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楽観性を身につけるには、どんなトレーニングをする? 楽観性について解説

00:00 OP
02:09 昔の方が良かった?
04:33 信頼感がまず必要
05:33 楽観的・悲観的
09:10 どうやって楽観的になるのか

本日は「楽観性」について解説します。
どうしたら楽観的になれるのか、楽観性を獲得できるのかについても解説します。

楽観性はとても大事です。楽観性があると人を信じられるようになります。
未来は基本的には良くなっていきます。社会も良くなっていきます。
周りの人は信頼に足るのです。
それが基本的に治療のベースなのです。

自分はもしかしたら、これから下り坂かもしれない。
病気によって、年齢によって、そういうことはあると思います。
僕自身も体力は落ちていく一方なので、下り坂と言えば下り坂なのですが、でも未来は明るいと思っています。
僕の未来が明るいかどうかわからないですが、日本全体で見れば、世界全体で見れば明るくなっていくのです。

それはなぜかというと、犯罪、貧困、病気などは減っているからです。
だから基本的には未来は絶対良くなるのです。

僕はわからないです。
僕個人はこれから病気になるかもしれないし、体力だって落ちてくるし、ヘルニアだってどんどん悪化していくかもしれない。

僕個人は悪くなるかもしれないし、僕の家族も含めたら、もしかしたらお家が没落していくかもしれない。
だけど周りの人は良くなっていく。
これはわかっています。

未来は良くなるというのはわかっている。
だから周りの人のことを信用できる。
周りの人を信用したって良いということです。

そちらに便乗してしまえば、自分も良くなっていくかもしれない、ということがわかります。
だから楽観的に考えた方が良いのです。

昔の方が良かった?

「いやいや益田はそう言うけれど、昔の方が良かったよ」「昔の方が人付き合いもあったし、温かかったよね」と言うのですが、実際は残業も多かったり、パワハラとかセクハラも多かったりします。

僕が医師になった頃、もしくはクリニックを開業した頃は、精神疾患は今よりも偏見が多く、精神科に通院するなと言われていました。
通院するから悪くなるんだろうと言われて、薬を飲むなと言われていたのです。

だから残業の合間を縫ってこっそりクリニックに来て薬をもらって、こっそり職場に帰る、こっそり自宅に帰るということをしていました。
家族にもバレないように薬をコソコソ飲んでいたのです。

本当に開業した時そうでした。5年前です。
たった5年前はそんな感じだったのに、今は変わってきています。

今は逆にリモートワークが増えて残業が減った分、孤独だったり、職場に人がいなくてすぐ帰らなければいけないので、教えてくれなかったりします。
だから「困ったな」「昔がよかったな」と言うかもしれないです。
そういう人も多いです。

ただ、やはりオンラインが発達して便利です。
スマホがない時代に戻りたくないじゃないですか。
今は物が多いし、むしろ物なんかいらないと若者は言っているわけです。
お金だっていらないよ、と言っているくらいなので豊かです。

仕事はお金のためじゃなくなりました。
やりがいのために働くという人が増えました。

食べ物とか、物が欲しいからとか、見栄のために働いていたんです。
それが今の若い人は、やりがいのために働く、「人からどう見られても別にいいです」ということまで言っているので、本当に豊かになったというか、未来は良くなっているんだなと思います。

もちろん悩むことは多いし、困っていることも増えていますが、逆に昔困っていたことは減ってきているという感じです。
全体としては良くなっています。

それがベースの世界観としてきちんと共有されている、しっかり頭から理解していると精神科の治療は上手くいくのですが、やはり患者さんはなかなかそうは思えなかったりします。

信頼感がまず必要

楽観性や、安全であるということを信じる、安全性を信じること、信頼感です。
医師や他者、未来に対する「信頼感」というものがまず必要です。
これがないときにメタ認知を獲得しても、悲観的に考えたり、やっぱり生きているって意味ないじゃないか、生きているって虚しいよね、という結論になりかねないです。

人生は意味がないから周りの人も意味がないんだろう、じゃあ無敵の人でいいじゃないか、みたいな話になりかねないので、まずはこちらが大事です。
これを獲得してからメタ認知を鍛えた方が良いです。
逆は良くないということです。
だから楽観性を手に入れましょうということになります。

楽観的・悲観的

楽観性を説明する上で必要なキーワードをいくつか挙げてみます。

・非現実的楽観性
まず「非現実的楽観性」という言葉です。
宝くじが当たるとかそういう感覚です。
「俺は絶対宝くじ当たると思うんだよね」とか、そういうものを非現実的楽観性と言って、起こり得ないこと、確率的にはあり得ないことなんだけれども、それは自分には起こるだろうと思ってしまう感じのことです。

これは欧米人の方が日本人より高いと言われています。
宝くじが当たると自分で思う感じ、ラッキーなことが人には起きないけれど、自分には起きるんじゃないかと思う感覚は、欧米人の方が高いと言われています。

悲惨なこと、災害に遭う、火事に遭うなど、そういうことが自分にも起きるかもしれないと思う感じは欧米人の方が高く、日本人の方は低いです。
日本人は「自分には不幸が起きない」と思い込んでいます。
そういう意味での楽観性はあるみたいです。
ちょっと面白いですね、そういうことを知ると。
悲惨なことは起きないよ、と思っているようです。

確かにそうだなと思います。
海外の臨床報告や海外の人のうつのインタビューを見ていると、「自分にはこれからすごい悲惨なことが起きるんじゃないか」ということを語ります。

でも日本の臨床では、そういうことを語ることよりは、むしろ「なんで私にこんなことが起きちゃったんだろう」と悔やんでいる人が多いです。
そういう可能性も1/100くらいの確率で起きるだろう、たまたまそれが自分に起こったんだろうと思うのですが、日本人の場合は、何で自分に起きるの、何で私の身にだけ起きるのと逆になります。

・説明スタイル
あとは説明スタイルで違いが出ると言います。
楽観的な人は原因を外に求めます。

自分が悪いのではなくて外の問題なんだろう、他人の問題なんだろう、構造の問題なんだろう、社会の問題なんだろうと考える。
逆に日本人の場合は、仕事でミスがあっても自分のせいだと思っている。

あとは楽観的な人は「今回たまたまだろう」と思います。
でも、悲観的な人はこれからも同じような問題が起きるんじゃないか、今回だけじゃなくまた起きるだろう、と考えがちです。

また、このケースはたまたま特徴的なものなんだろう、と楽観的な人は思います。
「パソコンが壊れたのは今回たまたまだよね」「この製品が悪かったんじゃないの」と思うのに対して、悲観的な人は「Apple社のパソコンは大体壊れるんだ」「あそこの電器屋で買ったらだいたい毎回壊れてしまうんだ」と思いがちです。

・コーピング
次いで「コーピング」です。
何か困難があったときに、楽観的な人はどうやって対処しているのか、ストレスコーピングをしているのかというと、近付いて行き原因解決をしていく人が楽観的な人には多いです。
逆に、逃げてしまう人、無視してしまう人、回避的な人には悲観的な人が多いと言われています。

・目標
さらに「目標」です。
目標に対して粘り強さを持っている、柔軟に目標を変えることができる人は楽観性が高いということがわかっているようです。

どうやって楽観的になるのか

ではどうやって楽観的になるのか、楽観性を獲得していくのか、ということですが、これは練習があります。

例えば何か説明するときには、外的に、一時的に、特徴的なものだと説明する癖をつけた方が良いと言われてます。
これは実験でもあったようです。
学生に何かを説明するときに、内的、永続的、普遍的ではなく、外的、一時的、特徴的で説明するようにしようという実験をした結果、楽観性のポイントが上がったそうです。

何かの原因を説明しようとするときには、自分のせいにするのではなく、まず他人のせいにしてみる、まず社会のせいにしてみる。
まず他のことに原因を求めてみることをするのがオススメです。

日本人というか、たいていの患者さんを診ていて思うのは、自分の我慢が足りなかったんだ、自分が落ち込んでいたから上手くいかなかったんだ、という形で自分のせいにして、しかも自分の「感情」のせいにします。

そうではなく、感情や自分ではなく、何で起きたのか、その問題のシステム、構造に視点を移さなければいけないところを、自分の責任にすることが多いので、これを治すだけでも随分違うんじゃないかと思います。

あとは「BPS」と言うのですが、Best Possible Self exerciseというものがあります。
自分の未来はこうなるんじゃないか、最高な自分というのを週に1回でも1日1回でも良いのですが、10分間想像する、書き出してみる、という訓練をすると楽観的になると言われます。

例えば、これから俺は毎日走って、痩せて、そしてモテて、モテるからすごいラッキーで、出世して、みたいなことを考えると良いみたいです。
何か下手ですね、僕(笑)

自分がこれからどう良くなるかと考えるのは苦手なのですが、でもこういうことを考えるととても良いみたいです。
これを毎週とかやったりすると、だんだん楽観的になるみたいなので、自分が今後こういうことをすればこういう風に良くなるんじゃないかな、これからこういう良いことが起きるんじゃないか、そういうことを考える習慣を身に付けたり訓練をしてあげると楽観性を獲得できるので良いかなと思います。

楽観的に考える訓練、何かを説明するときには、外的、一時的、特徴的な説明スタイルで説明してあげるといいよということです。

今回は、楽観性とそれを獲得するにはどうしたらいいのか、ということをテーマにお話ししました。


2022.9.8

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