東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

精神科医目線で語る。親が子供に接する方法

00:00 OP
01:01 家族の密室化
02:47 社交不安障害、回避性パーソナリティ障害
03:11 神経発達性(発達障害)
05:10 どんな対応をする?
07:12 親が学んだ方が良いこと
09:32 親はそれでも言わねばならない

本日は、親は子供にどう接すればいいのか、親子関係において親は子供にどう対応したらいいのか、というテーマでお話しします。

結構壮大なテーマです。
壮大なテーマなので説明するのはすごく難しいです。

この時間ですべて説明できるとは思えませんし、そもそも僕は児童精神科医ではないのでバチッとしゃべれることは多くはないんです。
とは言っても、高校生以上は診察していますし、一般論として知っていることもたくさんありますから、そういうお話をしていくことができたらなと思います。

家族の密室化

よく言われることですが、今は家族が密室化しているんです。
コロナをきっかけに密室化が加速化したんです。
密室化とはどういうことかというと、「子供を親だけで育てている」ということです。

逆は何かというと、「社会が子供を育てる」ということです。
近所のおじさんが子供を叱ったり、学校の先生が子供を叱ってくれたりするんですけれども、今はなかなかそういうことをしてもらえない・されにくい世の中になっていて、子供を家庭の中で育てなければいけない、密室的になってしまっているんです。

一億総中流階級だった時代は終わって家族が多種多様になっていくし、家族ごとに格差が出てきてしまって、お母さん同士、お父さん同士、親同士がなかなか相談しにくくなっているという現状もあります。

気軽に相談できないんです。
うちの子こんなことで困ったな、言うことを聞いてくれないな、宿題やってくれないな、誰々さん家のお母さんに言ってみようかな、いやでも誰々ちゃんちのお母さんは夫婦仲悪いからな、いやあそこはお金持ちだけどああだな、あそこはあんな問題あるしな、まあ、色々あって相談しにくいんです。

うちのことをわかってくれないしな、「みんな一緒よ」という言葉で一蹴されてしまって話を聞いてくれないしな、とかあって相談しにくいというのがあります。

社交不安障害、回避性パーソナリティ障害

あとは子供の問題としてよくあるのが、社交不安障害です。子供なんだけれど社交不安障害というとちょっと奇妙な感じはするかもしれないですけど。
あと回避性パーソナリティー障害で人の目が気になる、すごく不安を感じやすい子供たちということです。
そういう子たちがひきこもってしまう、すごく敏感に反応しちゃう、というのもあります。

神経発達性(発達障害)

あとは定番ですね、ASD、ADHD、LD、いわゆる神経発達症、耳慣れた言葉でいうと発達障害という問題があったりするということです。

子供もみんな同じではなくてそれぞれ違うので、じゃあそういう子供たちだった場合どうすればいいのかということなんです。
そういう疾患がある、生まれながらにそういう特徴がある子の場合、どういう対応が大事なのか、どういうことが適切な治療なのか、ということが問題にあがってくるのかなと思います。

実際、児童の精神科に行ってもなかなかドクターとしゃべる時間がない、子供がそもそも受診に来てくれないなどがあり、薬をもらうだけみたいな家も多いんじゃないかなと思います。

どうしたらいいんだろうということですけども結構多種多様なんです、千差万別というか。
どうしたらいいですか、と言われても、そもそもこのタイトルにもあるんですけど、そもそも相談に答えにくい、というのがあります。
なぜかというとみんな違うからなんです。

自助会内で家族会もやっているので、色々聞いてもらえると教えること、伝えることもできます。
同じような親の方もいらっしゃるし、そこは匿名で自由に意見を交わすこともできるので、ご利用いただいたらなと思います。

でも絶対的な正解というのはないので、難しいと言えば難しいし、答えにくいと言えば答えにくいし、そんな感じです。
こういうことが今のトピックかなという気がします。

どんな対応をする?

対応とはどんなことかというと、やはり子供の話をきちんと聞くということがとても重要です。
小さすぎると話を聞く相手が子供じゃなくて学校の先生だったりするのかもしれないですけど、本人の気持ちをしっかり聞くというのは大事です。

本人の感情を中心に聞くのも大事なんですが、感情を中心にしすぎてしまうと、そもそもどんなことで悩んでいるのか問題や現状が把握できません。

話を聞くというのが世の中に浸透してきていて、感情を重視する、子供の意見を重視する、ということができる親御さんは増えているんだけれども、今度は逆に、今何が起きているか、というところまで視野が広がってない人も多いです。
感情ばかりに視点が固定化されていることもあるけれど、今何が起きているのか、子供はどんなことを考えているのか、今学校でどんな問題が起きているのかを聞くということもとても重要かなと思います。

聞いていくと、その問題がどういう質の問題なのかということがわかってくると思うんです。
「困りごと 精神科」「困りごと 精神疾患」「困りごと 早稲田メンタルクリニック」と入れると、関係する情報がYouTubeでもGoogleでも出てきますから、そういうもので色々知識を増やしてもらって問題解決に向かってもらったらいいんじゃないかなと思います。

子供の自力だけでは解決困難なことはたくさんありますので、今はやはり親が子供の補助線を引いてあげる。養育においても子供が解決しやすいように補助線を引いてあげることも重要だったりするので、一緒にインターネットを使いながら問題を調べるという習慣をつけてみるのも大事かなと思います。

親が学んだ方が良いこと

親が学んだ方がいいことというと、この3つは結構大事かなと思います。


まずは発達障害の知識です。これはもう超重要です。
発達障害の知識があるかないかで全然違いますから。
子供の理解、親同士の人間関係も含めてですが、社会の理解は全然違いますから発達障害というものをしっかり理解してもらう。
できる/できない、人によって色々な種類がいる、色々なパターンがある、多種多様だということを理解してもらうというのはとても重要かなと思います。

頑張ればできるというものじゃなくて、得意・不得意ってありますから。
今まで聞いたことないような教えかもしれないですけれども、そういう感覚を肌感覚で身につけてもらえるといいんじゃないかなと思います。


あとはライフステージの問題です。
今は何歳だからどんなことに悩みやすいのか、今は何歳だからこんなことが起きやすい。そういう発達や成長のことで、この年齢ではどんなことが起きるのかということを理解しておくというのが重要です。

他の子と比べすぎないというのも大事で、成長は人それぞれ違うので、うちの子中学生なんだけどまだまだこんなんなのよ、そんなことは全然ありますから、大雑把に捉える意味で、ライフステージを理解していくということがとても重要かなと思います。


あとは投影や転移です。
いわゆる無意識の作用を理解するのが大事で、子供はあるがままを見ているわけではなく、空想の世界を生きていると言っても過言ではありません。

子供同士の中でもそうだし、色々な子供がそうなんです。
自分の気持ちを相手にぶつけたり、相手は嫌っているんじゃないかと思うけど、相手は全然嫌っていなくて、自分が相手を嫌っている。
相手は馬鹿にしてるんじゃないかと思うけど、相手は馬鹿にしていなくて、自分で自分のことに自信が持てない。

そういう色々なことが起きていたりするので、現実を見ているというよりは、自分の心の中と現実を重ねて、奇妙な世界を体験していたりするので、そういう無意識の理解というのもとても重要かなと思います。

親はそれでも言わねばならない

親はそれでも言わねばならないということです。

締めるところは締めないといけないので、いくら子供の自由にしろ、親は全然自分の言うことを聞いてくれないじゃないか、親は私のやりたいことを全然賛成してくれなかった、と言うかもしれないですけど、言わなきゃいけないことは言わなきゃいけないですから。

子供が欲しいと言っても、買ってあげられない高いものはあるかもしれない。
子供は自由にさせてほしいと言うかもしれないけれども、性的な暴力がある場所やそういうことはさせられないです。
色々な問題もありますから。

こういう仕事がしたいと言っても、それはリスクがあるよ、芸能の世界は華やかに見えてるかもしれないけれどやっぱりブラックなところがあるよ、そういうことは言って止めなきゃいけないことはあるんです。
その男の人とは付き合ってはいけないよとか。

本音と建前の本音の部分は家族の中でしか言えなかったりするので、それは言わなきゃいけないし、そもそも親ってそういうものなんだよ、という理解も込みで説明してあげるのがいいんじゃないかなと思います。
そういう理解も必要ですね、子供側も。

あとはカレーライス論争と書いてますけど、結局子育てはカレーライスに似ていて、多くの子供はキャンプ場のカレーみたいなもので、適当に作っても適当に育つんです、それなりにおいしくなるというか。
だから心配しすぎはよくないよと言うんですけれども、それはすべての子供たちに言えることではなくて、やはり障害や疾患がある子供たちは普通の育て方、ちょっと雑に扱ってもいいというわけにはいかないんです。

障害がある子の親というのはとても苦しいし、孤独な思いをしていると思います。
他の人から過保護だとか、躾がなってないと言われるのですが、そうせざるを得ない現実があって、多くの人は、自分の祖父母や旦那、パートナーも含めて、そのことに気づいてないというのがやっぱりあるなと思います。

人と違う子供を育てる孤独感というかプレッシャーはやはりあるわけです。
多くの親も子育てに悩んでいたり、苦しんでいたり、プレッシャーを感じているんだけれども、障害がある子の比ではないということです。それはよく思います。
だから孤独だと思います。
親の会などを上手く利用してもらうといいんじゃないかなと思います。

宣伝みたいですけど、別に僕の自助会に入ってくれというわけじゃなく、色々な会がありますから、そういうのを利用して上手く知識をつけて、独りよがりにならず、孤独にならず、頑張っていってもらうのがいいんじゃないかなと思います。


2022.12.25

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.