけれど、そこに塾の生徒はいないのではということもあります。夜道にも言われる、電車に乗った途端言われる、など聞いていると辻褄の合わないことを言っていることが多いです。
「遅発性パラフレニー」に多い妄想
中高年発症の「遅発性パラフレニー」に多い妄想はこのようなものです。
・マンションがうるさい
上の部屋からドンドン聞こえる、横の部屋からドンドン叩かれている
・近所の人がジロジロ見ている
・ゴミをあさられている
このような妄想を持つ中年男性や中年女性が多いです。
若い時に統合失調症と診断されていなかったのですが、何か変わってきているなという時にこのような妄想を持つことがあります。
これが認知症の前駆症状であることもあります。
妄想の内容についてはあくまで臨床感覚なので、データを出せと言われると出しにくいのですが。
覚醒剤、ドラッグ、アルコール等
統合失調症は「遺伝」+「ストレス」で起きると言っていますが、統合失調症かと思ったら実は覚醒剤の影響でそのような症状が出ていたということもあります。
アルコールと大麻ではこのような妄想は起きにくいと言われていますが、依存症や中毒レベルになると妄想を持ったりします。
覚醒剤、危険ドラッグ、アルコール等の影響の場合は、原因をしっかり特定して治療をすれば良くなっていきます。
もちろん統合失調症も良くなっていくのですが、より原因がはっきりしているので治療も進みやすいです。ですからこのようなことも疑ってしっかり聞くことが大事です。
家族は見逃しがちですが、意外と使っている人は多いです。
自分の家族はこんなことは無いだろうと思っても、やはり疑うことが大事です。
今回は、統合失調症の幻覚・妄想を疑うというテーマでお話ししました。
統合失調症
2022.6.5