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小さな職場で上司が発達障害(グレー)で、部下が鬱になるケース。職場カサンドラ

00:00 OP
01:56 発達障害
04:40 ASD(自閉スペクトラム症)
10:51 ADHD(注意欠如多動性)
12:19 対策

本日は「小さな職場での悩み事。上司が発達障害ないし発達障害グレーゾーンだった場合どうするのか、それでうつになってしまった人はどうしたらいいのか」ということをテーマにお話しします。

僕の造語なのですが、「職場カサンドラ」と今回名付けました。
カサンドラ症候群とは何かというと、旦那さんがASD(アスペルガー症候群/自閉スペクトラム症)で、その奥さんがうつになってしまうことを言います。

その言葉を借りてきて大きくして、職場で起きるカサンドラ症候群、ということで「職場カサンドラ」という言い方をしました。

臨床をしていて、職場カサンドラは少なくありません。
職場の上司、同僚、部下が発達障害で、本人は困っていないのにその周りの人が困ってしまってうつになった、適応障害になったということで病院を受診するケースは決して少なくないです。

職場もそうですが、あと多いのは「アカハラ」の問題です。
教授が発達障害、指導教官が発達障害で、セクハラやパワハラがあってうつになったというケースもたくさんあります。

今回はどうしてそういうことが起きるのかや、発達障害の特徴と、実際起きていることはどんなことかということをテーマにお話ししようと思います。

発達障害

発達障害というのは、ASD、ADHD、LD(学習障害)、この3つの障害に分けるのですが、よくあるのがASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動性)の2つで、そしてこの2つを合併していることが多いです。

ADHDがメインで9割ぐらいを占めていて、ASDが1割くらいでほとんど目立たないというパターンもあれば、5:5であるときもあるし、6:4であるときもあるし、ASDが9割でADHDが1割というパターンもあります。合併していることが多いです。
ADHDだけ、ASDだけ、という方はあまり見ないです。

そもそも発達障害は多いんですよね。
グレーゾーンまで含めると7~8%ぐらいはいるのではないかと言われています。
実際の診断に該当する、それが障害で社会的に生活できないという人になってくると1~2%ですが、グレーゾーンまで含めると7~8%ぐらいいます。

ですから、職場に発達障害の人がいることというのは珍しくありません。
ただ、これが上司だったり、狭い空間で発達障害の人がいる、上司が権力を持っている場合、部下がその狭い空間でうつになってしまうパターンというのが結構あります。

職場の上司の権限が強くなって職場が私物化されてしまい、部下が発達障害の人の私物になってしまうみたいなことだと、うつになってしまうことが結構あると思います。

発達障害は、受動型や積極奇異型と言ったりします。

受動型は、自分から意見がなかなか出ないタイプ。
エヴァンゲリオンでいうところの綾波レイみたいな感じです。

積極奇異型は、自分の意見をガンガン言って周りを引っ掻き回すタイプ。
エヴァンゲリオンでいうところのアスカ・ラングレーです。

エヴァンゲリオンを知らない人は多いと思うので、もし気になったら検索してください。
これらを区別せずに、今回はお話をしようと思います。

ASDの特徴として4つ挙げて、ADHDの特徴として2つ挙げています。
これが絶妙にミックスしていたりするし、全部の症状があるわけではありません。
人によってはあったりなかったりするのですが、今回は全部説明しようかなと思います。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDのDはdisorder(障害)のDなので、Dを抜かしてASと呼んでも良いのかもしれません。

・想像力/コミュ力
ASの人は想像力が低くてコミュニケーション能力が低いと言われてます。
こういう人が上司だと、部下の心配をしてくれません。
部下を心配してくれないし、こちらが不安だなと思ったときにフォローしてくれません。

新しい職場に行って不安だなと思っても、全然他人事みたいで心配してくれないし、業務を教えてくれません。
自分から言わないと教えてくれないし、言っても自己中心的な感じがして、「なんで俺が教えなきゃいけないんだよ」と逆ギレしてくるパターンもありぎょっとすることが結構あります。

あと感謝してくれません。
一生懸命働いても全然感謝してくれません。
だから働きがいを感じなくなって、何か嫌だなと思ってうつっぽくなることがあります。
旦那さんがこのパターンもあれば、職場の上司がこのパターンだったりもします。
全然心配してくれなくて働きがいがないな、あの人の下で働いても全然嬉しくない、ということになってしまう。

あとはセクハラをしてしまう、空気を読めなくてセクハラをしてしまう。
嘘をついてしまうこともあります。
自分が追い詰められたら嫌なので、つじつまを合わせるためにすぐバレる嘘をつくというのもよくあります。

・こだわり
こだわりが強いということもあります。
こだわりが強いので時間に過度に厳しかったり、お金に厳しすぎたり、ノルマや数字がつくものに対して厳しすぎる時があります。
めちゃくちゃ部下を管理することもあります。

お前これぐらいやってるのかと、毎日毎日業務内容やノルマを果たしたかチェックされて、うつになってしまう。
逆にルーズすぎて全然管理されてないということもあります。
これでうつになってしまうことも結構あります。

あとはマイルールがあったりして、その通りやらないと怒る。
その先輩やその上司に対してはこういうやり方で言わないと相手は怒るというのがあったりします。

これは僕らもよくあって、あの先生に相談するときはこういうやり方でやらないと怒り出すとかなど、引継ぎ事項があったりします。
それを犯すと、「こちらの方が効率がいいからこういう風にやりましょう」と言うと、めちゃくちゃ怒られたりします。

あとは過敏さです。
温度、匂い、チクチクするもの、そういうものに過敏で苦手だったりします。
例えば香水をつけていくと、臭いなと怒られることがあります。

こちら側には相手が何で怒るかよくわかりません。
長く付き合えば、その人のこだわりがわかってくるのですが、その職場に転属した直後とか、その上司が来た直後だと、何がその人のこだわりかよくわかりません。
相手のこだわりを刺激して、突然怒られてうつになったり、パワハラに遭ったりすることもあります。

・人間理解が未熟
3つ目の特徴が人間理解が未熟です。
人間理解が未熟なのでだまされます。
職場はいろいろな人がいますよね。いろいろな人がいる中で、スネ夫のゴマすり役が有利だったりします。
ゴマすりにだまされてしまいます。

普通の人だとあからさまで、こんなゴマすりしてくる奴なんか信用できないなと思うじゃないですか。
でも発達障害の傾向がある人は、そこが見抜けずだまされてしまいます。

たとえば露出の多い女の子が来たときに、胸元をチラっと見せたらだまされる。
好きになってだまされて、その女の子は仕事をしなくていい、ちょっと上司のことをおだてる人がいたらその人が出世してしまう。仕事ができてないのにその人は出世してしまう。

誰かが嘘をつく、「誰々さんは仕事全然してない」「あの人は裏であなたのことを悪口言ってましたよ」とあからさまな嘘をついてもそれにだまされる。
それで輪が乱れてしまうというのがあります。

・自己中心的
4つ目の特徴としては自己中心的だったりします。
他人の立場で考えるのが苦手なので必然的に自己中心的になってしまいます。

攻撃的だったり反社会的だったりすることもあります。
発達障害の人で反社会性パーソナリティ障害、子どものときは素行障害を合併している人は意外と多いです。
すごく悪いことをしたり、部下にも悪いことを強要したりします。

あとは自己中心的なので相談しても「俺を困らせるなよ」「お前は部下なんだから、俺の仕事を手伝うのが仕事だろう」と怒ったりします。
「悪いことをしてでもいいから売り上げを上げろ」など、反社会的な行動も強要したりします。
ここに対する罪悪感がなかったりします。

あとは意外と多いのが、炎上させることを趣味にしている人たちです。
自分は正義感があるから正義のためにやっていると思っているのですが、実は見当はずれなことをやっていたりします。
わざわざ人の悪口を書くのはなぜかということですが、意外とその人のこだわりだったり、偏った知識による偏った正義感だったりすることがあります。

陰謀論にもだまされやすいというか、信じやすいというのがあったりします。

ADHD(注意欠如多動性)

ADHD的な特徴としては、不注意や衝動性があるので、突然仕事を振られるというのがあります。
そろそろ帰ろうかと思ったら「これやっといて」と仕事を振られる。それで上司は勝手に帰ってしまう。

それから、同じ失敗をする。
部下に仕事を振っても忘れる。
無計画だったりもします。
それで周りの人は引っ張られてしまって困るということがあったりします。

こういう人がいても、集団が大きかったり、ルールやマニュアルがしっかりしていると問題にならなかったりするのですが、小さい職場や新しくできたばかりの部署だと混乱を生んだりします。

妙に一人でやるぶんには有能だったりします。発達障害の人は。
上司からは評価が良かったりしますが、人を使うのが苦手だったりする。
自分個人で働く分には良いけれど、周りにはすごく迷惑をかける人がいたりします。

あとはだましやすいというのもあるので、上司の人がわざとそういう人を利用していることもあります。
部下がスネ夫ではなくて、上司がスネ夫のパターンもある。
うまく使ってやっているときもあるので、これもまた物事をややこしくさせます。

対策

対策としては、この上司より上の人がちゃんと倫理的な態度を取るということです。
きちんとリーダーシップを発揮する。
ダメなことはダメという道徳心をしっかり植え付ける。
職場は利益のためだけではなく、一方で道徳的なことをしっかり重視する。
そしてルールをきちっと守ることは大事です。

それをやることでこういう人たちをきちんと制限します。
その方が結果的にはみんなの生産力が上がります。

悪いことをした方が儲かるのではと思いがちですが、意外とそうではなくやはりちゃんとやった方が良い。
礼儀や道徳はなぜあるかというと、ある方が生産性が高いのです。

それはなぜかというとこういう理由があるからだということです。
これは小さな職場以外にも、アカハラ、大学教官や指導教官の間でも結構あります。
医者の世界でも結構あります。
発達障害の人が上司で、研修医がつぶれてしまうのはよくありますね。

こういう視点も持つことは重要です、という話でした。


2022.8.27

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