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働けない現実は誰のせいなのか? 対策は?

00:00 OP
02:34 うつ病は増えていく?
04:06 日本の社会的な問題

本日は「働けない現実」というテーマでお話しします。

皆さんが良くなればいいなと思いながら臨床しているんですけど、働けない人が出てきます。
そういう時に障害受容をどう考えたらいいのか、ということはよく聞かれます。

ただ、働けない現実というのは本人の問題というか、周りの人も本人が甘えているのか、本人のせいじゃないか、という風に考えがちなんですけれども、どちらかというと、働けない現実はもはやそれは本人の努力でどうにかなる問題じゃなく、社会的な問題の方が大きかったりします。

我々個人の努力なんて、現実や社会に比べたらはるかにちっぽけですから。
社会変動の大きさに比べたら、我々の努力なんて本当に微々たるものなので、個人でそんな大きく変えられないんです。

働けない現実があったときに、診察室の中ではその患者さんが本当に働けないかどうか、僕らはそこまで見抜けないんです。
どちらかというと、まだできそうかな、上手くできそうな気もするな、と思いがちなんです。

診察室の中でのコミュニケーションや相手に対する好意もあるから、そんなにダメな人じゃないだろうと僕らは思ってしまいがちなんですけど、ダメな人ではないです働けない人は。ダメな人ではないんですけど。

もっとやれるんじゃないかなと思いがちですけど、でも案外今の世の中は頭脳労働社会ですし、向き不向きも結構出ますし、パソコンを上手く使えば、人の2倍、3倍働けてしまったりもします。
そういう世の中だと逆に他の人より全然働けない人たち、1/2、1/3という人もいるのでまあそうなのかな、とは思います。

その場合は、障害年金とか生活保護をとることもお勧めしたりしています。
働けない現実というものを考えるときに、個人の努力ではないんだ、という話を今回したいと思うんです。
そういう視点があることで、もうちょっと自分のことを受け入れやすくなると思います。

うつ病は増えていく?

例えばうつ病に関して言うと、アメリカは1年のうち有病率は10%ぐらいなんです。

アメリカ人の1割ぐらいはうつ病だということなんです、これはUpToDateから持ってきたんですけど。
生涯でうつ病体験を経験する人たちが21%と言ったりします。
メッチャいますよね?
これを見たときにウゲッと思いました。

日本は2.2%の人がうつ状態、うつ病の状態であるということです。一生のうちにうつ病を経験する人は全体の8%だと言われています。
アメリカの半分ぐらい、半分以下ですよね、日本というのは。
ただ日本はどんどんアメリカ化していくのでどうやら増えそうです。

このデータから見れば明らかで、アメリカのことをみんな好きですけど、本当にいいのかと。ああいう社会が本当に人々の幸せを生んでいるのかというと、うーん本当なんだろうかという気がします。
良い面ばかりを見ていて、悪い面を見ていないというか、そんな気がします。

現実はアメリカのようなもの、資本主義の最先端のアメリカに近づいて行っているし、色々なものがアメリカ化していく運命にあります。
それは日本だけじゃなくて世界中そうなんですけれども。

日本の社会的な問題

では日本の場合、どういう問題があるのかというと、社会的な問題でいうと、最近思うのはこの4つです。

少子高齢化している、グローバル化が進んでいるということで、日本の貧困化や格差が生まれているということです。
高齢者が増えるということは、医療費が増えたり、働けない人が増えるということです。生活保護の人が増えるよりもはるかに老人1人増える方が負担が大きいです。
そういうことが起きているということです。

そしてグローバル化の問題があります。
貧しい国は豊かな国に、豊かだった国は平均に近づいていくので、相対的に日本というのは豊かな国でしたから、平均に近づいている。
だから日本は貧困化しているということがあるし、それに伴い資本主義の方は活発化しているので、格差が大きくなっている。
アメリカに近づいているというのがあります。

その時点で頑張ってもそんなに稼げなくなっちゃっているんです。
終身雇用制も崩れているし、頑張っても給料が増えないことがわかっている。
確かになかなか本人の努力でどうしようもないというか、働いても給料は上がらないじゃないかというのが一人だけの話じゃなくて、周りの人もそういうルールというかそういう思いでやってると、やっぱり苦しいです。
相対的な弱者が意地悪されやすいというのがあります。

それから、ITとかAIの進化によってマルチタスクができるようになってしまった。
スピードも速く仕事ができるようになったので、それに適応できる人は上手く働けるけれども、適応できない人は他の人よりも仕事ができなくなってしまっているというのがあるかなと思います。

そういうのができない、ついていけてない人たちは、自分はマルチタスクができないし、仕事の処理速度が遅いから発達障害じゃないか、境界知能じゃないかということで精神科を受診することが増えています。

あとはSNSやコロナの影響で、自分の知りたい情報だけが手に入るということになってしまって、社会全体が分断を生んでいるというのは事実だし、分断を生む結果、不寛容になっている、他者に対して寛容さが減ってるというのはあるなと思います。

潔癖なんです。
他人の失敗を許せないというか、他人に迷惑かけちゃいけないという思いの人が、若い人を中心にすごく増えてるなという気がします、不寛容というか。
全体的に不寛容な社会に変わりつつあるなと思います。

なぜ不寛容かというと、多様性を知らないからです。
多様性の重要性を経験してない。
断絶された社会の中にいればどんどん均一なものになっていきますから、そうすると自分と違うものに対しての寛容さは失われてしまいます。
だから働きにくい。

あとは家族観や仕事観の変化です。
急激に世の中の仕組みが変わってきているので、家族観もすごく変化しているし、仕事に対する考え方、転職の考え方もすごく変化してます。
同じ年齢の人と喋っていても全然違うなと思います。業界によっても違うし、世代ギャップもすごく大きいなと思います。

患者さんごとにそこの世界観のすり合わせがすごく難しくなっているというのが、僕は臨床をやっていて思っています。

こういう風に考えたらいいんだよ、こういう風に今変わってるんだよ、ということを伝えても、これがスッと受け入れられる人と、かたくなで柔軟さがない人もいます。
それはうつだから、調子が悪いから硬くなっている、というよりは、もともとの素質というか性格というか、気質の問題もあるだろうなと思います。

こういう社会全体の中できちんとしたリーダーシップというか、上司が上司の仕事を果たせてないというのもあるなと思います。
上司が全部できるかというとできないんですけど、「それってあなたの仕事じゃなくて、上司の仕事だったんじゃないの?」というケースは結構多いです。
だから自分を責める必要はないんじゃないの、ということは多かったりします。

とにかく働けない現実、そういうものを目の前にしたときに、みんなは働けるのに自分はなぜ働けないんだって思うと思うんです。

2.2%という数字がこれから3.2%~4%になると思いますけど、1%増えても周りの人の変化はあまり実感できなかったりするので、自分だけが悪いという風に感じがちです。

小さい変化ってわからないんです、じわじわと増えていくと。
消費税が増えていっても、何かよく分からないじゃないですか。
急激にガツーンと来た感じはしないですよね?

じわじわと働けない人が増えていく世の中になってますから、そういうことを知りつつ、上手くやっていってもらうというのが大事かな、と思います。
とにかく責めない、自分を責めるんじゃなくて、こういう変化が社会で起きているんだなと思うことが重要です。

周りの家族もそういう視点をどこかに置いていないと、本人に頑張れ頑張れと言うだけだと潰れちゃいますから、そういうことを考えてもらいたいなと思います。

あとはリーダーの人はこういう現実があるということを知ってもらって、やはり精神医学的な知識を持ちつつ、チームビルディングをやっていただけたらなと思っています。

ということで今回は、働けない現実というテーマでお話しました。


2022.12.18

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