東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

自殺を思いとどまった人の理由ベスト3

00:00 OP
01:23 死の美化
03:59 昔を思い出して
05:22 ○○を終えるまでは死ねない

本日は「自殺を思いとどまった人の言葉3選」というテーマでお話しします。

「ウェルテル効果」と「パパゲーノ効果」をご存知ですか?
ウェルテル効果とは、マスコミやニュース番組で有名人、著名人の自殺を報道することで、それを見た人が自殺を試みてしまうこと、そういう思いを抱かせてしまうものをいいます。

「パパゲーノ効果」はその逆です。
自殺を考えていたけれど復帰した人、思いとどまった人のニュースを報道することで、自殺を考えている人を思いとどまらせるというものです。

今回は、僕が臨床していてよく聞く話です。
患者さんが自殺を思いとどまったときにどういう話をしていることが多いか、ということのベスト3を挙げてみます。

死の美化

一番多いのがこちらです。

「死ぬことが怖いと思ってしまった自分には、自殺する権利がないなと思ったのでやめました」
「友達と遊んでいたら楽しいと思ってしまって、そんなことを考えてしまう自分には自殺する権利はないな」
「誰々から褒められたからそういう自分は自殺してはいけない。自殺する権利はないな」
という風に言う人がいます。

聞いていると、友だちと遊んだから楽しいと思って、人生は楽しいんだ、誰々から褒められたから自分には価値があると思って自殺をやめよう、という話ではありません。
死を美化していて、自殺は尊いものだから、その尊いものに自分が入っていくことはダメなんだと思ってやめる、というパターンです。
これは結構よく聞きます。

うつがひどくなると、そういう思想になります。
「自分は世界で一番ダメな奴なんだ」
「自分は世界で一番残酷な人間なんだ」
そういうある種のナルシシズムです。一番なのです。

死ぬとか自殺するというのも、ナルシシズムの極致のようなものがあり、自分が死ぬことで、その死が犯されてしまう、美しさが消える、というのを嫌がって思いとどまる、という倒錯的な話はよく聞きます。

うつが良くなってくると「あのとき何を自分は変なこと言ってたのかな」と言ったりしますが、こういう話はよく聞きます。
だから怖いなと思いつつ「良かったですね」と話したりします。

どういうきっかけでも、何か踏みとどまるものはあったりします。
楽しかった、褒められた、色々あります。

自殺するものを買いに行こうと思ったら、ちょっと歩くのが面倒くさかったなど色々ありますが、何らかの理由をつけて死を思いとどまることができたというのは良いと思います。
改心してやろうではなく、単純にちょっと誰かとコンタクトを取る、新しい情報を何か入れてあげることで、自殺を思いとどまらせることがあったりすることを頭に入れてもらえれば、周囲の人もサポートしやすくなるのかなと思います。

昔を思い出して

2番目はこちらです。
「昔の何々のことを思い出して、やっぱやめようかなと思いました」
「昔こういうことがあって、あの時はああいう風に言われたから、迷惑をかけちゃいけないなと思ってやめました」
今いる人もそうですが、「誰々のことを思い出して、迷惑かけちゃいけないなと思って」という形は多いです。

自分の心の中にきちんと内的対象がある。心の中に人が住んでいる。
心の中に誰かがいて、死のうと思ったときに孤独なんだけれどもそういうときにひょっこり出て来る。
心の中にいる住人に話かけられる、話をすることで思いとどまるパターンも結構多かったりします。

発達障害の人は、ASDの人は目の前にいない人は死んでいるか生きているかわからない、と言ったりすることがあります。

いなくても心で通じ合っている、という感覚が持てない人たちだったりもするので、そういう人たちはこういうことを言わないし、逆に生に貪欲だったりするので、また自殺する理由も違ったりしますが、もっと単純な動機で自殺を試みたり、単純な動機で自殺を思いとどまったりします。
こういう違いはあるかなと思います。

○○を終えるまでは死ねない

最後は、「○○を終えるまでは死ねないなと思いました」というのがあります。
借金を返すまでは死ねないなと思った、などのマイルールの話です。
「○○という映画を観るまでは死ねないな」
「この本を読み終わるまでは死ねないな」
そういう形で自分のルールがあり「死ねないな」と思った人は結構いるかなと思います。

僕の言うパパゲーノ効果は暗い話ばかりですね。
明るい話が全然ありませんが、こういうことが多いです。

でも何でも良いのです。
時間が経てば良くなりますから、うつというのは。
時間が経てば良くなるので、そうすれば自殺に至らないことが多かったりします。

通院して治療を続けていれば、トラウマの問題とか、現実的な問題、借金の問題、色々ありますが、解決できない問題というのは本当にないので何とかなったりします。
ただ、ギリギリのときに、先週死のうと思った、昨日死のうと思ったんだけど死ななかったです、と告白してくれるときは、こういう話が多いなと思います。

律儀な人が多い

こういう話を見ていると、律儀な人が多いです。
開き直ったり、他人のせいにするのは苦手というか、そういうことをしない人、真面目な人が多いです。
頑固で我慢強い人が、自殺を検討することが多いなと思います。

僕みたいにいい加減だったり、開き直ったり、YouTubeの動画とか言い間違えたり適当でも撮っちゃって「もういいや」と思っちゃうんです。
本当はダメなのかも知れませんが、こだわりがないんです、そこに。
こういうタイプだと大丈夫だったりするのですが、そこにこだわってしまう人、動画の編集とかもこだわっちゃうタイプ、どれくらい見られてるのかなとか気になったりするタイプは、ここら辺が苦しいかなと思います。
完璧主義は良くないし、もっといい加減にフワフワ生きていく方が大事だったりします。

今回は、ウェルテル効果とパパゲーノ効果、自殺を思いとどまった人の発言ベスト3を解説しました。
また、パパゲーノ効果が高まるような動画も今後も撮っていきたいと思いますので、楽しみにしてください。


2022.9.4

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.