本日は「主治医が障害年金を認めてくれない」というテーマでお話しします。
最近こういうコメントが多いですね。
YouTubeを見ていても、「最近、益田先生の動画を見始めました。質問です。障害年金を取りたいと思っているんですけど、主治医が認めてくれないんですけど、やっぱり甘えでしょうか」とか、「自分はそんなに病気は重くないんでしょうか」と聞かれます。
コメントでよく見ます。
他の患者さんや見ている方がコメントに返してくれたりしているのですが、障害年金がどういうものかというのはイマイチわかりにくい、よくわからない人も多いんじゃないかなと思います。
この動画を見ている人でも、「えっ、そんなのあるの?」と思う人も多いと思うんですよね。
主治医から説明されたことないから知らなかったという人も多いと思います。
今回はここら辺のことも含めて、精神科医の本音を語ってみようと思います。
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障害年金の話が増えてきている
障害年金の話が最近増えたなと思うのはなぜかということを考えていたときに、やはり物価が上がってきてるのは関係するんじゃないかと思います。
ロシア、ウクライナで戦争をしていますが、その影響もあってか、ヨーロッパの方はもう結構物価が上がってますよね。
5~10%ぐらい上がっていて、アメリカの方でも上がってきている。
日本は30年間全然物価は上がらなかったんですよ。そういうこともあるから、ここにきて上がる可能性がある。今年は結構上がるんじゃないかと経済学者の人たちが予測しています。
当たるかどうかわからないですが、まあ当たるんじゃないかなと思います。
給料はそれに合わせて上がるかというと、なかなか上がりにくかったりします。
上がる職種の人もいれば、なかなか上がりにくい職種の人もいたりして、結構大変ということですね。
精神科の患者さんの中には、食費を削るために自炊しようと思っても、なかなか自炊まではできなかったり、外に買い物に行けないからUberを頼んでしまうとかそういう人も結構多いんですよね。
やはり体力的なものとか、病状的なものから使い切らざるを得ない人が多かったりします。
かつかつの中で、5~10%上がっちゃうときついんですよ。
そういう背景もあって、障害年金のことを心配するとか、興味を持った人、考え出した人が増えたんじゃないかなと思います。もちろんうつの再発を繰り返すとか、なかなか良くならない人も精神科は多いですから、そういうのもあると思いますね。
僕のクリニックも今5年目でそろそろ6年目に入るんですけど、長く通う患者さんも増えてきたので障害年金の話をすることも増えました。
1年半以上通院する人が増えてきたので。
前は、年金の申請に行くのがちょっと大変だからいいですと断った人も結構いたんです。
お金よりもちょっとゆっくりしたいと思う人の方が多いんですね、精神科の患者さんというのは。
だから「どうですか?」と僕が言っても「いいです」という人が結構多かったんですけど、最近は「やっぱり考え直してみました」という人もちらほら出てきたなと思います。
生活保護の人も障害者加算を取りたいと言っている人もここ最近多かったですね、年末ぐらいから。
級数の条件
級数はいろいろ条件があるんですけど、だいたいは「労働制限あり」ということで3級を取ることが多かったりします。
働けている人であるならば、2級はなかなか取れないというか、2級には該当せず3級かもしくは該当しないかになりやすいです。
ただ、3級が取れるだけでも5~6万ぐらい月に入ったりします。
金額は今まで払ってきたお金で前後するんですけど、5~6万ぐらいは入ったりするので結構楽になります。楽になると言っても物価上昇分だけ相殺されたりしますから、手取り20万だったりすると物価が上がるともう相殺ですよね。ほぼ相殺みたいなところがあるので、そんなに楽になるわけじゃないけれども、やっぱり全然違うなと思います。
よく会社にバレませんかとか、バイト先にバレませんかと聞かれますが、基本的には非課税なのでバレないですね。
手帳だと確定申告をする都合上バレるというか、そこまで見てないですけど。
年金の方がわかりにくいんじゃないかなと思います。
■申請について
障害年金はどうすれば申請できるかということですが、初診日から1年半経っていることが重要です。
初診日以前にきちんと年金をきちんと払っているかもポイントです。
級数は1級、2級、3級とあります。
1級が常にフォローが必要な感じです。昔でいうところのずっと入院しているような長期入院が必要な患者さんというイメージです。
最近は地域移行も進んでいるのでそういう感じじゃないですけど、1級は結構重い人という感じです。
2級は日常生活が困難という形で、昔で言うちょこちょこ入院するようなタイプの人だったり、ヘルパーさんが必要だったりする人とかのイメージです。
3級だとちょこちょこ休職しているとか、定職になかなかつきにくいというイメージです。
労働制限ありで。
1級、2級は基礎年金があるんですけど、3級は厚生年金の加入者しか受給できないんですよ。
これを言うと難しいんですけど、どういうことかというと、初診日のときに正社員であれば、社会保険を使えていれば3級は取れるんです。
だけど精神科の初診日のときに社会保険に入ってなかった、自分はまだ学生だったとか家族の扶養に入っていた、専業主婦だった、パートとか無職だったという人は、厚生年金に入っておらず基礎年金のみなので、1級、2級以上じゃないと厳しいんですね。
ちょうどここの3級ラインなのにな、という人って多いんですよ。
社会人になってからというか、大学とか高校卒業してから、正社員にはなれないけどアルバイトとかひきこもりを繰り返してきていて、今もなんとか週3~週5で働いているけれども正社員ではない、社会保険に入っていない人は結構いて、でも結構キツくてかつかつだという人が、障害年金を取れないんですよね。なぜなら2級に該当しないから、ということがあります。
だから主治医が障害年金はとれませんよと言うのはこういう理由からですね。
3級相当だからあなたは取れないんじゃないか、と言われたりすることが多いんじゃないかなと思います。
Twitterでこの話をしたときに、「いやいや、私週5で働いてるけど2級取れてますよ」とか言う人がいたんですね、ちらほら。
でもそれはたまたまそうだっただけであって、本来であれば2級相当ではないですね。この基準で考えると。
働けているから日常生活に困難はないのかとかいろいろ細かいところはあるんですけど、でもおおむねこんな感じなのであまり鵜呑みにしないでほしいなと思います。
「いや、ネットでは取れると書いてましたけど」と患者さんは言うかもしれないですけど、そうではないよということを知ってほしいです。
社労士に頼む人も
障害年金を取るにあたって、ご存知の方は流してもらえばいいんですけど、まあいろいろあったんですね。年金の問題というのは社会的な問題として。
なかなか煩わしかったりとか、人が不足していたりとか、年金事務所の対応が良くなかったりとか、いろいろ社会的な問題があったりします。
患者さんだとなかなか取れないときもあってですね、書類を社労士さんに頼んで取ってもらう人、申請する書類集めを社労士さんと一緒にやる人、社労士さんにお願いする人も結構います。
これもいろいろな考え方がありますね。大きい病院であれば、ソーシャルワーカーの人がやってくれるとかあるかもしれないですけど、ウチは僕一人しかいないので社労士さんにお願いしちゃうことも多いですね。
実際、患者さんで「取ります」と言って診断書を僕が書いて、半年くらい放置してるとか1年くらい放置してる人も結構いますから。
それだったら社労士さんにガッツリ入ってもらった方がいいのかなという気がしますね。
大体10数万円ぐらいかかるイメージです。最初の手付金として1、2万円払って、年金の2カ月分とかそういうイメージです。
これに対してボッタクリだと言う人もいますけど、だいたいここら辺の価格はどういう風に計算するかというと、付き添ったりするので、月30万以上の給料の人が月20日間働くとして、うち3日間を拘束されるよと。
「3日も?」と言うかもしれないですけど、3日くらい拘束されるよと。そしてx3ですね。
支払う時給分の3倍を値段にすることが多いんですよ。
ウチのクリニックもそうですけど、人件費x3倍を売り上げにするとちょうどいいような感じです。
諸経費とかいろいろかかりますから。
そうすると、だいたい30x3x3/20なので、だいたい10数万ぐらいになるのかなという気はします。
やっぱり患者さんとコミュニケーションを取るとかは、人によってはスムーズにいくこともあれば結構時間がかかることもあるしミスが多かったりもするので、まあこんなもんなのかなという気は僕はしますけど。
価格帯はいろいろな意見がありますから、何とも言えないですけど。
ただすごい高いな、これはボッタクリでしょう、ブラック企業でしょうかとか、ブラックな社労士さんなんでしょうか、信用できないんでしょうか、と言われるかもしれないけれど、そういうわけじゃないよということは言いたいくらいですね。
ということで、今回は主治医が障害年金を認めてくれないというテーマでお話ししました。
障害年金というものがありますので、もし条件に当てはまる方がこれを見ている方でいらっしゃいましたら、検討してもらってもいいんじゃないかなと思います。
詳しいところはインターネットで調べてください。
難しいのでちょっと動画では全部説明しきれませんから。
あとオンライン自助会ですね。益田金を取るのかよって言われそうですけど、オンライン自助会という形でピアサポートの場とか、研修を受けたり、みんなで話し合ったりする場所を作っていますので、もし興味があったら、メンバーシップのご加入も検討してください。
社会保障、福祉、連携
2023.1.15