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自分一人でできるメンタルケア セルフケアのポイントを解説します

00:00 OP
01:25 CBT認知行動療法/マインドフルネス
03:46 セルフケア
07:12 こういう人もいる
09:00 考える筋
15:19 実際の臨床

本日は「セルフケアのポイント」というテーマでお話しします。

ストレスがたまったときにどういう風に心を落ち着かせたらいいのか、メンタルをケアしたらいいのか、自分でできるやり方はありませんか、とよく質問をいただきます。
よく臨床の場面でも一緒に考えるテーマです。

どういう風に自分の心をコントロールしていけばいいのか、どういう道筋でセルフケアをしたらいいのかということを、今回はざっくり大筋をお話ししようと思います。

この大筋を元に自分なりにアレンジしたり、細かいところはこういうものを読んでみたいなとか、こういうことを勉強したいな、こういうことを聞いてみたいな、というのが出てくると思います。

まず今回の概論を知ってもらって、細かいところはまたYouTubeを見てもらったり、いろいろな本で勉強もらえればと思います。

毎週水曜日はYouTubeライブをやっています。
もしよかったら、質問をいただけるとお答えできますのでご利用ください。

CBT認知行動療法/マインドフルネス

まず、「セルフケアってどういうものですか?」と聞かれたときにパッと思いついたのは、認知行動療法、いわゆるCBTと呼ばれるものと、マインドフルネスです。
よく書店にもありますね。心を落ち着かせたいときの自分でできる認知行動療法のワークブックや、マインドフルネスをやってみようといった本がたくさん売られていると思います。

・CBT(認知行動療法)
認知行動療法というのは、自分の考えを紙に書いてそれをもう一回見直したときに、「認知の歪み」を見つけて、じゃあこういう風に考えようとかこういう風に行動しようというようにやるやり方です。
日記をつけたり、そういうものから自分の認知のゆがみ、考え方のクセを見つけて、訂正していきます。

これは後で説明する「考える筋」というのと似ているので、それを理解してもらうと認知行動療法の骨格がわかるんじゃないかなと思います。

・マインドフルネス
マインドフルネスというのは、いわゆる瞑想と呼ばれるものです。
座禅を組んで鼻から息を吸ってゆっくり吐くという、リラックスした呼吸法をすることです。
自分の思い出に浸ることもあれば、呼吸に集中しても良い。二通りあります。

頭の中のざわざわを観察することで頭の中を整理する瞑想法もあるし、ゆっくりとした呼吸に集中するとスポーツなどをしてるときの集中している状態、いわゆるゾーン状態に入り、ちょっと気持ちが楽になるという特殊な訓練もあります。

セルフケア

そもそもどういう風にセルフケアをしていけばいいのか、人間の心がどうやったら安定するのか、ということです。
認知行動療法を身につけたりマインドフルネスを身につけたから、皆が心の健康を手にするわけではありません。

医学的には大きく3つの要素で成り立ちます。
心が健康だとか、不安がないとか、メンタルが落ち着いているとはどういうことかというと、ひとつは「心身のバランスが整っていること」、もうひとつが「良い人間関係に恵まれていること」、3つ目が「きちんとした知識や概念があること」です。
この3つが成立することで、心の平和が保たれます。

・心身のバランス
心身のバランスを整えているということは何かというと、疲労がない、ということです。
疲れている、寝ていない、食べていないとネガティブに考えがちです。
また、体の病気があったり、痛みがあったりすると、やはりうつっぽくなりがちです。

ですから、規則正しい生活をする、生活習慣病を治す、ほどほどの運動をする、そういうことはとても重要です。
もし生活リズムが乱れていたり、運動不足だったり、身体に病気がある人は、まずそちらを治しましょうということです。
そうすると心は落ち着いてきます。

・良い人間関係
二つ目のポイントは良い人間関係です。
周りに自分を認めてくれる人がいること、周りに自分のことを愛してくれている人がいること、自分にストレスを与える人が少ないこと。
ゼロにはなかなかできないと思いますが、そういう状況をつくるということです。

たくさん友達がいた方がいい人もいれば、少なくてもいい人もいる。
家族がいた方がいい人もいれば、恋人だけで十分な人もいる。

でも孤独だとやはり人間はどんどんうつっぽくなりますし、やる気も落ちてしまいます。
なので良い人間関係をつくっておく。
家族、職場の人間関係、友人、いろいろなところで人間関係を作っておくことが心身の健康にはとても重要です。

今、そういうものがなくて落ち込んでいる人がいるのであれば、友達づくりを頑張っていきましょうということになります。

・知識
3つ目は知識です。
今何が起きているのか、社会に何が起きているのか、人間はこういうときどう考えるのか、相手は何を考えているのか。
それがわかるためには、知識や概念が必要です。

やはり勉強というのはとても重要で、社会情勢しかり、一般教養もしかり、s心理学的な知識、人間関係の知識、いろいろなものが必要です。
精神医学というのは手っ取り早く心や人間関係について学べる学問でもあるので、皆さんにはこのYouTubeを通して学んでいってもらえればなと思います。

この3つを意識して普段から生活してもらうと、うつは防げるんじゃないかなと思います。

こういう人もいる

心や脳の規則、特性ですね。
脳はどういうことを考えるのか、どういうことを考えがちなのかを理解する。
人間はどういうものなのか、群れとしてどういう動きをするのか。

ゲーム理論を拡張したようなものですね。
こういうときに人間はこう動きがちだとか、こういう人もいるしああいう人もいるという知識があることはとても重要です。

これらはとても複雑で、最適な答えは常に変化し続けます。
学んでも学んでも終わりはないのですが、基本的な知識をしっかり身につけておく、いろいろな人を見ておく、いろいろなパターンを知っておくと、応用が利くようになるんじゃないかなと思います。

結論、「こういう人もいるな」ということですね。

腹が立つんですよ「なんであの人こうなんだろう」「なんであの人はわかってくれないんだろう」「なんであの人はこういうときに失礼な行動を取っちゃうんだろう」とかいろいろ思うことがあると思います。
でも結局どこにたどり着くかというと、「こうだからなのかな」とか「ああだからなのかな」という理論もあるのですが、そういうものを経て「そういう人もいるな」みたいな感じで腹に落ちます。

不安になりやすいとか落ち込みやすい人は、そういう発想がなかなかしにくかったり、知識が少なかったりします。

逆にメンタルが落ち着いている人は、どんな質問が来ても「まあ、そういう人っているよね」と答えがちだったりします。

考える筋

では悩みがあったときに、どういう風に今の悩みに取り組んだらいいのか、考えていけばいいのか、ということです。

基本的には認知行動療法的なやり方をお勧めします。

医師の診断や解決していくアプローチもこういうアプローチですし、いわゆるビジネスのやり方も現代的にはこういうやり方をします。

僕らが今考えていることは主観です。
「こうだな」「ああだな」と思う。
それを一回客観視してみる。
客観視して見た上で「ああ、こういう問題なんだな」と思って、「自分は考えすぎだったな」「楽観視しすぎていたな」「脇が甘かったな」など、データをもとに考え直して、別の考え方をするというのが基本です。

人間は調子が悪いときや体が疲れてる時は、「私、お金全然ないわ」「貯金全然ないわ」とネガティブに考えがちです。

ですが、貯金がいくらしかないというのも、ネガティブに考えているということですよね。
でもそんなにネガティブに考える必要もなくて、お金はただお金なんです。
貯金は100万だったら100万、1000万だったら1000万です。

その上で、100万あるからいいやと思うのか、100万円しかないけど何とかなるだろう、これから貯めていけば良いだろうと思うのか。1000万あるからなんとかやっていけるだろうとか、そういう風に考えていけば良いのです。

コップの水にもよく例えられます。
これしかないと思うのか、これだけあると思うのか。
ですが、「これしかない」と思ったところからポジティブに「こんなにある」と考えること、主観から主観2.0に行くというのはただの洗脳だったり思い込みだったりするので、すぐ戻ります。

一時励まされて「水って少ないと思ったけど、みんな多いって言ってくれたから多いんだ」と思っていると、みんなから離れたときに一人で夜寝る前になると「やっぱり少ないじゃないか」と思いがちです。

そうではなくて、「水はコップに半分ある」「150ccあるな」と客観的に考えて、その上でじゃあどうしようかと考えるのが良いと思います。
主観から客観にする。
そして客観的なものから主観的なものに変えていくという作業が必要です。

主観的なものから客観的なものを考えるときに、いくつかのルールがあります。
考え方のルールや知識が必要です。

まず人間には「バイアス」と呼ばれるものがあります。
こういう風に考えがちだというのがあります。

例えば、単純に考えがちだったり、敵・味方に分けて考えがちだったり、白黒思考になりやすいとか、色々なバイアスがあります。
極端に物を考えすぎるとか、そういうものを排除してあげることが大事です。
そういう脳の特性を理解することも重要です。

あとは「本能に従わない」というのがとても重要です。
例えが悪いですが、結婚している相手を好きになってしまったとか、自分は結婚しているのに誰かのことを好きになってしまった、ということはあると思います。

そういう時にどうしたらいいかと言うと、本能のままに従ったらダメですよね。
そんなものに従ったらダメなんですよ。

なぜかというと、基本的になぜ人間には理性があるかというと、本能や感情では解決できない問題を解決するためにわざわざ理性を進化させたのです。

お腹が減ってるからとすぐに食べていたら糖尿病になってしまうし、眠いと思ってすぐに寝ていたら仕事をクビになってしまいます。
ある程度本能の力は抑えてあげなければいけません。
そうしないと生きていけないですよね。
社会ではうまく生きていけない。

本能ではこう思っているけれど、感情的にはこうだけれど、冷静になったら損をするからやめておこう、我慢しておこうと思うのがとても重要です。

もう一方では、社会で決められたルール、習慣や常識に縛られないというのはとても重要です。

世の中はこうなんだとか、皆こうしているからこうした方がいいんだと、何も考えずに動いてしまうと、それも理性をストップさせているということなので失敗してしまいます。
皆がこう言っているからこうしようとか、ルール通りやろうと言っていたら絶対うまくいかないので、それも疑う。
ルールも一回疑うことはとても重要です。

悩んでいる時は、感情や本能に従っていてもうまくいかない時でもあるし、ルールに従っていてもうまくいかない時なのです。
そういうときにしっかり頭を使うのがとても重要です。

その上で「楽観的に考える」というのはとても重要で、理性で考えるけれど、最後は楽観的に考えた方が得なんですよね。
楽観的に考えるとか、自分が愛されているとか、そういうことはわかる。
そういう上で判断して行動することはとても重要です。

なぜこういう風に言うかというと、だいたい精神科の患者さんは、楽観性や愛されているという感じとか、所属感が欠けている人が多いです。

もともと楽観的に考えてる人が客観視したときには楽観性を減らした方が良いのですが、多くの人は楽観性を損なっているので、あいだを取る意味で最後に楽観性を足した方がいいですよと言っています。

実際の臨床

実際、僕らは臨床をどういう風にやっているのかというと、これまでの話は基本の話で、実際はうつ病の人を診たり、発達障害の人を診たり、発達障害の人が家族にいるパターン、奥さんがカサンドラになってしまう、お母さんやお父さんが発達障害で子どもが苦しんでいる、愛されてないような感じがする、そういうパターンもあります。
虐待を受けているパターン、トラウマで悩んでいるPTSDのパターン、家族の中に病気の人がいて看護や介護をしなければいけないので、その結果自分の時間を持てないヤングケアラーのパターン、依存症になってしまうパターン、孤独の問題とかいろいろあります。

こういう各論を、本筋を使いながら、もっと細かい知識を使って解決しているということになります。

皆さんはすべての病気を知る必要はないと思いますが、自分がかかっている病気や周辺の疾患についてはきちんと理解した方がいいと思います。
診断を受けている方は、これらの各論を他のYouTube動画などで勉強してもらえればと思います。
その上で、今悩んでいることを整理して、考える筋で整理していく。

主観的なものを一回客観視して、またポジティブな形に切り替えていく、こういう作業を何度も何度もします。
これをもう1日10回とかやって、本当に何年もやり続けることで、考えや頭が柔らかくなっていくし、不安というものが減っていきます。
一緒に勉強していきましょうという感じですね。

今回は、セルフケアのポイントというテーマでお話ししてみました。


2022.8.18

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