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ストレス管理、セルフケアを身につけよう

00:00 OP
01:33 ストレス解消よりも
04:31 問題・原因の特定
07:11 考え方の修正
09:38 問題解決スキルを高める

本日は「ストレス管理・セルフケア」というテーマでお話しします。

現代は、肉体労働というよりは頭脳労働の時代になっています。
スポーツ選手や体を使った職業であれば、ボディケア、肉体のケアが大事だと言われます。
食べるものに気をつかえ、怪我があったら早く治しなさい、無理をするな、と言ったりします。

じゃあ脳のケア、脳みそのセルフケア、脳疲労のケアはしているんですか、という話です。

脳疲労のケアをちゃんとしないと、うつになってしまったり、依存性が悪化したり、色々障害を引き起こします。
ぜひとも脳疲労のケア、ストレス管理やセルフケアを覚えてもらいたいなと思います。

ストレスを感じている、妙に疲労感を感じる、やる気が出ないなというときは、ストレスが溜まりすぎているということです。
ストレスが溜まりすぎていて、脳疲労を起こしている状態なので、ケアしてあげる必要があります。

ストレス解消よりも

ケアはどうやったらいいんですかというと、4つの方法があります。この4つをちゃんと全体的にやってほしいんです。

セルフケアやストレス管理というと、ストレス解消ばかりに目が行くんです。

ストレス解消はどうしたらいいんですか、リフレッシュの方法はありますか、益田先生はどうやってストレス解消しているんですか、とよく言われるんですけれども、ここばかり注目しすぎているんじゃないかなと思います。

もっと大事なことは、原因を特定する、考え方・認知を修正していく、自分と向き合う作業だったり、そもそもの問題解決スキルを高めていく、仕事を上手くやっていく、悩みを解決する、問題解決能力を高めていく、コミュニケーション能力を高めていくことが重要だったりします。

あまりにもストレス解消ばかり語られているので、それは問題があるなと思います。
ストレス解消、リフレッシュというのはあるんだけれど、運動や食事というよりも、しっかり休息を取る、しっかり睡眠を取ることが大事です。

ストレス解消はビジネスと結びつきやすいんです。
ストレス解消に旅行に行きましょう、ストレス解消に洋服を買いましょう、ストレス解消にご褒美をしましょう、ストレス解消に良い車、良いベッド、良い枕を買いましょう。
良い睡眠を取るには、良い枕が必要ですよ、バケーションに行きましょう、と言いますけど、そんなにお金がかかることではないんです。
きちんと時間を取る。

良いベットだから、良い食事だから回復するのではなくて、普通のものを食べていいんです。
脂っこいものとかそういうのは良くないかもしれないけど、オーガニックである必要はないし、一般的なものを食べればいいですし、アルコールを控える。

そういう食事をとって運動だってガッツリとジムに行くよりは、ウォーキングくらいでいいんです。
大事なのはしっかり休むことだったりしますし、良いベッドに寝なくてもいいんです。
柔らかいベッドでは寝返りをしないから、却って肩凝りが悪化したりするんです。
だから普通のベッド、普通の枕で寝てください。
僕も普通のせんべい布団で寝てますから。

休めないとやはりうつになってしまったり、頼れないとストレス解消の方法がアルコールや大麻、ドラッグに移っていったり、買い物やギャンブルに移っていきますから、そういうものにならないように、しっかり睡眠、休息をとるのがいいんじゃないかなと思います。

問題・原因の特定

自分と向き合うというのもなかなかできていなかったりします。
ここが重要です。
つまりなぜストレスを溜めているのか、今の問題、原因をしっかり特定することが大事です。

自分と向き合うのは大変だし、時間もかかるし、誰も褒めてくれないし、ややこしいのですが、今困っていること、これから困ること、将来の不安とか過去の嫌だったことを、やはりきちんと把握してみる、書き出してみる。
そして自分というものを、自分の軸をきちんと作る。
自分がやりたいこと、自分ができないこと、自分が諦めなければいけないことをはっきりとさせていくということは、結構重要だろうなと思います。

患者さんと診察していく中で、診断が分かりました、薬を飲んでます、でも良くなりません。
何でですかと言ったときに、この4つを聞いたときに、そもそもあなたは何に困っているんですか、と聞くんです。

でも「いや、特に困ってないんですけど、どうしてですかね?」と患者さんはよく言います。
特に変わったことないです、とみなさん言います。

でもやはりもう一歩踏み込んで聞いてみると、「やはり実はこうで…」「実は親子問題で…」「過去からこうで10代のときは親と喧嘩ばかりして..親から愛されなくて、結局ずるずる10年間引きずってます」みたいなことだったりしますから。

やはりここら辺をしっかり特定して語り出してみるということが必要です。
語っても語っても終わりがないじゃないかと言われるかもしれないけれども、確かにそうなんです。
語っても語っても終わりはないんだけれども、昨日よりは今日、今日よりは明日、より自分というものを見つけていくという探求が必要だったりします。

ただ、発達障害、神経発達症があると、ここら辺を整理してよく考えていくことが苦手だったりします。
部屋の片づけが苦手などと似ていて、脳内で自分の過去、未来、今の不安をつなげて考えていくのが苦手だったりするので、一緒に片付けを手伝っていく、一緒に片付けをやっていくことが重要だったりします。

あとはHSP的な人です。
すごく不安が強い人、過敏な人も、苦手、怖くてできないということがあるので、協力してやったりすることが結構重要かなと思います。
HSPは医学用語じゃないです。ただ使いやすいし、皆さん理解しやすいので使ってます。

考え方の修正

あとは問題の原因がわかったら、やはり考え方や認知を修正していく必要があります。
世界観を変えていく。

弱肉強食みたいな世界観だったら、それを変えていかなきゃいけないし、周りは敵ばかりだと言ったら、それでは休まらないので、優しい人もいるんだよ、ということを理解していく必要があります。
色々な考え方、学びが必要です。

最近思うのは「尊厳」です。
人間の尊厳ということが意外とわかってない人が多いんだな、ということが最近わかってきたんです。

当たり前だけれども、勝ち組と負け組は人生にないです。
お金があるから偉いのではないし、少ないから劣っている、稼げるから偉い、働けないから劣ってる、ということはないんです。

すべての人には教育を受ける権利があるし、すべての人が幸福に暮らす権利があるし、人生を楽しむ権利があるし、自分の人生を決定する権利があるんです。
そういう基本的な尊厳ということの道徳観というか倫理というか、そういうのを知らないことも多いので、学んでいくのが大事なんだろうなと思います。

自分を認めてあげる、そして他人も認めてあげる。
他人を認めることで自分を認められることもあるし、自分を認めることで他人を認められることもありますから、こういういい循環をつくっていく必要があるなと思います。

今は社会の中で格差が広がっていて、分断が生まれつつあるので、今の10代、20代、特に若い子ほどそういう感覚が持てない、インクルージョン教育を受けていないのでわかりにくかったりするんですけど、やはりここの部分は重要だなと思います。

こだわりとか頑固な人というのは、やはりここら辺の修正が苦手だったりしますし、差別・偏見が元々あると、この修正は困難だったりします。
やはり臨床的に解決に向かっていくことはとても重要じゃないかなと思います。

問題解決スキルを高める

あとは、そもそもの問題解決スキルを高めていくことも重要です。
ストレスを溜めないで、問題があったらすぐ解決できるようなスキルを身につけていく必要があります。

色々なライフハックがありますから、そういうものを読んで学んだりとか、ロジカルに考えていく合理的に考えていく、感情に支配されないスキルを身につける。
あとはコミュニケーション能力を高めていく。
困ったときに相談できるスキル、サポート体制を作るスキルも大事なので、身につけてもらえたらと思います。

問題解決スキルは、鍛えたら鍛えただけ高まるかというと、そういうわけではないです。
どんどん鍛えていけば、ボクサーがスーパーサイヤ人に近づいていく、みたいなことはないじゃないですか。
人間にはどこか限界があるので、そういう限界を知る必要があるし、人によっては福祉に頼らなきゃいけないパターンもあるので、そこの見極めも重要かなと思います。

でも、「この人がどこまでできるのか」というのは結構難しいと思います。
僕も臨床していてよく思いますけど、診察室の中だけだとどうしてもその人の限界がよくわからないし、見えてこなかったりします。

長く通院している人、別の主治医から引き継いだ患者さんだと、もう限界設定がされているので、それを引き継げばいいのですが、初めての患者さんに対して、あなたの限界はここですねと判断を下すというのはとても難しいです。
医師でもよくわからなかったりします。
診察室の中だけではわからなかったりします。

実際、社会の許容度も変わっていくので、この人はどういう患者さんなんだろう、というのは本当に難しいなといつも思います。
周りも、親、兄弟もどういう風に彼・彼女を評価しているのか、そして受け入れていくのか、というのも結構難しいなと思います。
そこら辺は本当に臨床しながら日々悩むというか、モヤモヤします。
どこまでできるのかなといつも考えるし、楽観的には考えられないです。

赤の他人のように判断を先延ばしして「あなたはできるよ、頑張ればできるんだ」という優しい言葉だけだと、やはり患者さんを苦しめることになるので、どこかやはりその限界を一緒に認めてあげる必要もあるし、限界を弁護してあげたり、親や周りの人を一緒に説得してあげる努力も必要だったりします。
ということで、今回はストレス管理セルフケア、というテーマでお話しました。

とにかく脳の疲労は溜めない方がいいので、溜まらないように、こういうストレス管理、セルフケアの視点を持って生活してもらえればと思います。


2023.1.5

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