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双極性障害を解説します

00:00 OP
00:46 遺伝性が高い
02:25 双極性障害
05:00 発症
06:28 治療
07:18 合併症
07:54 疾病教育、暴力、自殺対策

本日は「双極性障害(躁うつ病)」について解説します。

双極性障害というのは、だいたい人口の1%ぐらいが発症する病気といわれています。
いわゆる脳病で、薬がしっかり効くパターンの精神科の病気です。
カウンセリングよりも薬物治療がとても重要です。再発予防のためにも薬を飲み続けることが重要です。

遺伝性が高い

双極性障害は脳病と言われるように、遺伝性が高いです。
家族の中に双極性障害の人がいる、親族の中にいる人は結構多いです。

遺伝性が高いということがわかっているのですが、原因遺伝子は実はよくわかっていません。だからややこしいです。
この遺伝子が問題なんだとがわかっていないという、精神医学のちょっとした難しさを反映させているということがあります。
遺伝性は高いことがわかっているがまだ原因遺伝子は特定できていない、ということがあります。

親族に統合失調症や発達障害も多かったりします。
双極性障害の原因遺伝子なのではないかと思って特定したら、実は統合失調症や自閉スペクトラム症、発達障害の人にも同じような遺伝子が多かったりして、なかなか精神疾患の原因遺伝子は特定がしにくいのです。

原因が同じであっても、発病するパターンが双極性障害、統合失調症、発達障害として違う発現をするのかもしれないし、原因がやはり全然違い複合的な原因で一つの病気が決まるのかもしれない。
やはり精神医学はとても難しく、まだまだ原因解明が現代の医学では難しいということのようです。
なかなか治療薬や治療法の開発が進んでいかないです。

双極性障害

双極性障害、躁うつ病と言われる通り、「躁」と「うつ」を繰り返すのがこの病気の特徴です。

躁状態というのはすごく元気な状態です。
とても元気で、エネルギーに溢れていて、多幸感がありそして怒りっぽかったりするという感じです。

これが1週間以上だったり、4日以上だったり長い期間起きます。
僕らだって楽しい時もあれば暗いときもありますが、気分の波があると言っても1週間ずっと元気な人はなかなかいません。
ずっと元気で寝なくてもいい、ハイな感じで動けることはなかなかないです。
それが双極性障害、躁うつ病という病気の病気たる所以なんです。
本当に1週間ずっと元気だったりします。

1週間以上ずっと元気な人もいて、僕が精神科病院で働いていたときには、元気すぎて、閉鎖病棟で個室に入るのですが、それでも元気だから一晩中歌を歌っている人もいて、朝になってもまだ歌っている。
当直の間、薬で寝かしてやれよとか、もっと薬をしっかり入れてあげようよという感じもしますが、そういうことが珍しくないくらいすごく元気になってしまう病気だったりします。

躁状態が1週間以上であれば双極性障害I型、4日以上1週間未満だったら基本的には双極性障害Ⅱ型と呼ばれます。

うつエピソード、落ち込んでいる期間も2週間以上と長い期間になります。
だいたいは躁エピソードが1~2ヶ月、3ヶ月とか続き、うつエピソードが3ヶ月~半年と続いたりします。
基本的には高いテンションがずっと続く、低いテンションがずっと続くという病気になったりします。
1日の中でアップダウンが激しかったりすると、境界性パーソナリティ障害、発達障害、ADHDを疑います。

発症

10代から20代で発症することが多いということがわかっています。
ただ、35%以上が発症から10年以上経って診断されると言われています。

40代~50代で双極性障害が初めて見つかるパターンも多く、うつ病かなと思って治療していたら、途中で躁状態になり、診断が双極性障害に変更されたというケースも全然珍しくありません。

躁エピソードも気付きにくいパターンというのもあるのです。
なんかちょっとよく喋るな、明るい人なのかなくらいだったりして、本当はこの人はうつが良くなったらこれくらい明るい人なのかなと思っていたら、実はそれが躁状態だったみたいなこともあったりするので、意外とわかりにくいというのが双極性障害の特徴です。

だから1人の主治医に長く診てもらわないといけないのです。
1年とか2年くらいの単位で診ていると、月1の受診でもやはり違和感というものに気付きます。

結構怖くて、自殺率が高いのです。
10%以上が自殺するをするんじゃないか、と言われています。
再発も多く、2年以内に50~60%以上が再発すると言われています。
薬がない場合、90%くらいが再発するのではという報告まであります。
結構多いんです。

治療

治療としては、最近はクエチアピンやルラシドンという抗精神病薬を最初に使うことが多いです。
あとは気分安定薬のリチウムやバルプロ酸、ラモトリギンなどを使ったりします。

リチウムウやバルプロ酸の場合は血中濃度を測る必要があるので採血をします。
リチウムだと手の震えや甲状腺機能の障害を起こす副作用があったり、ラモトリギンの場合は皮膚症状などの副作用が出たりしやすいので、注意深く治療しなければいけません。
クエチアピンだと、副作用としては糖尿病、眠気があったりします。
ルラシドンはアカシジアやムズムズが出ることがあります。吐き気もあります。
こういう薬を使ったりします。

合併症

合併症としては不安障害、強迫性障害、境界性パーソナリティ障害、摂食障害、ADHD(注意欠如多動症)などがあります。
鑑別でもありますが、同時に合併症でもあったりします。

境界性パーソナリティ障害かなと診断して治療していても、途中で双極性障害に気付き、境界性パーソナリティ障害+双極性障害に診断が変わることは珍しくないです。

疾病教育、暴力、自殺対策

治療の上で薬物治療も大事ですが、カウンセリング的なもの、疾病教育もとても重要です。
双極性障害というのはこういう病気なんだよ、ということを説明します。
遺伝性が高く、再発も多いので薬は必要なんだよ、という話をすることもとても重要です。

合併症があるように、家族問題が入り組んでいたりすることも多いです。
元の家族の中で、実は父親が双極性障害だった、母親が双極性障害でうつで寝込んでいて自分はヤングケアラーだったなど、複雑な生い立ちを辿っていることも多かったりするので難しいです。

躁状態のときに暴力を振るってしまったり、お金を使い過ぎたり、性的な行動をとり過ぎたりしますから、普段は絶対しないのにナンパをしてしまうとか、風俗に行ってしまうとか、そういうことも起こしてしまいます。
気が大きくなってしまうのです。
しっかりケアしてあげなければいけないし、逆にそういうことが起きないようにお金の管理をしっかりしておく、日頃から躁状態になったときにはこうできるように対策を取っておくことがとても重要だったりします。

あとは、自殺対策です。
自殺が多いので自殺が起きないように常に注意を払っておくことが重要です。
良くなるんだよ、この病気はアップダウンが多くて本人も苦しいので嫌になるかもしれないけれど、治療していけば治っていくんだよ、ということをきちんと伝えていくことはとても重要です。

双極性障害というのは薬物治療の難しさもあるのですが、病気のことをしっかり伝えて一緒に治療を続けていく信頼関係を作っていくという難しさ、重要性もあったりします。
難しい病気ですね、双極性障害は。
本当にそう思います。

今回は双極性障害についてざっくり解説しました。


2022.9.10

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