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ボランティアをして幸せになる。益田も精神科医になって、学んだこと。幸せになった。やりがい

00:00 OP
00:26 これからうつが増える?
02:53 ストレス対策
05:11 第3の居場所
07:21 なぜボランティア?
08:15 医師になって良かったこと
11:40 医師になって辛かったこと
13:40 自己効力感
15:16 第3のコミュニティ
17:02 どんなマインドでいる?

本日は「当事者会、ボランティアの行く先」というテーマでお話します。

これからうつが増える?

先ほどTwitterを見ていたら、他の人がいいねリツイートしたもので、成田悠輔さんのツイートが流れてきました。
今、日本人の平均年齢及び中央値は49歳ぐらいなのですが、これがどんどん後ろになっていって、すぐに55歳ぐらいに上がるだろうということを書かれていました。

日本は所得も下がっていきます。
国際競争力や国力が落ちていって経済力も落ちていく。貧しい国になっていく。
高齢者の国です。中央値は55歳ですから。
アフリカとか他の国のどこかでは55歳が平均寿命だったりしますから、かなりおじいちゃんの国です。
おじいちゃんの国になっていく中、国としての所得も下がっていき、自然災害もある国なので恐らくうつ病が増えるだろう、というようなことを言っていました。

僕もそう思います。
ではどうしたらいいのかということを成田さんも書いていたのですが、最低限の所得援助みたいなもの、相対的な貧困ではなく絶対的な貧困を減らすのと、健康対策、そしてコミュニティの形成、この3つを挙げていました。

確かに、今から少子化対策をガンガンする、結婚できる人をどんどん増やすということは現実的ではありません。
人口動態を変えるというのはすぐにできるものではないので、逆にすぐできないからこそ人口対策については未来予測は容易なのです。
そういうものはすぐできないので、逆にその3つをやったらいいんじゃないのと言ってました。

僕もそう思います。
じゃあ僕ができることは何かと言ったら、健康対策としての精神疾患の啓発及びコミュニティ形成です。

ストレス対策

健康寿命を延ばすとはどういうことかというと、バランスのいい食事を摂る、規則正しい生活をする、それももちろんそうなのですが、一番は皆さんがご存知の通り「ストレス対策」なのです。
人間の健康を一番損なうものは何かといったら、栄養不足というのもありますが、そういうものを除いたらストレスです。
ストレス対策が一番大事なのです。

ストレス対策とは、精神医学的な知識を知ること、そもそもストレスで病気になったものが精神疾患ですから、精神医学を学ぶことでストレス対策、病気の予防ができるわけです。
つまり、それはストレス対策ということなので、いいんじゃないかなと思います。

YouTubeを見てもらうということは、健康寿命を延ばすということでもありますし、ストレス対策になると思います。

そしてコミュニティ形成です。
コミュニティ形成も僕はオンライン自助会という形で実験的に始めています。

これからインターネットを使って仕事をすることが増えると思うのですが、そうすると在宅勤務が増えます。
在宅勤務が増えると、やはり職場でのコミュニケーションが減ります。
家庭と職場、そしてそこじゃない第3のコミュニティーが必要になってくる。
つまり、家に居場所がない人、家に居場所はあるけど一人の人、独身の人などは、家だと孤独は解消できません。
会社というのも、これから仕事をするだけの場所に変わっていきます。

昔は社員旅行や飲み会があったり、休日は皆でゴルフに行くとか、そういうコミュニティの場所でもあったんですが、それは変わっていくことはもうわかっています。
今さら皆さん職場の人と飲み会や社員旅行などは行きたくないと思います。
利害関係がある人、上司とリラックスして遊べないですよね。部下とも。

そういう風に変わっていくのは時代の流れですし、それが豊かさだと思います。
遊びの場所、趣味の場所としてのコミュニティ、第3の場所というのが必要になってくるし、それが孤独対策になると思います。

第3の居場所

ただ、この第3の居場所というものがどうなっていくのかというと、なかなか予想がつきません。
メタバースやゲームなど、色々言ってますがよくわかっていない。
でも僕はボランティアという組織は、第3のコミュニティの解決策の一つだと思っています。

10代、20代の子であれば、ボランティアをするというのは、つまらなさそうで「良い子ぶってんじゃねーよ」と思うかもしれません。
やはり50代、60代になったときに、自分でも想像しますが、独身だったり子どもが独立したりしたとき、何か趣味をして楽しいか、ゲームをして楽しいかというと、あんまり楽しくないんですよ、僕だったら。

美味しいものを食べに行く、そういうのも楽しいと思えなくて、それよりも何か人のためになることをちょっとでもやりたいな、という風に思うと思います。
それは1週間とか1ヶ月のうちの半日でもいいと思います。
でも人のために何かしたいなと思うことが多いと思うんです。

僕は第3のコミュニティというのは、複数のコミュニティに属するようになるんじゃないかな、と思っています。

例えば、ゴルフのサークル、囲碁のサークル、何でもいいんですが、将棋のサークル、スプラトゥーンのサークル、そしてあともう一個ボランティアのサークル、とあれば心は豊かになると思いますし、幸せな気持ちになれるんじゃないかなと思っています。

ですから僕は今、これを実験的に始めてみました。
今年、2022年の3月24日から始めたのですが、これを運営しながら、サイズが小さいうちにノウハウをためていって、しかるべき時のために備えているという感じなのです。

なぜボランティア?

どうしてボランティアがいいのか、ボランティアというのは人の心を癒してくれるのか、人のために何かをすることがいいのかというと、僕自身がやはり精神科医として働くようになって、すごく満たされたからなのです。

精神科医として働くようになって、身体はキツいし、忙しいですよ。腰も痛いです。
だけど心はすごく満たされているのです。

これは綺麗事でも全然なくて、益田が偉そうなことを言うなと思うかもしれないし、綺麗事ばっか言うなと思うかもしれないけれども、本当にそうなのです。

僕は精神科医として働くようになって、結局やはり幸せです。
もちろんプレッシャーもあるし、苦しいのですが、幸せに働けるようになっている。
これを皆さんにも知ってもらいたいなと思い、今日は動画を撮ります。

医師になって良かったこと

精神科医になって良かったことは何かというと、責任感が芽生えたことです。
精神科医になってからというか、医師になってからです。
主治医として働くようになって、責任感をもらえました。

自衛隊で学生の時、何なんだよという反発心、何で上の人の言うことを聞かなきゃいけないんだよ、もっと自分で楽しくやらせてくれよ、何でこんな訓練を受けなきゃいけないんだよと思っていました。
大学生は夏休み長いのに何で俺らは短いんだよ、と思っていましたが、医師となって働く中で、責任感がすごく芽生えました。

これまでの教育や訓練は必要だったんだろうな、と反発する気持ちも含め、あれは必要だったんだなという風に思って、そして思えば思うほど責任感も芽生えました。

責任感というのは決して不幸なものではなくて、幸福なのです。
自分の居場所や安全を与えてくれるものです。

責任感を感じるということは、頼られているということでもあるので、頼られているということは自分に居場所があるということです。
居場所があるということは安全だ、ということなのです。

そして僕は誰かに愛されているんだということがよくわかってきた。
そしてやりがいも感じました。

僕は医師として働く前は、たった一人の誰かのために働くなんて何かやりがいがないな、と思っていました。本当にそう思っていました。
学生の時、高校生の時はそう思っていました。
もっと世の中を動かすような大きなことがやりたいと思っていました。

だけどそれは途中から変わってきて、たった一人のために何かをするということは、とてもやりがいがあることなんじゃないか。
大きい組織を動かすとか、大きいお金を動かすとかではなくて、目の前の人の心の何かを少しでも動かすことの方にこそ価値があるとは言わないけれど、そこに対するやりがいはすごく感じるようになり、実際、医師として働く中ですごく感じました。

すごく大きな場所、大きな建物、地位がある場所、きれいな建物で働くこと、尊敬されることだけがやりがいでは全然なくて、やはりどんな場所であっても、誰かのために何かできるということはすごくやりがいを感じます。

そして、やはり臨床というのは面白いんです。
日々の発見や学びがあるのが面白いです。

あとは幸運です。
僕らは恵まれているなと思いました。
働きながら思いました。

看護師さんたちと働く中で、僕が医師であること、医師国家試験に受かること。ひいては受験に受かること、国家試験に受かること。猛勉強の末と言いつつも、決してそうではなくて、ある程度才能というかそういうものに恵まれていたということ、それはすごく感じました。
恵まれているなと思いました。

そもそも頭とかではなくて、単純に健康であるということが恵まれていますから。
本当に思います。
健康であることは本当に恵まれています。
幸運だなと思います。

医師になって辛かったこと

医師になってすごくつらかったことは責任とプレッシャーです。
プレッシャーを感じるようになって、すごく苦しいことを学びました。
ネガティブなことを学びました、ここら辺は。

逆に、幸運があって才能があって、でも無責任な人たちに対する怒りややるせなさも感じるようになりました。
その無責任さが世の中を動かすこともあるので、一概にそれがそのまま悪いとは思わないのですが、でもそういう風に感じてしまうことも結構あります。

命や不運というもの、死というものを知りました。
そこの切実さや悲しさ。
たった1回しか人生がないのに僕らは恵まれている側にいて、でも決して恵まれている側にいなかった人たちがいる、というのも事実。
そこの不運というものの寂しさというか、哀しさというか、切なさがすごくよくわかって、だからこそ自分たちはしっかり働かなきゃいけないということがわかったり。

そして多様性です。
人間はすごく多様だし、お前は上から目線で言うなと思うと思います。
そうではなくて多様性というのもあって、自分たちが恵まれてると思っていたら意外とそうではなく、弱い人と思っていた人たち、不運だと思っていた人たちの中に原石や色々なものがあって、素晴らしいところがある。
そこの多様性の美しさというか、素晴らしさと、一方で諦観、どうしようもなさ、弱さというもの、不運の連続や社会の構造から生み出される弾かれる感じ、スケープゴートの感じもすごく理解したかなと思います。

自己効力感

病院というのは組織ではありません。
医師というのは組織で働く人間たちではなく、一人一人が職人であり、一人一人が主治医というように、一人一人がスペシャリストというか、一人一人が会社みたいなものなのです。

もちろん外科のようにチームで働くところもあるし、僕だって精神科医で一人で外来しているように見えて、チーム制でやっているわけです。
でもやはり大きな組織ではありません。
そういうところで働けるというのはやはり幸せで、そういう形で働けるというのは幸せなのです。

会社や組織で働くと大きなことはできるし、やりがいもある一方で、自分が何をやっているのかよくわからないという現象に陥りがちです。
ただ、僕らの場合は一人でやっていることが多いですし、最初から最後まで診ることが多いので、自己効力感というのはすごく感じることができます。

医師として働く中で、僕は10年ちょっと働いていますが、横で病院のことや医学のことを見ていると本当に進化しました。
全然違います。進歩してます。
こういう進歩というものがわかる業界にいられることも幸せだなと思います。

あとは皆で協力して命が救われる瞬間などはチームの一体感や、自分がグループで動けるときの、自我の消滅、そういう感覚はとても気持ちがいいし、満たされますしいいなと思います。

第3のコミュニティ

僕は医師になってすごく幸せだなと思いますが、今の社会人の方はやりがいを見つけにくかったり、自己効力感は感じにくいかもしれません。
大きい会社にいると、なかなかわからない感じもあるのではないかと思います。

僕もわかります。
自衛官としてサラリーマン的な仕事もしていましたから、何の役に立つのかよくわからないし、そういうのもわかります。
もちろん色々な会社があるのでそれだけだとは思いませんが、ただ会社の中でそういうものを得ることを困難に感じている人たちも多いと思います。

これからもどういうふうに時代が変わっていくのか、会社や経済のあり方はどう変わるか、僕なんかには想像つかないのですが、会社だけでは達成することは難しいと思うので、やはり最初に言った通り、第3のコミュニティというのが大事かなと思います。

第3のコミュニティは今ももう作られているけれど、やはりゲームやSNSのコミュニティに比べたら、自助会というのは魅力がないようで勢いが弱いです。

これはどういう風にやればいいのか、どういう風に変えていけば第3の居場所として機能するのかは今も考えているという感じです。
どうすれば魅力的になるのかというのはよく考えています。

でもまあ、何とかなるんじゃないかなと思います。
だって僕のYouTubeチャンネルも結構見られてますから。
不思議です。
この分野でこれだけ人を集められるということは、他の人には想像ができなかったし、テレビマンにはわからなかったことなのです。
でも実際は集まっているわけで、じゃあどういうことなんだろう、ということは考えつつという感じです。

どんなマインドでいる?

どんなマインドでいればストレスを感じないか、そういう話を最後にしようかなと思います。

どういうマインドでいれば楽なのか、孤独を感じないのかというと、「内的対象がある」ということです。
つまり、心の中に誰かがいるということです。

話しかけなくても遠くにいても、心の中には誰かがいる。

大切な誰かというのはもうすでに失ってしまった人、亡くなってしまった人、別れてしまった人かもしれないけれど、心の中に誰かがいるということが素晴らしいし、心の平和や安定、幸運を生み出します。

と言いつつ、そういう観念的な話ではなくて、信頼できる人とコミュニケーションを取れることが良いのです。
落ち込んだときには、誰かとコミュニケーションを取るのがいいと思います。

他にも、心身のバランスを整える、規則正しい生活をする、そういうことですね。
あとは精神医学を身につけるということもあるのですが、それと並ぶかそれ以上に信頼できる人とコミュニケーションができる環境を作っておく、作り続ける努力をするということはとても重要だったりします。

今の人たちの問題は、「一人でできてしまうこと」なのです。
ストレス対策はどうしたら良いですか、自分一人でできるやり方はありませんか、とよく聞かれるのですが、それがダメなのです。
一人でやれることを探そうとしているマインドはダメなのです。

一人でやれるとやはりこれが問題で、一人でやれてしまうというのが現代の問題だと僕は思っています。

結婚しないと生活できなかった、誰かと一緒に協力しないと食事もとれなかった、そういう協力しなければいけないという必然性がある。ある種の貧しさがある部分ではよかったのかもしれない。

でも僕らはもう元には戻れないので、一人でいなくてもいい、一人でいてもいいんだけど協力できる人とコミュニケーションを取るという次のフェーズに移るのがいいんじゃないかなと思います。

僕らも例えばYouTubeも一人でやってると苦しくなってしまう、自分のチームだけではちょっと苦しくなるので、YouTuberの会という形で緩やかなつながりを作ったりしていますから。
ご参考になればなと思います。

今回は、当事者会やボランティアの意義、自分が精神科医として働くようになってよかったので、誰かのために働くというのは結構いいんだよということをお話ししました。


2022.9.26

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