本日は、「あきらめ易い人があきらめにくくなる方法」というテーマでお話しします。
精神科の患者さんはあきらめ易い人が多いです。
それはやはり心身の状態が悪いというのもあるし、傷付いているからというのもあるし、傷付いてきたからでもあるんです。
頑張れない、あきらめてしまうというのは、本人の甘えではなくなるべくしてなっているということが多かったりします。
それが負のサイクルを生んで、より自尊心を失ってしまったり、成功体験を失わせてしまうことになります。
あきらめにくくなるにはどうしたらいいんだろう、患者さんが治療を途中でやめずに最後まで食らいついてもらうにはどうしたらいいんだろう、ということは僕ら臨床家は日々考えているし、できるだけ食らいついてもらって良くなってもらいたいなと思ってるんです。
じゃあどうしたらいいんだろう、ということではあるんです。
それを今回はちょっと話そうかなと思います。
コンテンツ
あきらめにくくなるために
YouTubeを毎日撮っているのはなぜかというと、見てもらいたいからです。
患者さんに見てもらいたい。
それはなぜかというと、治ってもらいたいからなんです。
イチローのバットの1ミリ、イチローといっても今の若い人は知らないかもしれないですけど、すごいスポーツ選手です。
すごいスポーツ選手が最後のバット1ミリの厚さにこだわるように、治療というのはなかなか上手く行かないんです。
YouTubeを用いることで、ちょっとしたところがグッと伸びるのであれば頑張りたいなと思ってやっているわけです。
・習慣化
YouTubeを毎日なぜするかということですが、習慣化してもらうためなんです。
患者さんが調子が悪くなってから良くなるまでの期間、平均的な期間は半年前後なのかなと思っています。
もっと長い人ももちろんいるんだけれども、半年ぐらいでYouTubeを見る層は入れ替わってたりしています。
それはデータを見たらわかるんですが、半年も経たずに入れ替わったりもします。
半年間はやはり苦しいし悩んでいるので、その期間の人たちにしっかりコミットできるように、毎日出している。
その半年間というのはとても苦しいから、毎日見たいんです。習慣にしたいんです。
なので毎日やっている、と。
とにかく習慣化する。
習慣化することであきらめにくくなるし、続け易くなります。
そういう感じでYouTubeをやっているという感じです。
話がちょっと斜め上の方に行きすぎましたけど、習慣化をすることによってあきらめにくくなりますよ、ということです。
・結果<過程
結果を追いかけるのではなくて、過程を大事にするということはとても重要です。
これを手に入れたいからやる、お金のためにやる、地位のためにやるというと、どうしても頑張れないですよ。
お金なんてそんなにいらないですから、頑張れないんです。
ある程度あれば満足しちゃって、頑張れなくなる。あきらめてしまうんですけれども、やはり過程を楽しんだり、過程を大事にするということが、あきらめにくくなる方法だと言われてます。
子育てにおいても「良い点取れたね」じゃなくて「頑張ったね」。
「こんなにできるようになったじゃない」じゃなくて「ここまで頑張ったね」。
そういうことを言ってあげる、過程を褒めてあげるというのが良いと言われてます。
僕もそう思います。
患者さんがどれだけ良くなった、良くなってどれだけ稼げるようになった、そういうんじゃないと思うんです。
そういうのは臨床家としてはそんなに興味はなくて、患者さんがどれだけ病気になる前に優秀だった、地位の高い人だった、年収が高かった、良くなってからどれだけ高くなった、そんなのはあまり関係なくて、やはり治療の中でもがいてる様や治療の中で自分に向き合って色々なことを考えている様がやはり素晴らしいと思うし、尊敬するなと思っています。
・目標をはっきりさせる
目標をはっきりさせる、ということです。
目標はできるだけはっきりさせる。
何のためにやっているのか、具体的にやる。
どれくらい具体的かというと、言葉じゃないんです。
究極的な目標は何かというと、「人間」なんです。
人間は人間以上に具体的なものは想像できないようにできています。
言葉や概念ではなくて、人間です。
あの人みたいになりたい、あの人みたいになるんだ、あの人が同じ時代に生きてたら、どのような行動をするんだろう、ということを降ろして頑張る、ということが重要です。
・中長期的に考える、軸を持つ
あとは中長期的に考えていく。
自分の中の軸をしっかり持つということがあきらめにくくなる特徴です。
逆に言ったら、刹那的だったり、瞬間瞬間を生きてたり、回避的、自分というものの過去のストーリー、未来のストーリーを一貫して考えられなかったり、回避してしまうとやはり頑張れない。
「過去は過去、今から頑張ろう」とするとあまり上手く行かないんです。
過去ああいうこともあって、こういう失敗もあったけど、これから頑張っていこう、というのがあきらめにくいことです。
・自分を愛する、成功体験
あとは自分を大事にする、成功体験を持つ、ということになります。
病気の人や色々な悲しい過去、虐待経験があったりすると、自分を愛するということが難しかったり、成功体験を積めなかったりします。
だからここは苦しいポイントだなと思います。
・ゲーム化する
あとはゲーム化するということです。
ゲームって結構続けてしまえるじゃないですか?
なぜゲームが面白くて続けられるのかというのは、よくわかっていないこともたくさんあります、科学的にも。
だけどゲームに似せていくと、報酬系が刺激されるなど色々なことがわかっているので、できるだけ今やっていることをゲームのように変えていく、ゲーム性を取り入れていくというのはとても重要です。
英語の単語10個覚えたらレベル1アップと自分の中で決める。
ご褒美としてプリンを食べられる、何でもいいんですけど、そういうのは重要だったりします。
脳内で起きていること
いつも通り患者さんの脳内を考えてみます。
現実と脳内にズレがあったときに、あきらめるか我慢するかということをいつも考えてしまうんです。
あきらめてやめてしまうのか、それともまだ我慢するのか、ということなんです。
我慢を続けていれば、どこかで爆発してしまうわけです。
もうあきらめちゃう、ということになります。
もしくは、バーンアウトという形でうつになっちゃう、ということになるわけです。
そうすると成功体験が積めなくて、やはり不安になってしまって、またあきらめるのか我慢なのか、ということになっちゃうんです。
あきらめる、我慢して続けなきゃいけないんだとかではなくて、やりたいことをやる、楽しんでやる、ということはとても重要です。
ただ、じゃあ自分がやりたいことをやろうと言って、現実を脳内に寄せていく、自分に寄せていこうとすると失敗してしまう。
それはいつも僕が言ってる通りです。
なので現実に合わせにいく。
自分から現実にそぐわせていく、現実の方に近付いていくことが大事です。
求められていることをする
現実に近付くとは何かというと、とにかく求められていることをする、ということです。
求められていることをする。
求められていること、かつ、得意なことをする。
求められていて、かつ、自分が得意なこと(現実に合わせて)、かつ、自分のやりたいことをやるのがいいんじゃないかなと思います。
この3つが合わさっているところがいい。
3つが合わさってないんだったら、上の2つ(求められていること、得意なこと)、上の2つよりも上の1つ(求められていること)が大事です。
求められていることというのは、だいたいブルーオーシャンで、やりたいことというのはレッドオーシャンだったりするので、求められていることをやるのがいいと思います。
求められていることをやり続けていれば、そのうち年長者になります。
年長者になったら、それなりの人になるわけです。
それはよく思います。
医者になった当初はみんながライバルだし、みんながドングリの背比べみたいところもあるし、抜きん出なきゃと思うわけです。
だけど医者はそんなに数もいないし、一個のことを続けていたらそれなりの専門家になるんです、医者の世界って。
だから続けるということが大事だなと僕は最初の方に気付いて、焦らずやろうと思っているわけです。まあそういうものです。
YouTubeだって結局3年、4年目になりますけど、まあもうずいぶん長くやってる感じです。
始めのときなんて、今から始めても遅いと言われていましたけど、続けていれば年長側に回るということだなと思います。
あとはよく言うのは、求められていることをやりすぎて奉仕に回っちゃう、ということもあるかなと思います。
患者さんで奉仕側になってしまう。
他人に合わせすぎて、自分の軸を見失って、相手に全部合わせてしまうということもあるんです。
そういう場合はどうなんですか、と言われそうですけど、それは色々な見方がありますから、それはそれって感じです。
やはり相手に合わせるのではなくて、自分の軸を持つ、自分を愛するということを優先させてもらったらいいんじゃないかな、と思います。
とにかくこれを守れば良いと思うのではなく、総合的にやっていくことが重要です。
あきらめにくい体を作るにはどうしたら良いのかというと、一つの要素で決まるわけじゃないんです。
色々な要素が組み合わさって、それが高いレベルで維持できるとあきらめにくい体ができていくわけなので、一個を目指せばいいわけではなく全体的に高いレベルに持っていけるように、一つだけ高いものに持っていくのではなくて、全体的に高く持っていけるように意識してもらうといいんじゃないかなと思います。
今回は、あきらめ易い人があきらめにくくなる方法、というテーマでお話ししました。
前向きになる考え方
2022.11.29