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子供のSNSを親はどこまで監視すべきか?

00:00 OP
01:43 全く見ないのはネグレクトと同じ
02:55 自由と学びのバランス
08:10 親の不安・コントロール欲

本日は「子供のSNSを親はどこまで監視すべきか」というテーマでお話しします。

臨床をしていると、親が子供のストーキングみたいになっているパターンはゼロではありません。
すごく過干渉で嫌だと思い、子供は困っている、うつっぽくなってしまっている。
場合によっては最終的に裁判までして絶縁になってしまう家族というのも珍しくはないです。

親が大量のメールを送ってくる、超長文で恨みつらみやいろいろなことを書いていて子供が参ってしまうパターンは珍しくありません。

子供のSNSをどこまで見ていいのか、すごく悩んでいる親御さんは多いのではないかと思います。

中学生になると、親がインスタやTwitterを見るのを「やめてよ気持ち悪い、そんなのストーカーじゃん」などと言われて、どこまでどうしたらいいんだろうと悩んでいる親御さんはいっぱいいると思います。
かといって、まったく見ないというわけにもいきません。

インターネットは危険なところもあります。
危険なこともできてしまうので、やはりまったく見ないというのはネグレクトと同じなのです。
今回はそこら辺の話をざっくり、臨床的に感じていることをお話ししたいと思います。

全く見ないのはネグレクトと同じ

どこまで監視すべきかということですが、親が子供のSNSをまったく見ないというのはダメです。
これはネグレクトとほぼ同じです。
ある程度チェックしてあげないと本当にダメですね。

別にInstagramとかTwitterの発言をすべて見てやれというわけではないですが、年齢に応じたある程度の自由と制限というのはとても重要です。

これは門限を設けず夜遊びをどこまでも許すのと同じです。
まったく見ないというのは夜遊びを許してしまうのと一緒です。もう大丈夫でしょうと言って、高校生や中学生の頃から夜の12時とかまで遊んでいるみたいな子だと、やはり悪い方向に行ってしまうことって多いです。

しつけや勉強の問題と一緒で、宿題も本人の自由にやればいいよと言うと、やはりやれません。
ある程度の年齢までは親が見てあげて強制させることもとても重要です。

自由と学びのバランス

SNSも同じですね。子供のSNSの使い方やインターネットとの関わり方は、一緒に学んでいく、一緒に自由度を少しずつ増やしていくことが重要です。
社員教育と一緒だと思います。学校で教わることも一緒ですが、自由と学びのバランスが大事です。

その子に合わせて、その子の年齢に合わせて、どれぐらい自由なことを許すのか、どうインターネットと付き合っていくのか、それを学んでいくのか。

・性的な暴力
インターネットには性的な暴力というものがあります。
TwitterやInstagramがきっかけで売春をする、売春を持ちかけられる、裸の写真をアップしてほしい、売ってほしいとかそういうことは起きてしまうわけです。
それは女の子だけありません。男の子でも全然起きます。
それをどうするのかという問題もあるし、どう伝えていくのか、どう知ってもらうのかということですね。

子供にとっては、自分の体一つでちょっと恥ずかしい思いをするだけでお金がもらえるのはすごく嬉しいことです。
認められたと思う子だってもしかしたらいるかもしれません。

自傷行為の跡を見せることで優しい言葉をかけられ、それでハマってしまう子もいると思うので、ここら辺は教育しながら性的な暴力の危険があるということを伝えていく、親子で共有していく、親子じゃなくても、学校全体で教育していく、共有していくことはとても重要です。

・依存性
あとは依存性の問題です。
スマホは依存させるようにできています。中毒性があるように作られています。
依存してTwitterでもtiktokでもYouTubeでも、もうやめられない。夜中までやってしまう。
勉強したくても止められないように設計されているのです。

日々依存させるように作っているのでギャンブルと一緒です。
パチンコとかと一緒なので、そういう危険性も伝えなければいけませんし、依存させないような工夫をしなければいけない。
子供の脳は弱いので報酬に弱いのです。ハマりやすいのでどうコントロールしてあげるかがとても重要ですね。

・子供らしさを奪うリアリティ
インターネットには本当に情報がたくさんあり、子供らしさを奪うリアリティまであります。
すべての真実を子供は知る必要はありません。
子供は子供らしい世界に生きていくことが大事で、早い段階で性行為のことなどを知ってしまうというのはとても危険だし、あまり良いものではありません。

暴力の話、人が誰かを裏切る話、努力が実らないこともあるとか、そういうリアリティは必要ない。必要ないわけではないけれど、あまりにも生々しいリアリティというのは、子供らしさを奪って子供の成長を妨げます。
こういう問題とどう付き合うのか。

・自分の身の守り方
あとは自分の身の守り方です。
誹謗中傷を受けやすくなってしまう、場所によっては誹謗中傷を受けやすい、そんなコメントをしたら叩かれてしまう、逆に自分が誰かの悪口を言っている、匿名だからと思ってやっていると実は全然そんなことはないとか、そういうことも一緒に学んでいかなければいけないですし、これは難しいしつけです。

新しい時代の新しい教育、親がやらなければいけない教育なんだなと思います。
大人たちが子供たちにやってあげなければいけない、新しい時代の新しい常識なんだなと思います。

結局、親が見つけるときにはもうかなり進んで末期なのです。
子供は隠してやります。
例えば中学生高校生だったら、隠して売春とかします。

ですから親にバレるということは、もう相当やってしまっているということです。
相当に常習化していることが多いです。

パチンコ、万引き、過食嘔吐、盗撮などもそうですが、最初は絶対バレません。バレないようにやるので。
でも何度も繰り返しているうちに、どんどん緩くなってしまいます。
盗撮や痴漢も、こんなの絶対バレるだろう、みたいなやり方でやってしまいます。
違法薬物も、こんなところに置いていたら絶対バレるだろう、というところに置いてしまう。
そういうことです。

だから親に見つかるときには結構進んでしまっていることもあるなと思います。
治療をしていく、しっかり学び直すこともとても重要です。

親の不安・コントロール欲

とは言いつつ、子供が親の不安やコントロール欲の犠牲になってもいけません。

確かに育てにくい子供はいますし、親が何もしなかったら本当に何でもやってしまって問題が大きくなってしまう子供たちもいます。

自分自身も思います。
めちゃくちゃな子供だったというか、よく無事だったなと思うこともあります。
危険なことをやってこなかったとは言わないので、難しいバランスだと思います。

とは言っても、親の不安やコントロール欲に支配されて、子供の自由を奪いすぎてもいけないなと思いますね。

親は自分の不安で子供を犠牲にしているのではないかということは、常に注意を払うべきです。
注意を払うべきポイントとしては3点あります。

・自他の区別
自分と子供は別の人間なんだ、という当たり前の事実です。
自分が良いと思うものを子供が良いと思うわけではなかったりします。

性格は、だいたい親と子で違うことの方が多いです。
だから意見も違うことがあります。
ドラゴンボールもそうじゃないですか。悟空と悟飯、性格違いますよね。
悟空は戦うことが好きですが、悟飯は戦うことが好きじゃないからね。
だから同じ仕事には就かないわけです。

ストーカーみたいになってしまったり、子供はこうすべきなんだということに囚われてしまうなどあったりします。

・対等ではない
かといって対等ではないんですよね。
僕たちは対等だから意見を平等に言い合おうよとか、一緒にディスカッションしようよとか、一見話のわかる親を演じているようで、ただ無責任なだけというパターンもあったりします。

子供は親の顔色を見ながら発言するので、対等では全然ないのですが、対等な約束したよねみたいな雰囲気で振る舞うのはよくありません。

早い段階で友だち同士みたいな扱いになってしまい、小学校高学年から母と娘ではなくて友達みたいな関係になってしまい、甘えたいときに甘えられなかったという患者さんはたくさんいます。

・親のリアリティは不要
親のリアリティは不要です。
子供にとって親は別に「親」だったら良いのです。
親がどんなことを思っているのか、子供のときどうだったか、親は悪い子だった良い子だった、親がTwitterで炎上したとか、親の仕事はこんな感じで上司から怒られているとか、知りたくないんですよね。

子供らしさを奪うものなのです。親のリアリティというのは。
親が赤裸々にブログやTwitterやYouTubeなどをやっていると、子供はやはり嫌、嫌というか混乱します。

あまりにも知ってしまうと、子供は混乱してしまうのです。
リアリティは子供らしさを奪ってしまうのです。
混乱すると甘え方がよくわからなかったり、社会をどう信頼していいかわからなくなってしまったり、適切な距離の取り方がわからなくなってしまいます。

親は親として振る舞うというか、じゃあどういうことですかと言われるととても難しいのですが、抽象的な存在である、良き存在として親らしく振る舞うというのが本当に大事なのです。

親らしさというのは何かというと、本能的な親らしさというのがあります。
文明がつくったものとか、社会の常識がつくった親らしさだけではなくて、サルのときから持っているものです。
人間が人間に進化する前、サルのときから持っている親に対する憧れや恐怖感、反抗心、そういうものをどこか体現し続けるということ。
それは自分らしさとはまた別の「抽象的な存在」であり続けることですが、ここら辺は難しいですね。
他の人と同じようにやっておけば良いのですが、まあなかなかね、という感じです。

子供のSNSの使い方で悩んでいる親御さんはたくさんいると思います。
学校の先生もどうしたらいいんだろうと悩んでいる先生は多いと思いますが、僕の臨床的な実感としてはこういう風に思っていますね。
こういう話ももっとYouTubeでいろんな人がいろいろ発信してくれるといいんだろうなと思います。

この話をするにあたってちょっと調べてみたのですが、パッと良いものが出てこなかったので、臨床家的な意見を述べました。


2022.7.2

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