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陸上自衛隊の性的問題に関する報道について。密室的組織 多様性の育成 インクルージョン教育

00:00 OP
01:29 自衛隊の問題
03:50 多様性は非効率でもある
06:06 多様性は心の健康のためには必要
08:05 透明性、風通し

本日は「陸自の性的な問題」というテーマから、辞めにくい組織のつくり方をテーマにお話しします。
インクルージョン教育のことも含めてお話しします。

陸自の性的な問題が最近ニュースになっています。
自衛隊のある駐屯地で女性に対する性的な嫌がらせ、セクハラがあったという事件です。
詳細はここでは語らないんですが、調べてもらうと結構出てくると思います。

陸自の幕僚長が謝罪されたということまでニュースになっていました。
このことについてはコメント欄の方で、益田先生どう思ってますか、どうだったんですか、解説してくださいなどいろいろ来ていました。
どういう風に説明したらいいかわからなかったので、時間を置かせてもらいました。

自衛隊の問題

自衛隊の問題は何かというと、外部の交流が少ないということと、交流が少ないが故に独自文化が醸成されているということだったりします。

防衛医大もそうなんですが、ちょっと変わっているんです。
変わってるんですよ。
良い部分もあれば、悪い部分もある。

悪い部分としては悪い風習が残りやすかったりするし、いじめとかパワハラというか、変なヒエラルキーが残りやすかったりします。
良い部分もあるとは思うんですが、悪い部分は目立ちます。
外部との交流が少ないので密室感があって修正されにくかったりします。
悪いものは悪いまま残るし、良いものも残り続けたりするという感じです。

外部との交流が少ないと、やはり多様性は損なわれます。入れ替わりがないから。
対策としては密室化しない、風通しを良くする、多様性を認める、育成する、ということが大事なんだろうなと思います。

自衛隊という組織の特性上、色々な人を入れにくいです。
外部との交流をさせにくいですし。
今でこそ違いますが、そもそも軍隊というのは多様性というものを認めるものではないんです。

第一次世界大戦もそうですが、皆が同じことができる均一な組織は強かったりするんです。
なぜかというと、多様性があって、その人しかできないという属人性があった場合、そこがやられてしまったら、その人が死んでしまったら、ケガとかでいなくなってしまった場合、組織全体が機能しなくなるので、金太郎飴みたいなものが本当は望ましいんです。替えがきくので。

そういうことなんですが、多様性はそうは言っても大事だよ、ということになります。
バランスなんですが、なかなかバランスというのが作りにくかったりします。

多様性は非効率でもある

一般的に多様性があるのはいいのかというと、それはそれで、多様性がある学校や多様性のある教室というのはのはいい部分もある一方で、非効率だったりします。

皆が同じレベルだったら、勉強を教えるにしても、テストで良い点を取らせるにしてもやりやすいんです、皆のレベルが一緒だから。
逆に色々なレベルの子が混じっていると、どこに焦点を当てて勉強していったらいいかわからないので、テストの点を上げるという意味では効率が悪かったりします。

病院もそうなんです。
色々な疾患を見られる病院はコスパが悪いんです。
だけどこの病気しか診ないというところは、効率的にやれるのでコスパが良かったりします。

高齢化社会で高齢者が住む場所を一ヶ所に集めてしまえ、認知症の人を一ヶ所に集めてしまえ、地域で見るんじゃなくて一ヶ所で、駅前の高層ビルを一棟買いして、そこに病院から患者さんから給食センターまで全部一緒にまとめちゃって、お風呂も一緒につけたら効率的だろう、ということになるんです。

でもそうすると今度は多様性の問題もあるし、差別の問題もあるだろうし、そして独自の文化が醸成されたりします。
そういう施設の中での虐待の問題も生まれるかもしれないし、色々な問題があったりします。

あとは専門性です。
一ヶ所に集めた方が専門性を高めやすかったりします。

いやいや、多様性があった方がいい研究ができるだろう、と言うかもしれないですけど、そういう部分もあるんですが、実際はやはり多様性がない方が、同じようなレベルの人が集まり同じような前提知識でディスカッションした方が、専門性を高めて行ったり良いものができたりします。
ここもバランスだったりします。

多様性は心の健康のためには必要

ただ、精神疾患、精神科のこと、心の問題で言うと、密室化せず多様性があった方が心というのは安定していきます。
心の健康ということだけを言えば、そういうことになります。
自衛隊だけの問題ではなく、同じような会社というのはあると思いますし、同じような家族というのはあります。

家族の中ですごく密室化している。
お父さんも友達が少ない、お母さんも友達が少ない、子どもたちも友達が少ないとなって、そういう密室的な場所になると、やはり独自文化が醸成されて、うつになったり、引きこもりになったりしやすかったりします。

特殊学校というのは良いのかというと、障害者が分離されているのでやはり差別や偏見を生みやすかったりします。
一方で、特殊学級にすることで効率的にやれるし、その子たちに合った教育をすることができるので良かったりします。

教員が少ないので特殊学級にしているという要素もあるし、その子たちを守る、トラブルを少なくさせるという意味でも良かったりします。
ただ一方で、多様性を認めないということなので、差別とか偏見の要素を高めてしまうという要素もあります。

あと、自助会や宗教的なものです。
僕もオンライン自助会をやっていますが、やはり密室的だと効率的ではあるんです。
集めやすかったり、ビジネスにしやすかったり、専門的な要素を高めやすかったりします。

ですがそうするとやはり独自の文化が醸成されて多様性も生まれないし、いじめが起きたり、トラブルが起きたりしやすいので、ここも兼ね合いかな、と思います。

透明性、風通し

やはり両立するのはとても難しいんです。
ただ、両立をさせ得る一つの解決策としては、透明性を保つ、説明ができるものにする。
説明ができないということは独自の文化だということになるので、説明ができるもので構成できるように気をつける、そして風通しをよくするというのもとても重要なのかなと思います。

こういう場所というのは働きやすいんです。
多様性があるということなので、多様性がある場所には挑戦しやすい雰囲気があります。

逆に多様性がなくて均一的な場所では挑戦はしにくいです。
出る杭は打たれてしまいますから、失敗することを恐れます。

そして、多様性があるということは辞めにくいんです。
均質な場所ということは、常に横を見て、自分は出過ぎてないか、劣ってないかを見比べている場所なので、安全じゃないんです。
ストレスがたまりやすいんです。

そういう場所はやはりいたくないですよね。
もっと安全な場所へ行きたいですよ、ストレスがたまりにくい場所。

多様性がある場所、色々な人がいる場所、というのは辞めにくい。
安全だからそこにいたいなと思いやすいので、職場も辞めにくいと思います。

多様性というものは、やはりすごく重要な要素です。
ただ、多様性というのは良いことばかりじゃなくて、効率が悪かったり、コスパが悪かったり、専門性を高めるにはあまり適していなかったりすることもあります。

やはりここのバランスというのはとても重要で、こういう特性のことをしっかり理解した上で、色々な組織を作っていくということがとても重要なんじゃないかなと思っております。


2022.10.18

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